本ブログはシステム、医療、業務改革、生産性向上などをテーマにして書いていますが、今日は目先を変えて広島高裁で出された四国電力の伊方原発の運転停止判決をテーマにします。

東日本大震災で福島原発が全ての電源が失われて冷却できなくなり、絶対ないと言われた爆発事故を起こし、メルトダウンを起こしたのは6年前の2011年3月11日でした。十重二十重の安全策を施してあるので、万が一にも対応できるということでしたが、最悪の事態になり、狭い国土なのに約900㎢もの土地が数十年に亘って住めなくなってしまいました。山手線の内側の面積が63㎢。住めなくなった面積の大きさが分かります。

では、阿蘇が大爆発を起こし、大きな火砕流が発生し、それが伊方原発まで到達して福島同様のことが起きるかです。規制委員会が作成した火山ガイドには、以下のように書かれています。
①原発から半径160km以内に位置し、将来活動の可能性がある火山の有無を調査
②あった場合には、その活動が小さいかどうか調査
②小さいと判断できないときは、噴火規模を推定

③推定できない場合は、過去最大の噴火規模を想定

④設計対応不可能な火砕流が原発に到達する可能性が小さいかどうかを評価

となっていて、広島高裁の判断はこの順番に沿って判断されています。
世界最大の外輪山ができた9万年前の阿蘇の大爆発では、160km先まで火砕流が届いた痕跡があるとされ、上述の③を当てはめれば、約130km離れた伊方原発にも影響を与える可能性はあるという判断は妥当です。
一方、未曾有の大震災は想定できないという言い訳があります。しかし、自然は常に想定外で人知の及ばない強力な破壊力を持っていると思うべきでしょう。想定外が起きたとき、生まれ育った土地に戻れず、住めない土地がこの狭い国土にできてしまいます。

熊本地震で改めて活断層の影響が心配された川内原発(鹿児島県薩摩川内市)も同様ですが、めぼしい産業がないところにとっては、原発は打ち出の小づちといったところでしょう。国のエネルギー行政に協力するという表向きの見解ではなく、命の危険と引き換えに様々な名目で交付される多額のお金で目がくらんでしまったものであることは容易に想像できます。原子力行政に協力し、たくさんの原子力関連の施設がある青森県むつ市、六ケ所村の所得状況を青森県のホームぺージでみました。

驚くほどの収入として住民に跳ね返っていることが分かります。正に打ち出の小づちで、原発を誘致するこで地域経済が潤うという安易な発想をする自分の代のことしか考えない視野の狭い自治体の首長や住民がいることは容易に想像できます。しかし、福島原発の教訓を今一度思い起こし、都合の良い安全神話に頼り、命と引き換えに見せかけの裕福な生活を夢見ることのないよう心がける必要があります。熊本大地震で問題になった川内原発付近の活断層調査は、原発周辺ではやられていないことが明らかになっています。

こういうあからさまなことまでやらないと原発を建設できる条件が整わないという、狭い国土のうえに、火山、地震大国という日本の国情があります。逆に言えば、危険を冒し、無理に無理を重ねて原発を作る必要はないということです。火山大国の日本、世界第3位の地熱発電があります。

廃炉を含め原発にかかる膨大な費用と時間を考えれば、意図的に過大に見積もられる地熱発電所の建設費用は問題なくクリアできるし、風力、太陽光発電に比べて天候に左右されず年間を通して発電できるメリットを活かすことができます。世界最大の地熱発電所をニュージーランドに建設したのは富士電機ですが、日本には技術も経験もあります。好条件がそろっている地熱発電、原発に代わってこれを推進する時だと思います。

 

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