Huawei(ファーウェイ)のCFOがカナダで逮捕されましたが、同社製の通信機器経由、軍の機密情報を含む重要な情報が中国政府に漏れている懸念が取り沙汰されています(クリック)。中国ならやりそうなことですが、何年か前の米国NSA(国家安全保障局)、CIA(中央情報局)のスタッフだったスノーデン氏がバラしてしまったように、米国は以前より世界中の通信を傍受(盗聴?)していました。今日のブログは、通信インフラを流れる情報を取ってしまう諜報(盗聴)機能を持つシステムの話です。NSA、CIAなど米国情報機関は、個人、企業、団体、国(政府)、政治家を問わず世界中のありとあらゆる情報を収集、分析していたことが暴露されてしまいましたが、同盟国の雄、ドイツのメルケル首相も盗聴の対象であったのには驚きました。

その時に使われた収集ツールがXKeyscoreというシステム。通常の通信回線はもちろん、海底ケーブル、衛星を使って行われる通信も傍受できる機能を持っていると言われています。スマートフォン、SNSも然りです。

集めた情報は、テロ、攻撃、暴動などに危険な行動に直結するキーワードを含んでいるかを検索され、ヒットしたものは、その内容を解析します。テロの目標、期日、使用する武器など、具体的な情報があれば、即座にその対応をとります。これは国、国民の安全を守る政府の責任の範囲内で問題はありません。なお、Yahooが情報提供をしていたことが暴露されてしまいましたが、皆さんが何の疑いもなく使っているメールも情報収集の対象だったとは驚きです。

XKeyscoreはスノーデン情報によって初めて知りましたが、以前はエシュロン(Echelon)と呼ばれる同種のものがありました。これは、テロリストの疑いのある者や敵側の通信を探り出すために世界中のあらゆる電子メール、パケット通信、電話の会話などをチェックしていると報じられています。目的、機能的にはXKeyscoreと同じです。エシュロンが使っていたキーワードはGoogleで検索すれば分かります。一部を紹介しましょう。
《米国政府機関》
FBI(米連邦捜査局)、CIA(米中央情報局)、NSA(米国家安全保障局)、IRS(米国税庁)、ATF(アメリカ教育連盟)、DOD(米国防総省)、NASA(米航空宇宙局)、ONI(海軍情報部)
《過去にテロ事件があった場所》
WACO、RUBY RIDGE、OKC、OKLAHOMA CITY
《武器の名前、種類》
GUN(銃器)、HANDGUN(拳銃)、ASSAULT RIFLE(突撃銃)、BOMB(爆弾)、DRUG(薬物)、AK47(旧ソ連製突撃銃])M16(米軍突撃銃])C4(爆薬)
《要注意団体、人物》
DAVIDIAN(ダビディアン教団)、KAHL、POSSE COMITATUS(民兵隊壮年団)、KORESH(宗教家)、WEAVER(白人至上主義者)
《海外の情報機関》
MOSSAD(イスラエルの情報機関)、MI5(英国諜報部)

 

彼らは収集したメール、電話の会話にこれらのキーワードが入っていたら即座に調査を始めます。エシュロンが狡猾なのは、国際入札などで米国企業が他国企業と競合していた場合、知り得た情報のなかに米国企業が有利になる情報があれば、これをその企業に提供していたことです。これはヨーロッパ諸国によって明らかにされ、レポートも出ています。テロ対策ではない目的外使用です!

 

XKeyscoreに話を戻しましょう。実は、このXKeyscore、極秘裏に日本政府に提供されていたことがスノーデン氏によって暴露されてしまいました。2013年のことです。

政府は受け取った認否を明らかにしていませが、このシステムを使って諸施策に反対する陣営の情報収集が容易になるのは明らかです。もちろん、公正公平に運用しなればなりませんが、エシュロンのキーワードと同様、野党議員はもちろん、他の議員の受発信するメールも入手可能です。週刊文春がスクープを連発していますが、@bunshun.co.jpのドメイン名を検索(調査)対象にすれば、文春の受発信メールは筒抜けです。

テロなどの反社会的な動きを事前察知するという本来の機能ではなく、目的外使用をする可能性につき注意を払う必要があるでしょう。このシステムから得られた情報は選挙対策、対野党対策にも使われることは容易に想像できます。便利さの陰に隠れた暗部です。

 

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