「新しい資本主義」岸田総理が掲げている日本経済の将来像ともいうべきだろうか。これを理解することに困難を感じている。

 新しいのはどこなんだろうか、「リスキリング」というのが目を引いた、リスクキリングと少し間違えたけど、リ+スキリングかと、労働経済学やイノベーションとかで聴いたことがある政策パッケージだった。

 コロナ禍開けの需要拡大にのり、物価上昇2%を確保して、企業にそれ以上の賃上げで実質賃金上昇を促す成長軌道確保はオーソドックスな政策展開で「新しい」は?である。財政出動でもなく金融政策とも違う所得政策みたいなコーポラティブな政府のガイダンス策ではある。

 むしろ「子育て支援」を社会保険料で増加で賄うという、自助のできない子ども世代への資金移転を社会保険料の枠組みで行うことの実施である。既に子育てに拠出増額は決まっていたけど負担供出元は消費税ではなく実施することにある。所得減税も同時実施で、負担割合は変わらないという手の込んだものであるけど。保険の原理である自助の要素が弱まれば拠出と受益の均等原則よりもその時々の政策の裁量性がクローズアップして受益への不安を増幅させやすくなり、自助の原理が消えていく側面は否めない。究極な原理としてはプラトンじゃないけど次世代は家庭より国の子どもたちへかなと。

 公的な社会保障では保険原理が消え、カバー範囲が拡大して拠出が消費税の代替選択肢となっている。拡大する公助は自助の縮退を促してしまう、保険の拠出と受益の均等化という原理の変容を促進するのが「新しい資本主義」かなと。