トラちゃん 6 | ミータの愛猫物語(連載)

ミータの愛猫物語(連載)

愛するにゃんこ達との悲喜こもごもを綴ります。

 夫が「トラちゃんはヤクザをしないね」といった。

 『ヤクザ』というのは不適当な言い方かもしれないのだが、私たち夫婦だけにに通じる表現だ。

 これまで何匹も子猫を保護して里親を探してきたが、たいていの子猫はうちの成猫が近くに行くと、恐怖を感じてか、じゃれているのか、小さい背中を精一杯持ち上げ、前後の足を揃えて相手を威嚇するように、チョンチョンと体を斜めに寄せていく。絶対かなわない相手に数分の一しかない体で向かっていく、その懸命に凄んでいるような様子がおかしくて、見るたびに笑っていた。その行動を『ヤクザ』と言っていたのだ。

 それをトラちゃんは一度もしたことがない。逃げるか、好きな猫には慕うあまりにストーカーになるか、どちらかのようだ。多分ちょっと臆病でいい性格なのだろう。

 トラちゃんの相手をしてやっていると、トラちゃんは大喜びで、そのうち興奮してきて黒目が真ん丸になる。夏のこととて、薄着で肌を露出している部分が多く、トラちゃんの細い爪で私達の足や手が傷だらけになった。

 

 インターネットに登録すると間もなく、女性の名前で申し込みがあった。

 「トラちゃん可愛いから人気があるかな」

子猫たちには幸せになってほしいというのが、私達の切なる願いである。すぐに返事を書いて、トラちゃんの環境がどのようになるのか、いくつか質問とお願いをさせていただいた。ところが何日たってもそれに対する返事が来ない。そうこうするうちに、また別の女性から申し込みがあった。