自動運転機能の開発競争が激しくなっています。しかし、技術者・研究者の夢はともかく、完全な自動運転(レベル4)を実現するには相当な時間を要し、現実的ではないと思われます。先日、アリゾナ州で自動運転中の車が自転車を引いて道路を横断していた女性をはねて死亡させてしまう事故が起きました。この事件に関して米国のニュースサイトを検索したところ、事故を起こした車の車載カーナビの画像がupされていました。経緯を示す画像を時系列にキャプチャしたものを以下に。

この運転者は前方への注意を自動運転機能に任せ、緩慢になっていたことが分かります。しかし、自動運転機能は前方を見張るセンサ、カメラがついていて危険を察知でき、その情報を得た機構が回避処置をとるはずです。夜間でカメラが十分機能しなくても、夜間(明るさ)とは無関係に前方を監視できるミリ波レーダも備わっているので、前方に何らかの物体がある場合には、レーダ波がそれに当たって反射して帰ってくる電波を検出することにより,物体までの距離と方向を検出することができます。このレーダが機能していれば、人間(運転手)よりもはるかに確実に前方の、車/人などの物体を検知でき危険回避処置をとってくれるたはずです。


安全運転を行うために運転者に代わって情報収集するセンサと、センサからの信号を受けて運転者に代わって車を操作する自動制御装置からなる自動運転機能が動作する手順は以下のとおりです。

①走行中、センサは常に前方に電波を発信している

②前方に車/人などの物体があれば、電波が反射して戻ってくる

③自車と前方車との距離、相対的なスピードを計算

④危険と判断したら、警告音が鳴り自動的に速度を落として安全な距離をとる

⑤場合によって緊急停止する
しかし、前方を自転車を押しながら横切る女性をはねてしまいました。原因は上記の②、③、④、⑤のいずれかが機能していなかったことによって起きたと推測できます。即ち、

・センサ(ミリ波レーダ)が故障していた
・ミリ波レーダは故障していなかったが、計算する回路が故障していた

・計算回路は故障してなかったが、ブレーキをかける自動制御装置が故障していた

・自動制御装置は故障していなかったが、ブレーキが故障していた
大雑把に列挙しただけですが、これだけの機能が問題なく機能することが100%保証されている必要があります。もちろん、それぞれに自己診断機能がついていて不具合が起きた場合には警告音、警告パネル点灯、警告メッセージなどで、運転者に不具合発生を知らせる機能が必須です。これらのalert が発生された場合には、運転者は速やかに自動運転モードを手動に切り替えて運転し、できるだけ早く整備士に診てもらわなければなりません。

自動運転機能がブームになっている感がありますが、一つ間違えば人を轢き殺してしまう自動車を、自動運転モードで動かし、運転者は安心して外の景色を楽しむ、などということは現実的ではないということです。先行するテスラ社のHPには、以下のような注意が載っています。ハンドルに置いて自動運転・・・自動運転とは名ばかりで時期尚早であることを認めているようなものです。自動運転ではなく、運転支援機能と名前を変えるべきでしょう。



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