最新医療事情113「私立歯大の定員割れ拡大、高収入のイメージ崩れ」 | 脱奴隷小児科医の刹那主義

最新医療事情113「私立歯大の定員割れ拡大、高収入のイメージ崩れ」


さてさて、急に暑くなってきた大阪ですが、連休はいかがお過ごしでしたでしょうか。

多くの方の読者登録や、コメントありがとうございます。

ペタを頂いた方のブログの記事に、「 医者に必要なものは? 」という項目がありましたので
お答えしたいと思います。

友愛の精神はもちろん(笑)、医師(臨床医)に一番必要なものは

『多くの情報を冷静に素早く判断する力』

ですね。

この力は、慣れれば誰でも出来るようになります。
あとは経験が裏付けされていくだけです。
まあ、どんな仕事でも同じでしょうけれど。

なので、医師になって仕事をしていくのに、なんら特別な能力など必要ありません。

「 えっ、 よくテレビでスーパードクターとか、やってるけど? 」

プロ野球選手にも、万年2軍選手もいればイチローみたいな選手もいるということです。
プロ野球選手であれば、両者の年俸はケタ違いでしょうが、医師はみな同じ(技術力に対する
金銭的な評価の違いはない)ということです。


ただ、いまだに日本では医学部に入るのが難しいようですが・・

旧帝大医学部にこだわらなければ、受験勉強という訓練をすれば誰でも医学部に合格できます。

今の日本のシステムでは(20年前とは変わってるかもしれないが)、医学部受験に知能とか能力は
全く必要ありません。
知能とか能力を言い訳にしているだけだと思っています。

『 自分のやりたいことのために、つまらない訓練をいかに我慢するか 』

ただ、それだけです。

ただ、そのつまらない訓練が、『多くの情報を冷静に素早く判断する力』に繋がってくるのかも
しれません。

だからイヤミではなく、本当に能力的に優れている人は、医師になるのはもったいないです。





ちなみに医学部の面接ですが、はっきり言って合否にはほとんど関係ありません。

面接官が一番見たいのは、

「 コイツ、人間的におかしなヤツとちがうやろか 」

だけです。
目線がうつろで、どこ向いてしゃべってるか分からない人とかは、ここで引っ掛けられます。

医学部の友達で、面接官から志望理由を聞かれたところ、センター試験で受かりそうなところが
ここしかなかったからと答えたそうですが、普通に合格していました。

面接でいいカッコしようが、適当に答えようが、合否は筆記試験の点数のみで決まります。



しかしこのまま、後先考えすに医師の数を増やしていくと、受験を乗り越えて医師になろうと
いう人は確実に減少するでしょう。

決して他人事では、ありません。


『 私立歯大の定員割れ拡大、高収入のイメージ崩れ


  昨春に大幅な定員割れを起こした私立歯科大・歯学部で、今春も全国17校のうち11校の入学者
  が定員を満たさず、定員割れが拡大していることが、「日本私立歯科大学協会」のまとめでわかっ
  た。

  同協会によると、今春の入試は、募集定員1891人(前年度比13人減)に対し、4318人
 (同655人減)が受験、1489人(同213人減)が入学した。定員割れの校数は同じだったが
  、全体の欠員率は昨春の倍の2割に達した。

  このうち、奥羽大歯学部の入学者数は定員の3分の1の32人で、松本歯科大、北海道医療大歯学
  部とともに欠員率が5割以上。昨春の場合、定員割れしても5校が欠員率1割以下だったが、今春
  は11校すべてで欠員率が1割を超え、2割以上も9校を数えた。定員割れで、高額の学費を見込
  めず、学校経営には大きな打撃となる。また、質的に一定レベルの学生を確保できないおそれもあ
  る。

  受験者減には、歯科診療所の過当競争で、「歯科医師は高収入」といったかつてのイメージが崩れ
  ていることなどが背景にある。 』



 ついでに、世間では高収入と言われている開業医(医師)の平均年収のデータを上げておきます。


 『 ◆ 個人開業医の手取り年収を調査した結果は、平均1,067 万円、最も高い55~59歳でも
     1,469 万円であった。
     また、全体の57.7%が手取り年収は1,000 万円以下であり、一方、2,000 万円を超える人は
     13.8%にとどまっていた。

   ◆ 中医協の医療経済実態調査による個人立診療所の1 ケ月の収支差額を12 倍し、それを単純に
     給与所得者と比較することがしばしば行なわれる。しかし、そのような比較は、極めて
     不適切であり、大きな誤解を招いている。

   ◆ 個人開業医の手取り年収を勤務医師と比較すると、45~49 歳で56 万円高く1.05 倍、
     50~54 歳で216 万円高く1.2 倍、55~59 歳で264 万円高く1.2 倍であった。

   ◆ 個人開業医の地域における社会的役割や、経営責任をはじめとする事業者としての様々な
     リスクを考慮すれば、個人開業医の所得が不相当に高いといった評価(ないしそのような論調)
     は適切ではないと言える。開業医の役割とその報酬について、冷静な評価に基づく、適切な財源
     配分が期待される。

     文部科学省は「教育の質を確保するべく、これを契機にさらに入学定員の適正化を働きかけ
     ていきたい」(医学教育課)としている。』(日本医師会総合政策研究機構)


  
  今後、これ以上年収が下がることはあっても、上がることは絶対にありません。


  歯科医師の方には失礼ですが、二の前にならないという保証はどこにあるのでしょうかね・・・