ウクライナ司令官の更迭がささやかれる。ゲームチェンジャーの戦車やミサイルの供与で期待されていたウクライナの反転攻勢は失敗、支援諸国の国民には支援継続への躊躇いをもたらしている。むろん明日は我が身の小規模な近隣NATO加盟諸国はなんとかここでくいとめておきたいと前のめりのままだが、NATOを支える財政と軍事力をもつ諸国は、ウクライナはよくやった。でも、もうロシアを押し返す力はあるまいとの判断を固めてきているだろう。無期限に続く戦闘の支援より、突破できない硬直した戦線を停戦ラインにする和平の可能性である。でもまだ口に出せないでいるのだろう。下手をすると戦闘派による市街戦が継続する内戦状態に突入することは避けたい。

 またこの停戦判断は指導層の責任に直結する。これだけの国民の戦死者数、国土の破壊である。戦争状態を政策変数から除いた停戦状態の出現はリーダーの責任を厳しく問う。平時回帰への道のりは、戦時の国民の生命すら賭することは許されないわけで、困難を極める国民を確実に救うことを語り、鼓舞して、まあ実態は他国の支援にたよるインフラ復旧だろうけど。これは外交である。戦時中から支援物資をめぐる涜職での幹部更迭が起きていた国である。募金まで行った支援国の人々が聴きたくもない話が吹き出るのではないだろうか。