友人の奥さんが医療ミスで亡くなったことが分かりましたが、医療ミスによって死亡するケースがどのくらいあるのか調べていたところ、米国のJohns Hopkins Universityが国内に於ける医療ミス死亡に関するレポートを見つけました。それによると、米国に於ける死亡要因は心疾患が1位、2位はガンで、第3位は何と医療ミスでした。その件数は25万件超にもなっていました。

レポートの中に医療ミスの事例がありましたので、注釈をつけて紹介します。

というもので、移植手術後に異常を訴えた患者に対して心膜穿刺による検査を行った際、誤って穿刺の針で肝臓を傷つけこのミスが原因で動脈瘤ができてしまい、これが破裂して腹腔内に出血を起こし、最終的に亡くなったというケースです。日本でもあるはずです。日本の医療ミス件数を調べたところ、下表のとおり2014年で約3千件でした。
日米の人口比は約1:3なので、医療水準を同等とし、米国の件数を人口比で換算すると日本でも8万件以上になるはずです。ところが、わずか約3千件。訴訟社会のお国柄の米国と単純に比較することはできませんが、少なすぎるというのが実感です。文字通り、氷山の一角としての3千件なんでしょう。医療ミスが表に出てこない背景には、日本の医療機関の隠蔽体質、それを助長する有形無形な環境と雰囲気、それに日本人ならではの裁判沙汰は好まないという感覚があると思います。
何年か前、群馬大学病院の腹腔鏡手術で連続して8人もの患者が術後死亡した事件がありましたが、中には功名心に駆られて技量不相応な難手術に挑戦する無謀な医師も少なからずいます。腹腔鏡手術がまだ珍しかった頃、慈恵医大青砥病院では3人の医師が操作マニュアルを見ながら手術をして患者が死亡してしまったという信じられない事故も起きています。
米国のような訴訟社会ではいささか疲れますが、主張すべきは臆せず主張すべきです。もちろん、その際にはカルテ、検査履歴と結果、手術記録を改ざんされないよう、証拠保全申請をしておく必要があります。電子カルテになって改ざんしにくくなりましたが、それでもやる連中はいます。例えば、画像データを修正することも簡単にできます。

日本でも術前の説明(インフォームドコンセント)があり、説明を受けますが、専門用語が飛び交い、突っ込んで質問して気分を害され、不利益な扱いを受けては困るという意識があり、なかなか質問できないのが実情です。疑問、質問があれば遠慮せず聞ける雰囲気があり、患者が理解できる用語を使い、言い回しに心がけて説明してくれ医師はじめ医療関係者のいる病院が増えることが望まれます。
仕事柄いろいろな医師を見てきましたが、実績に裏打ちされ自信を持っている医師の方が丁寧に質問に答えていた記憶があります・・・実るほど頭をたれる稲穂かな。むしろ駆け出しの医師の方が居丈高な態度で患者に向き合い、患者家族からのクレームが投書箱に入れられることは珍しくなくありました。自信のなさの裏返しかもしれませんが、こういう医師に引っかかると、医療事故につながる確率が高くなります。

 

医療ミス、事件を防ぐには、医師を筆頭に医療従事者の技量とモラルの向上と共に、我々患者側も勉強して得られた知識を体系化して蓄え、物を言う患者になる努力が必要な時代になりました。患者が情報を収集できる時代にもなっています。

 

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