今回は、箱根駅伝をより楽しく、誰でも分かりやすく見ることができるように、“これさえあれば箱根駅伝の全てがわかる完全ガイド”を作りました。このブログを利用して、箱根駅伝当日を楽しんでいただけたらと思います🙌

これさえあれば箱根駅伝をもっと楽しめる!、というようなガイドを作りました。コースの紹介や今回の見どころなど、分かりやすくまとめたのでどうぞご覧ください!

○概要
■正式名称
第96回東京箱根間往復大学駅伝競走

■日程
往路:2020年(令和2年)1月2日 午前8時スタート
復路:1月3日 午前8時スタート

■コース 全10区間217,1km
往路(107,5km)東京 大手町〜箱根 芦ノ湖
復路(109,6km)箱根 芦ノ湖〜東京 大手町

■参加チーム
シード校(前回大会上位10校)

+予選会上位10校

+関東学生連合(予選会で敗退したチームの中で選抜されたチーム)

 ○コース説明
■1区 大手町読売新聞社前〜鶴見(21,3km)
11時間に渡る長い戦いの幕開けとなる区間です。この1区で駅伝の大体の流れが決まるため、1区での出遅れは致命傷になります。
1区でのポイントは17km付近の六郷橋です。六郷橋の下りが勝負所であり、前回1区区間賞の西山和弥(東洋大)のこの下りでのペースアップが区間賞に繋がりました。
2区 鶴見〜戸塚(23,2km) 
言わずと知れたエース区間、花の2区です。このコースの特徴としては15km付近にある権太坂、そして戸塚の壁とも呼ばれるこれまで幾多のランナーを苦しめたラスト3kmの急な上り坂です。
この2区の醍醐味はごぼう抜きです。前回は日本大のパトリック・ワンブィが13人抜きで区間賞の快走を見せました。
またこの2区はペース配分が重要になってきます。ラストに備えて序盤抑えめに入るとすぐに置いて行かれ、どんどん順位を落とすことになり、逆にオーバーペースで入ると権太坂以降でのブレーキに繋がることになります。
特に今年の2区は、(相澤(東洋大)、土方(國學院大)、伊藤(東京国際大)、ヴィンセント(東京国際大)などによる頂上決戦が見物となっており、史上最高に面白い戦いになるかもしれません。
■3区 戸塚〜平塚(21,5km)
遊行寺の坂を下る以外は比較的平坦なコースです。この区間に各校のスピードランナー(田澤廉(駒澤大)、阿部弘輝(明治大)のような選手)が集まる区間です。
近年この区間でもごぼう抜きが見られるようになっており、前回は森田歩希(青山学院大)が区間新記録の快走で7人抜きでトップに躍り出るなど、この3区の重要度も増しつつあります。
4区 平塚〜小田原(20,9km)
93回大会以前は最短の18,5kmでしたが、距離変更により2,4km距離が伸び、準エース区間に変貌を遂げ、重要度が一気に増しました。
この区間は細かいアップダウンが続き、ラスト3kmは上りになっているため、タフな準エースクラスの選手(定方駿(東洋大)、館澤亨次(東海大)のような選手)を置きたいです。
この区間を優位に進めた大学が毎年往路優勝を飾っており、前回は相澤晃(東洋大)が区間記録を大幅に上回る快走で往路優勝を決定的なものにしました。
5区 小田原〜箱根芦ノ湖(20,8km)
箱根山中111のカーブを曲がり続け、標高差840mを一気に駆け上がる前例のない山上り区間です。93回大会より距離が短縮されましたが、それでも全区間の中で最も差が付きやすい区間です。また芦ノ湯からの残り5kmは下り坂となっており、そこでの切り替えが一つのポイントになります。
山上りに適性のある選手(浦野雄平(國學院大)、西田壮志(東海大)、青木涼真(法政大)など)などはこの区間を優位に進めることができます。またこの区間は毎年ニューヒーローが生まれる区間であり、4代目山の神誕生に期待です。
6区 箱根芦ノ湖〜小田原(20,8km)
復路の幕開けは山下りです。標高差840m駆け上る5区とは打って変わってひたすら下り続けるコースです。
山下りといっても芦ノ湯までの最初の5kmはだらだらとした上りが続き、そこから17kmの箱根湯本駅まで一気に下り続けます。ラスト3kmも一応下ってはいますが、このラスト3kmは選手にとっては「上りに感じる」という魔の3kmと呼ばれ、ラスト3kmで30秒は差がつくと言われています。
7区 小田原〜平塚(21,3km)
この7区は別名「裏の2区」と呼ばれており、近年重要度が非常に増している区間です。全区間で最も寒暖差が激しい区間であり、この区間にエース格を置いてくる大学も増えています。ちなみに前回は阪口竜平(東海大)が前の東洋大を猛追、4秒差にまで詰めたことが優勝に繋がりました。
■8区 平塚〜戸塚(21,4km)
この区間は前半はフラットで走りやすいコースですが、15km以降には遊行寺坂という難所が待ち受けており、前半飛ばしすぎて後半ブレーキになる、という光景が何度も見られています。
近年の箱根駅伝ではこの区間を有利に進めた大学が優勝を成し遂げる傾向が多く、過去のデータを見てみると84回大会から今に至るまで優勝した大学は12年連続でこの区間を区間3番以内、そのうち区間賞が7回という、復路のエース区間に変貌を遂げつつあります。
青山学院大はこの区間を得意としており、下田裕太を毎年この区間に使って優勝を確実なものにしてきました。
9区 戸塚〜鶴見(23,1km)
本当の復路のエース区間です。2000年代には10回中4回この区間で首位交代が起こっており逆転の9区とも呼ばれています。序盤は権太坂を下り、中盤から終盤にかけてはほぼフラットという8区とは対照的なコースです。近年は8区までに勝負がほぼ決まるため、9区での首位攻防戦は見られませんが、今回のように戦国駅伝でもつれる展開になった場合はこの区間にいかに強い選手を残しておけるかが勝負の行方を左右します。
ちなみに復路は先頭が通過して20分で繰り上げスタートとなっており、次の走者は20分経つと強制的にスタートしなければなりません。さらに9区のラスト200mは直線区間となっており9区の走者の目の前で10区の走者が繰り上げスタートしてしまいあと数秒の所で襷を繋げず涙する光景が幾度も見られます。
10区 鶴見〜大手町読売新聞社前(23,0km)
11時間にわたる長い戦いの勝負を決めるアンカー区間です。3km過ぎの六郷橋以外はほぼフラットなコースではありますが、15kmを過ぎて泉岳寺、東京都心に入ると都心のビル風が選手を襲い、なかなかに走りづらい区間となっています。
この区間で失敗すると、取り返してくれる選手がいないため、非常にプレッシャーがかかる区間となっており、特に4年生がこの区間を任されることが多いです。

○今大会の見どころ
今大会は、優勝を狙う大学が多く存在する“戦国駅伝”となっており、往路から非常に混戦が予想されます。そこで、簡単な勢力図と注目校の簡単な紹介をしたいと思います。

 S 優勝候補
東海大、青山学院大、東洋大、駒澤大

 A+ 虎視眈々と上位進出を目指す大学
帝京大、國學院大、早稲田大

 A ハマれば面白い大学(ダークホース)
東京国際大

 B+ シード権争いを優位に進めることのできる大学
法政大、中央学院大、順天堂大、神奈川大、明治大

 B シード権争い
拓殖大、日本体育大、日本大、中央大

 C シード苦戦
創価大、筑波大、国士舘大

という感じで分けてみました(当方の独断によるものなので、あくまで参考程度にしていただけたらと思います)

続いて、優勝争いの中心となる大学の簡単な紹介とそれぞれのキーポイントをまとめてみました。

○東海大 (前回優勝)
前回悲願の初優勝を成し遂げた東海大、黄金世代と呼ばれる4年生を中心に力のある選手が揃っていますが今季は3年生以下の選手が躍動。出雲駅伝では4位でしたが、結束力をより高めて挑んだ全日本大学駅伝では塩澤、西田、名取の3年生トリオを中心に16年ぶりに優勝を成し遂げました。
全体的に層が厚く、箱根経験者が9人おり、スターター、山上り、エース区間などを確実に走れる選手が揃っており大きな穴がないため優勝候補筆頭と言っていいでしょう。
△キーポイント 山下りを誰が務めるのか
東海大唯一の不安要素は“山下り”です。前回までは3年連続で中島怜利がいましたが、4年生になった今季は思わぬ不調でまともに走れない日々が続き、エース格の關と共に16人のエントリーから外れる形となりました。
現時点では小松陽平が候補として挙がっていますが、元々東海大はスピード軍団、果たして誰が走るのか、最大の注目点です。

○青山学院大 (前回2位)
前回は5連覇を目指しながら総合2位に終わった青山学院大、王者の座から引きずり下ろされ、挑戦者としての立場で一年を過ごしました。
3年生エースの𠮷田圭太、ハーフマラソン61分台の鈴木塁人、10000m記録挑戦競技会トップの中村友哉、出雲2区区間賞のルーキー岸本大紀など各学年に実力者が揃っており、層の厚さ的には例年の青山学院大と何ら変わりはありません。
出雲駅伝では5位でしたが、全日本大学駅伝では混戦の中で2位に入るなど流石の強さを見せつけました。
キーポイント 山2区間
今季の戦いを見てみると、出雲では4年生2人を終盤区間に配置したものの、2区間で順位を落とす結果になり、対照的に全日本では4、5、6区の4年生の踏ん張りで7位から3位にまで順位を上げ結果的にエースの𠮷田圭太にいい形で襷を繋げられたことが2位に入った要因の一つになりました。
ただ、問題は山です。
山上りでは竹石尚人というスペシャリストがいますが前回は区間13位と順位を下げる走りになり、駅伝シーズンに入っても本来の走りが出来ず、今回はエントリーから外れる形になりました。
また山下りに関しては前回まで4年連続で小野田勇次が務めましたが、その小野田が卒業、また新たな山下りの選手を見いだす一年になりました。
現時点では4年生の谷野航平が候補に上がっています。
山上り、山下りの経験者がエントリー内にいない形となった青山学院大、山上りは2年生の飯田が候補に上がっていますが、山下り含め、誰が走るのかに注目です。

○東洋大学 (前回3位)
前回は往路連覇を達成しながら復路で逆転され3位に甘んじた東洋大、今季は絶対的エースの相澤晃が春先から好調を維持。特にユニバーシアードのハーフマラソン優勝はチームに刺激を与えました。
ただ出雲全日本では噛み合わない駅伝となり、2つともちぐはぐな駅伝になりました。
しかし全体の層を見てみると、エースの相澤に加え、2年連続箱根1区区間賞の西山和弥、2年連続6区を走った今西駿介、3年生の吉川洋次など力のある選手が揃い、さらに今季になって4年生の定方駿が台頭、全日本では7区2位の活躍を見せるなど切り札としての存在になりつつあります。
△キーポイント 3年生以下
2つの駅伝では吉川、鈴木ら主力の足並みが揃わず、さらに西山が出雲1区10位、全日本5区11位と本来の走りが出来ず優勝を逃す結果になりました。
西山は箱根で2年連続で1区区間賞を取っており、さらに吉川も2年連続で往路を走り、4区2位、3区4位と安定した強さを誇る選手です。鈴木宗孝も前回は8区で順位を落としながらも区間3位の好走を見せた頼もしい選手です。
しかしながら両駅伝ではこれらのカードを生かせず、結果的には相澤頼みの駅伝になりました。
エントリーの段階では3年生の浅井、前回8区3位の鈴木が外れる形となりましたが、箱根駅伝では相澤頼みのレースにする訳にはいきません。あと3週間、足並みを揃えて酒井監督の手腕に期待です。

○駒澤大学 (前回4位)
前回は久しぶりに上位進出を果たした駒澤大、出雲2位、全日本3位と、5強の中では最も安定した力を持っています。
エースの中村大聖、2年連続2区を走った山下、さらに中村大成、伊東颯汰らに加え、ナンバーワンルーキーと呼び声高く、チームの新エースに名乗りを上げようとしている田澤廉など、近年の中ではエースクラスの層が非常に厚いです。
キーポイント 2、3年生
エースクラスの選手層は厚く、山要員も揃っていますが、優勝へのキーポイントになるのがこちらも3年生です。
駒澤大も東洋大のように3年生に力のある選手が揃っており、伊東颯汰や小島海斗、小林歩、加藤淳ら実力者が揃っており3年生で大体の区間が埋まります。
そして2年生、この学年は三大駅伝経験者がいない状態でありますが、上尾ハーフにて石川拓慎が奮起。箱根メンバーに一歩近づきました。
おそらく10区間のうち半数以上の区間(特に復路)は2、3年生で占めると思われる今回、この2学年がどのような走りをするかで順位は大きく変わります。

○國學院大 (前回7位、出雲優勝)
前回は7年ぶりにシード権を獲得した國學院大、チームはさらに力を付け、迎えた出雲駅伝ではミスのない駅伝で三大駅伝初優勝を飾りました。
エースクラスの層は全大学中トップの強さを誇り、浦野、土方、青木の3本柱は超強力です。さらに次期エース候補の2年生の藤木、出雲全日本両駅伝で快走を見せた1年生の中西大翔、さらにその双子の兄で全日本6区5位の中西唯翔、前回4区を走った茂原大悟に加え、10000m28分台を持つ島崎慎愛など実力者が揃います。
キーポイント 8番手以降
上記に挙げた8人はいいですが、箱根駅伝は10区間、箱根で上位進出のためには、せめて上記のような選手が前回8区を走った殿地を含め12人は必要です。その筆頭となるのは、上尾ハーフで63分25秒をマークした藤村遼河、63分29秒の河東寛大の3年生2人が自己ベストをそれぞれ大幅に更新。さらに同じく3年生の高嶌凌也、1年生の川崎康生も63分後半でしっかりとまとめ上げました。
さらに甲佐10マイルにて2年生の木付琳が同じ2年次に土方が打ち出した記録を19秒更新する走りでメンバー入りに名乗りを上げました。
これで14人揃った國學院大、箱根上位進出にはこの中間層の選手たちの頑張りが鍵を握っています。


最後に、当方が注目している大学を簡単に紹介します。
○東京国際大 (全日本4位)
当方が最も注目している大学です。ここ数年で非常に力を付けており、今季は全日本予選、箱根予選会共に1位通過、さらに全日本大学駅伝では初出場ながら4位に食い込み初出場で初シード権という偉業を成し遂げるなど、勢いは衰えることを知りません。
留学生の27分台を持つイェゴン・ヴィンセントや全日本8区区間賞のルカ・ムセンビ、さらに日本人エースの伊藤達彦など、抜群の破壊力を持っています。彼らに続き、真船恭輔、相沢悠斗、山瀬大成、そして主将の内山涼太など、4年生を中心に層は厚いです。
キーポイント 山
東京国際大初シードはもちろん、上位進出の鍵を握るのは山2区間です。5区は前回区間21位に終わり、6区も山下りを2年連続で努めた河野歩が卒業。“山を制する者は箱根を制す”という言葉の通り、この2区間は非常に重要です。
ですが、すでに要員は揃いつつあると言う大志田監督、各々がどんな走りを見せるのか、そして采配に注目です。

○早稲田大 (全日本6位)
前回13年ぶりにシード権落ちとなった早稲田大、箱根予選会は9位通過となりましたが、1週間後の全日本大学駅伝では安定感のある駅伝で6位、3年ぶりにシード権を獲得しました。
エースの太田智樹に加え、2年生の中谷雄飛、千明龍之佑、ルーキー井川龍人など力のある選手は揃っており、上位復帰を本気で狙える布陣となっています。
キーポイント 4年生
エースでキャプテンの太田智樹は、前回2区区間21位と振るわず、しかし今季は予選会チーム内トップ、全日本2区4位と復活、さらに前回9区を走った新迫志希は箱根予選会を回避して全日本7区に当場、7区9位とまずまずの走りを見せるとその後の記録会で自身初となる28分台をマークするなど好調を維持しています。
叩き上げである4年生にも注目です。尼子風斗は着実に力を付け、箱根予選会に出場、結果は良いものではなかったものの、エントリーメンバーに選ばれ箱根メンバーに前進しています。
彼ら4年生を中心としたチームで、上位進出を虎視眈々と狙います。


これで今回は終わりになります。このガイドを使って、当日を楽しんでいただけたら嬉しいです。これからもよろしくお願いします🤲