ツリちゃん 11 | ミータの愛猫物語(連載)

ミータの愛猫物語(連載)

愛するにゃんこ達との悲喜こもごもを綴ります。

 結局17日間入院した。退院時もまだ足を床につけられない

状態で、歩けるようになるまでは更にしばらくかかった。

そのため引っ越しが予定より大幅に遅くなった。これはツリに

とってはいいことではあった。

 引っ越しまでツリについて夫と言い争うことが何度もあった

が、夫は

「連れて行かん」

と譲らなかった。夫がどう言おうと連れて行くべきだった。

 引っ越しの日はもとの自宅に泊まった。翌日の早朝私だけが

一足先に新しい家に行って、荷物を受け入れ、引っ越し業者

さんが帰った頃に夫が猫達を連れて来ることにした。

 猫達はしばらくキャリーの中に入れられて、さぞかし窮屈

であっただろう。家の窓を全部閉めて、夫が2つの大きな

キャリーの蓋をあけた。

 ツリちゃんは・・いなかった。

何か言えばまた言い争いになることはわかっていた。それに

友人が手伝いにきてくれていたので、敢えて言わなかった。

 それからは毎日まだ腫れて具合の悪い足で、荷ほどきに

明け暮れた。

 サビが新しい環境に戸惑いながらも慣れていく様子を見て、

もしツリがいたらサビはどうだっただろうか、と考えた。

ツリのことで夫と言い争いたくはなかったが、誰もいない

家の周りをうろついているツリの姿が頭に浮かんで、

思いを消し去ることもできなかった。