最新医療事情117「 移植に保険不適用は適法 大阪地裁 」 | 脱奴隷小児科医の刹那主義

最新医療事情117「 移植に保険不適用は適法 大阪地裁 」

急に暑くなってきましたが、お元気でしょうか。

コメント、ペタありがとうございました。



小児科では、嘔吐下痢の風邪が流行っていますね。



子宮頚がんのワクチンについてもご質問を頂きましたが、実際のワクチンの効果については
やってみないと分からないというのが正直なところでしょう。(まだ実績がない)
子宮頚がんに関してはワクチンはもちろん重要ですが、それ以上に定期的な検診が重要です。
ワクチンを受ければがんにならないというわけではないので、きちんとした説明がなされた上で
接種することが望ましいと思います。
(子宮体がんについては詳しい知識を持ち合わせていないので分かりません。)




最近、B型肝炎訴訟のニュースを見ましたが、これは難しいでしょうね。
感染経路の特定が不可能ですから。
予防接種の注射器の使いまわしかもしれないし、床屋のカミソリかもしれないし、性交渉かも
しれないし。

もともと薬剤にウイルスが混入されていたとされる薬害肝炎とは話が違いますからね。
予防接種による注射器の使いまわしが原因ということは、誰かのウイルスが注射器の針などに付着し、
そこから感染が広がっていったということですから。
その時代の医療状況、医療レベルが大きく影響してくるわけです。

かくゆう私も、B型肝炎の感染既往があります。
キャリアーではなく、過去に感染があったが現在治癒しているという状態です。
つまり私の体にはB型肝炎ウイルスはなく、他人うつすことはありませんし、再感染することも
ありません。

知らない間に感染し、知らない間に治癒し、知らない間に抗体が出来てしまったということです。

なぜ判明したかと言いますと、中学生の時に何かの精密検査をする前の下準備として行った血液検査で
たまたま見つかりました。

思い起こせば、小学校の時に(何年生か忘れました)不明熱が1週間以上持続するということで
病院に入院していたことがあったのですが、結局原因が分からずじまいでした。
まあ、これが一番怪しいですな。

で、どっから感染したかということですが、予防接種の注射器からの可能性も十分あると思います。
だって、確かに使い回していましたから。
1回1回、注射器と針の交換なんてしていませんでしたよ。
何本か注射器が並べてあって、看護婦さんが次から次へとワクチンを注射器で吸っていってました。
そして医師が、どんどん接種していくという流れでした。そしてまた看護師が吸っていく。


当時はその程度の医療レベルだったのでしょうかね。


私は、幸いにして何の後遺症も残さず自然治癒しましたが、当事者の方々はそういうわけには
いかないでしょうね。

国としては線引きが出来ない以上対応ができないでしょうし、何より国民のためにもうこれ以上
医療費を使いたくないでしょうから、容易には話が進まないでしょう。
そのうち訴える人も減って、うやむやになってしまうのではないでしょうか。

ただH18年に札幌で最高裁が国の責任を認めてしまったものだから、国としては厄介です。

あとは、国がそのつけを払う気があるのかどうかだけの問題ですな。




では、本題へ。




『 移植に保険不適用は適法 大阪地裁


  生体肝移植をした女性(60)の夫が、保険が適用されなかったことを不服として、健康保険組合
  の処分取り消しを求めた訴訟の判決で大阪地裁は13日、請求を棄却した。

  判決理由で吉田徹(よしだ・とおる)裁判長は「2005年の手術当時、肝がんでの生体肝移植は
  医療の一般的な水準に合っておらず保険適用外とすることには十分な理由があった」と指摘した。

  男性側は「不適用は治療の道を経済的に閉ざすもので不当だ」と主張していた。

  判決によると、男性の妻は大阪大病院で生体肝移植の手術を受け、当時の勤務先の健保組合に高額
  療養費の支給を申請したが、保険適用が認められなかった。

  高額療養費は医療保険の給付の一つで、患者の自己負担が一定の額を超える場合、超過分が支給さ
  れる。 』




 現在の医療として、移植医療を保険適応とするかどうかという問題と、過去にさかのぼって高額
 療養費の超過分の支給が請求できるかどうかは別問題でしょうに。
 
 
 
 これからは、保険適応外になっていく治療法も増えていくのではないでしょうかね。

 ヒブワクチンも保険適応外なわけだし。

 もしかしたら、保険適応だった治療も保険の適応が外されるようになるかもしれませんな。

 まあ、お産の分娩費用も保険適応外なわけだし。

 そう考えると今の病院って、今後保険診療が変わっていってもあんまり影響受けないかもね。