テレビ東京の番組“カンブリア宮殿”は優れた経営、ビジネスを紹介する参考になる番組で、コンサルの現場にも使える様々な示唆を含んでいます。

その番組で、様々な設備を導入しリサイクル率を上げると同時に処理工程を見直し、作業環境を改善し、産廃事業は“臭い・汚い・怖い”という3Kイメージを払拭し、地域に受け入れられる環境に変えていった事例が紹介されました。⇒クリック

 

悪臭の原因であり、産廃業者の象徴的設備である焼却炉も廃炉にしたのには、不退転の決意で産廃業者のイメージを払拭しようとする意気込みを感じます。廃棄物の中でも、ビルや家屋を解体する際に出る土砂ゴミ”と呼ばれる木材/ガラス/金属/コンクリート/砂利/土/プラスティックなどが交じり埋め立てるしかなかったものをリサイクル対象資源として見直し、巨費を投じて処理設備を作り、資源としてリサイクルした実績は特筆すべきものと思われます。


これ以外にも阻害されがちな業種故の苦労話や、地域に受け入れてもらえるための施策が紹介されていましたが、長年BPRをやってきた私が最も注目したのは、父親から社長のバトンを引き継いで事業の見直しを始めてから、半年でパラダイムシフトできない4割の社員が退職していったということです。『経験値がたまると、官僚化していく』と言われますが、この場合は官僚化ではなく、経験を積んだベテラン社員が徒党を組んで経営方針に反対しかねない状態でしたが、自主退職してくれたのは幸いでした。

 

この事例では感心させられる場面が多々ありましたが、新社長が最初に社員の意識改革が必須だと考えたことがポイントだと思います。BPRも同じです。今まで慣れ親しんできた仕事の仕方、順番を変えるどころか、場合によっては担当していた仕事がなくなることもある!これを心情的に受け入れられない社員は必ずいます。正面切って異論を唱えないまでも、面従腹背の輩もでて来ます。しかし、パラダイムを変えないと改革はできません。この跡継ぎ社長は、そこのところを見抜いたのでしょう。

さて、短期間で4割ものベテラン社員が辞めていけば、通常は商売ができなくなってしまうはずですが、何とか続いたということは何を意味するのでしょう。事業への寄与率が低く、パフォーマンスの低い作業しかやっていなかったということではないでしょうか。彼らが自負していたノウハウ、現場の工夫は、経営方針、作業プロセス変更、機械化により、不要なものになっていたということです。

ベテランが去ったことで、期せずして平均年齢が55歳から35歳に若返ったことも新しい体制としてはプラスになりました。これは、とりもなおさず、差別化するものがなく、技術を持たない比較的年齢の高い者が低賃金で働く産廃業界というイメージを払拭することにもなりました。3K職場の産廃業界を、働きがいのある魅力ある職場に作り替えた新社長の今後に期待したいものです。

 

※質問はosugisama@gmail.comにどうぞ。

※リブログを除き、本ブログの無断転載、流用を禁じます。