森友学園の文書改ざん問題がクローズアップされています。誰がリークしたのか分かりませんが、つじつまが合うように隠したはずの文書が見つかってしまいました。修正漏れ、消し忘れが心配になった財務省が、省内、出先機関のパソコンを入替えるという荒業をやりましたが、資料をメールに添付して財務省管轄外のパソコンに送ってしまえば、その文書まで消すことはできないし、管轄外のパソコンまで入替えることはできず証拠は残ってしまいます。これが出てきたか?

昨年7月、前川前文部科学省事務次官が参考人として国会議員から質問を受けました。加計学園の獣医学部新設に安倍首相が関与したとされる文書に端を発した騒動の真相究明でしたが、肝心の部分は闇に隠れたまま。『問題があれば、丁寧にしっかり説明し、国民の疑念に応えたい』という口癖の安倍発言が空疎に響きます。他の体制側の参考人に比べ、『あったものを、なかったとは言えない』という単純明快な発言と、当事者しか知り得ないことを時系列に沿って淡々と淀みなく答える前川氏とは雲泥の差があったと言えるでしょう。調査したがなかったという伏目がちに言う松野文部科学大臣(当時)に対し、『捜せば見つかるはず』、『担当者から見せられたものに間違いない』と、事実をありのままに答えればいい前川さんは余裕すらありました。根拠なく、記憶は定かではないとの言質を引き出したい自民党質問者が攻めあぐねていたのとは対照的でした。

 

勝ち目のない政府側は、証拠がなければ(見つからなければ)、当面知らない/見つからないを繰り返して防戦できますが、万が一でも見つかったら終わりです。菅官房長官も『出所不明な怪文書』とか『あったとしても本物かどうか分からない』、『まったく問題ありません』で押し通すことはできません。そこで、あったものをないことにしなければならない関係者は、記憶に残っているものは『記憶にありません』でしのぎ、文書という形として残っているものは、急いで、且つ確実に消去しなければなりません。そこが問題です。大量の関係書類をつじつまを合わせて(整合性を以て)削除することは非常に困難だからです。例えば、相互に参照している議事録、参考文献として挙げている資料の作成日時、内容です。一ヶ所を直せば済むということはなく、参照しているヶ所全てについて時系列的、内容的に不整合が見破られないように修正することは不可能に近いと言えるでしょう。簡単な例で示しますが、実際にはこんなに単純ではなく、複雑に入り組んでいるはずです。

従って、修正するのではなく、消去した方が早くて確実です。ただし、上図で示すように消去し忘れた資料があり、その資料で参照されている他の資料が見当たらないと、つじつまが合わなくなります。森友学園に関する資料、特に8億減額に関するやり取りの部分の完全消去はできないと判断した財務省がシステム更新という名の下にパソコンを全部取り換える挙に出た理由も多分これでしょう。

どこかに修正し忘れ、消去し忘れがあったら、そこから調査の手が伸びてきます。アリの一穴で堤防が破壊されるの例え通りで、今回、そうなってしまいました。
財務省のシステム更新と称して全パソコンを入替える判断は、費用はかかる(約52億)ものの、政権が被る影響を考えれば安いもので、完全に証拠隠滅するには最善手だと思います。家の不具合を直すリフォームではなく、家を壊して建替えすれば前の家の残骸を引き継ぐことはありません。これと同じ理屈です。しかし、パソコンの入替えまでやって完璧を期したはずの隠ぺいも、外部に漏れていたものに関しては無力です。どこかにいた良心の呵責に耐えかねた人物によってリークされました。財務省が如何にして言い繕うのか高見の見物です。それにしても、安倍昭恵さん、罪作りな人ですね。

 

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