無題 | ウマキュン!!!

無題

土曜日の東京競馬場。


6R。



私は生まれて初めて


目の前で


落馬事故を見ました。



本当に目の前で

起こりました。


旦那さんと

「馬の足音を近くで聞こうね~」

と言って

よりコースに近いところで

レースを観戦していました。



直線の勝負どころ。


一瞬

何がおこったのか

分からなかった。



気が付いたら

目の前に

1頭の馬が立ちすくんでいて。


一人の騎手が

コースに横たわっていました。



何度も立ち上がろうとして

立ちあがれずに苦しむ騎手。



歩こうとして

脚を踏み出そうとして

踏み出せずに

苦しそうに

でも声を出さずに暴れる競争馬。



「早く

安楽死させてやらないと

かわいそうだ・・・」



と、険しい表情で

つぶやく隣のおじさん・・・。



「つらいよ・・・。

あっちにいこう・・・」


と私の手を引く旦那さん。



「この現実を

かわいそうの一言で

目をそむけてしまったら

私はもう

まっすぐに競馬を

続けられない気がする・・・。」



私は、そう思ってしまった。

だから

あえて、目の前で起こる

恐ろしい現実を

涙を流しながら

旦那さんの手をしっかり握って

見届けた・・・。




馬の前に停車するトラック。



運ばれてきた

大きな

タンカのようなシートが

馬を隠すように現れ・・・。



ナムラノーブル号は

予後不良となりました。



声をあげずに・・・。

静かに・・・。




ふと近くを見ると

妊婦さんが

目を真っ赤にして

その光景を見届けていました。


彼女に宿っている命と

目の前で消えていく命。


彼女は

どんな思いだったんだろうか・・・。



予後不良。



競馬を始めてから

何度も見た言葉。


でも目の当たりにして

このことがどんなに残酷なことなのかを

思い知りました。



競馬をやることへの

罪悪感がこみ上げてきました。



この日は

沢山の応援馬が

出走を控えていました。



ボンバルディエーレ。

メイショウクオリア。

マイネルチャールズ。



事故の前から

応援馬券を買っていました。

朝いちで

応援馬券を買っていました。



彼らの元気な姿に会いたくて。

そして願わくば

1番でゴールすることを楽しみにして。



罪悪感。

だけど

彼らが一生懸命走る姿を見ることなく

この先

何事もなかったかのように過ごしていくことが

本当に正しいのだろうか?



ここまで競馬をやってきて

いまさら

「罪悪感が生まれたので

競馬を辞めます。」

でいいのだろうか・・・?

それはもっと無責任じゃないか?


でも

彼らの命をギャンブルとして

もてあそんでいいのだろうか・・・。



いろんな葛藤がぐるぐると

頭の中、心の中をかき乱しました。



9R。

パドックで

いつもと同じように

飄々と歩く

ボンバルディエーレ。



この日は昇級戦。

やっとやっとやっと・・・

1000万下まで昇級。



がんばれ、

がんばれ。

心の中で声援を送る。



私は

やっぱり競馬を辞められません。



応援馬が

こうして目の前で

がんばっているんだ。

強い相手と戦って

負けて、また這い上がって。


それを

見なかったことにはできない・・・。



上手く言葉にできないけれど・・・。



競争馬に対する

深い深い罪悪感を持ちながら

競争馬へ

大きな大きな感謝をしながら

これからも

競馬を大事にしていきたいと思いました。



ごめんなさい。

ありがとう。



すべての馬が

無事でゴールしますように。