大量にある新聞の切り抜きを整理していたら、『教科書の文章 理解できない・・・多数』との記事を見つけました。日頃、SIerのSEとのやり取りの中で、社会人である彼らの読み書き喋る日本語の能力の低さに直面してきた私は、昨今の小中学生の読み、書き、理解する力はどの様になっているのかと思い、改めて読んでみました。

整理すると以下のとおりです。
 

その1・・・文法、構文、常識の欠如
2つの文章を比較し、同じか否かを問う問題です。主語・述語・目的語の構文を理解していれば即座に違うことが分かるはずですが、正答した生徒は、中学生で27%、高校生でも42%しかいないという驚愕の結果でした。

右側の文章は、幕府と諸大名の力関係から考え、❝幕府が大名に命じられて何かをする❞はずがないという常識があれば、そもそもこの文章がおかしいことに気が付きつき、左側の文章のように、幕府が大名に沿岸警備を命じる方が正しいということが分かります。この点からも、両者は違うという結論が出るはずです。新聞はおろか、本を読まず、教科書さえも理解しないままゲームに時間を費やし、日本語かどうか分からないSNS文を書いている結果なのかもしれません。
有機物の名前をたくさん書け、という問いに対して、以下の様な回答をする生徒がいるようですが、意味を理解できない中高校生が大人になり家庭を構えた時、どうなるのか、暗澹たる気持ちにさせられます。

その2・・・読解力、理解力
新聞の中に、以下の文章題があり、中学生12%、高校生28%の異常に低い正答率でした。

設問をよく読めば、メジャーリーグ選手のうち、28%が米国籍以外ということなので、米国籍の選手が72%なことが分かります。従って、これだけで米国選手が72%となっておいるグラフを選ばなければなりません。左の2つ(①、②)がそれに該当します。次のヒントは28%の米国籍以外の選手のうちの35%がドミニカの出身ということです。従って、0.28×0.35を計算して全体の9.8%がドミニカの選手となり、②が正解となります。
不正解だった①、③、④を選んだ割合が分からないので、決めつけることはできませんが、もし③、④を選んだ割合が多かったとしたら、『~のうちの28%』という、❝~のうちの❞という意味を理解できていないのでしょう。国語の問題です。一方、①を選んだ生徒は、百分率の計算ができなかったのか、%の意味が分からなかったのかも知れません。これは、国語よりも算数の問題ではないかと思います。

しかし、算数も理科も社会もそうですが、基本はそれを説明する日本語で書かれた文章を理解できるか否かです。朝日の記事を見て、小中高校生はおろか、大学生、社会人にも共通して言えることではないかと思った次第です。
 

読解力に関係すると思いますが、我々の世代では常識になっている慣用語、比喩を知らない世代は小中学生に限ったことではありません。私が、講演、講義の際に気を付けているのは、慣用語、比喩を使うことです。例えば、紺屋の白袴/八面六臂です。ある講演で『井戸の呼び水』と言ったところ、どうも通じていないなと思われる反応を感じ取りました。年齢にもよりますが、井戸を知らない(見たことがない)方々が混じっていたということですが、慣用語、比喩を使う場合には、audience/受講者をザッと見渡して反応を観ることにしています。
わかっている人が少なそうだなと感じた時には、別の言葉、言い方で説明するか、講義の場合には分かっていないのではないかと感じる学生を指名して理解しているかを確認する質問をします。正しく理解できていない場合には、ホワイトボードを使って図示したり、言い換えたりしてフォローします。今まで気を使ってこなかったこれらのことに、気を使わざるを得なくなった今の時代を憂うと同時に、学校、家庭、職場、実務の場で改善するための具体的な対策を採らなければならないと実感します。
 

社会人になり、それなりの文章が書けるようになっても、ブラッシュアップが必要な例をシバシバ見つけます。実際にあった例を紹介します。内容は変えていませんが、抜けている情報を追加し、言い回しを少し変え、段落、改行などの体裁を整えるだけで、見やすくなることが理解できると思います。

言いたいことを読み手に誤解なく伝えるために必要な国語力(日本語力)/ドキュメント作成能力は、社会人にとって必須の能力です。中高生の読解力のなさを報じる記事を読み、改めてそう感じました。

明日から3連休です。その間、当ブログもお休みします。
 

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