弟の所有する剃刀は艶かしく

夜毎風呂場で光っている


あなたが好んで着た服と お気に入りの携帯

それに似た 弟の剃刀

赤と銀の大胆で男性的なデザインを持つ

弟の剃刀


たっぷりと泡立つ石鹸を糧に

剃刀は右腕をゆっくり滑る

ぞわぞわとした幸福

私は今宵 あなたを味わった

身体はあなたを知らないのに


あなたの左手が私の右腕を求めている

深く澄んだ 猫のように気まぐれな瞳が

私に何か語りかける

幻想のなかで




もう半年も前に会ったきりのあなた

触れたかったのに