某日、きょうだいから連絡があり、母の入院費の清算に出向くことになった。

入院保証金と小遣いの残金があるので、そちらを受け取りに来て欲しいとのこと。

8年余りお世話になり、連れて行った頃の父はどうしていたのか知らないが、私たちがかかわった期間はほぼ緊急性があったり、新しいシステムの導入があった。

とてもお礼をするどころではなかったので、今回、お菓子をお持ちすることにした。医療機関は固辞することは分かっている(当科はそういうことが稀有なので笑いたくなる)が、昼休みのお供にして貰えたらいいと思った。父もきっとそれを望んだだろうし、気遣いがないと結構、怒る人だった。

 

清算をして病棟に伺った。鍵を開けてくださった師長さんとお会いするのは何度目だろう。

母の忘れ物はお菓子と施設からの残薬だったので、その処分はお願いして、お菓子をお渡しして(無理やり)お世話になったことのお礼を伝えると、ナースステーションに案内された。

夜とは違い、スタッフがたくさんいる。「Mさんのご家族がお持ちくださいました」と丁寧に言われて恐縮しきり。

「お父さんは今どちらに?」

「施設です。ですので連れて行ったとしても誰が主役か分からなくなるので(としか言いようがない)伝えていません。多分、伝えることはありません」

何人かのスタッフに声かけをして貰い、主治医に改めて挨拶をして病院を出た。

 

母の急変を職場に伝えた際の文面が”多分お別れです”だったので、翌日、院長に詳細を連絡して1回、出勤した。

その日はスタッフに「驚いたでしょう」「無理しないでいいんだよ」「落ち着かないですよね」と言われて、却って申し訳なかったと思う。

私が見ている方がいるのもあったので、スタッフが受け入れてくれたのではないかと感謝している。

何かがあったら”今日は担当がこういう事情で来られないので、代わりに拝見します”が、当職場のやり方でもある。

 

葬儀の前日に母の棺に入れるお菓子を買ったのだが、その時に職場と遠方から来る親戚にお菓子を買っておいた。

お店で選んでいる時間が私に癒しをくれていたように思う。人にお菓子を買うのは結構、好きなのだ。

それを出勤した際に報告がてら院長に渡し、スタッフルームに置いて貰った。

 

今日は実家に行き、母の最後の荷物を置いてきた。

まだ遺骨があり、しつらえた祭壇にはコーラが置いてあった。

四十九日は9月上旬に行う。