箱庭。
どこに何はこぶの
ぽすとさん
あの子に会いたいんだ
遠くの町の女の子
算数がとくい
リコーダーはにがて
男子よりもつよくて
だけど泣き虫
きみに想いを伝えれば
届けてくれる?
ぼくの気持ち
どこに何はこぶの
ぽすとさん
ねえ
どうしてきみは真っ赤なの
皆が持っているものを
私は持っていなかった
誰も嘲笑っていないのに
持っていないことを隠した
あれがほしい
とてもほしかった
どうしたら手に入れられるか
分からずに泣いた
それは鏡の中のできごと
あんなにもはっきりと
色鮮やかに映る
けれど
その先にはすすめない
手を伸ばしても
掴むことはできない
けっして
鏡を割って
粉々に砕きたい
私と鏡の
境界線を無くしたい
そう思って
今日も鏡を見つめる
君は今朝
この町を出た
ここではない
あたらしいどこかへ行く為に
いそいでいたから
最小限の荷物だけだ
置いてきたものも
たくさんある
いなくなってから
引っ越したことをしった
連絡先すらわからないので
途方にくれた
みんな君のことがすきだった
そうしてひとつ
ためいきをついて
散らばったものを丁寧に集めた
まるで浜辺に打ち上げられた
貝殻をひろうように
欲をいえばもう少し
この町で一緒に過ごしたかったけれど
あたらしいどこかで笑う君に
幸あらんことを
この詩を、友人の万里小路さんへおくります。
万里さんありがとう。朝起きて
窓をあけること
昼が来て
空腹を満たすこと
夜も更けて
眠りにおちること
くりかえしのなかに
あなたがいて
さざ波のように
押しよせる
空を見て
おもいだすこと
ざわめきの波が
押しよせては返し
押しよせては返し
毎日飽きもなく
誰かのうわさ
傲慢な傍観者
楽しくもないのに
話し続けるのは
寄り添いたいから
興味のないふりをして
貴方をあきらめる
どうしてほしくなるのだろう
あなたのことを想っています
それだけでいいのに
楽しい?
悲劇のヒロイン気取り
己が信念を曲げず
得意げに誰かを批判し
とつとつと世論を語る
誰もいない場所
膝を抱えてうずくまるのは
10歳の少女
そんなことはどうでもいいのだ
まるで興味がない
けれど
にこにこと楽しそうに話すあなたが
とてもいとおしい