ビジネスマンなら必ず備えておかなければならない基本リテラシ®の中にドキュメント作成能力があります。全体像や一連の流れ、特に分岐がある場合を、文章だけで正しく理解してもらえるように書き現すには相当なドキュメント作成能力が求められます。下手な文章では意図が伝わらないばかりか、誤解を招いてしまう怖れがあります。例えば、ある薬剤を処方しようとした時、その薬剤がシステムに組み込まれた薬剤マスタにないものだった場合の処理をどうするかを図解すると下図のようになります。この図が持っている情報量(エントロピ)を文章だけで誤解なく説明するのは至難の業、私には自信がありません。

電子カルテがなかなか効果を発揮しないばかりか、使っているうちに気がつき、気がついた時には後戻りできない状態!ということは良く聞きますが、これを文章で表現すると以下のとおりになります。
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電子カルテのパッケージ導入が決まった段階では、満足とやや満足を併せて50%以上が満足と評価していた。しかし、導入時に変化があり、満足、やや満足とも減り始める。これは導入する製品が決まった段階から、導入前の操作訓練をしたことで、使い勝手が悪いことに気がついたということを意味している。運用が始まり、実務に対応するようになると、その傾向がさらに強まり、満足、やや満足両方あわせても30%を切ってしまう状態になる。使い続けてバージョンアップ、保守が必要になる頃には、満足と評価するのは、わずか5%以下になるという実態がある。また、この頃になるとベンダ決定時にはなかった不満が増え、やや不満を合わせると40%以上が何らかの不満を抱く。
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上の文章の意味を現したグラフがあります。

先の文章から、このグラフを想像できたでしょうか。やはりこの種の変化を文章で的確に且つシンプルに書き表すことは一部の優れたドキュメント作成能力の持ち主に限られることが理解できるでしょう。なお、上図のグラフを意図に沿ってより適切に表現するには、以下のグラフの方が向いていると思われます。単純にグラフ化、図解すれば良いというものではなく、訴求したいことをより的確に表す形式のグラフ、図解にするにはどうすべきかを考えるということです。

適切な図解、グラフを作る能力は、システムに限らずどの分野でも求められる能力です。纏めると、以下のとおりです。
①文章だけで説明しようとしない
②意図することを現す図、グラフを利用する
③図、グラフのコメントとして文章を使う
④情報の流れ、処理の関連を矢印を使って表し、適宜コメントを入れる(下図)


適切な指導の下で、PowerPoint、Excel、ペイントブラシなど、標準的なツールを使って訓練すれば、一部の例外を除き、できるようになります。特別な能力、センスは不要です。例外になってしまう残念な方は、好奇心、向上心がない人というのが、過去の経験です。

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