筋肉の成長のなんやらかんやらを助けるサプリメントとして「クレアチン」が販売されています。
一方体内には「クレアチン」だけではなく「クレアチニン」という物質もあります。名前は似ていますが、作用は異なります。いずれも血液生化学的検査で指標となるものですが目的も異なります。
この区別の理解は筋肉におけるATP生成回路の話に関与してきます。ATPとは
筋肉ではATP産生の回路として以下の3つを持ちます。
①解糖系(無酸素)
②TCA回路&電子伝達系(有酸素)
③ローマン反応/ATP-CP系(無酸素)
①解糖系(無酸素)
②TCA回路&電子伝達系(有酸素)
③ローマン反応/ATP-CP系(無酸素)
タイトルの「クレアチン」や「クレアチニン」はこの③に関わります。
筋肉は収縮する時はもちろんのこと、弛緩する時にもATPを必要とします。そのため、筋肉はATPが枯渇すると収縮した状態で停止します。わかりやすい例だと死後硬直でしょうか。死んでしまった細胞はATPを作ることが出来ないため筋肉が収縮したまま硬直してしまうのです。
そもそも筋線維中には単収縮8回分のATPしか無いのです。
筋のATP不足を防ぐため、筋弛緩時に余剰なATPをクレアチンキナーゼの作用で、クレアチンリン酸とADPの形で蓄えます。
化学式で書くと以下のような反応となります。
※講義プリント改変※
そのため、クレアチンはサプリメントで販売される際に『筋肉の疲労回復』や『筋力アップ』の可能性を謳った形で販売されることが多いわけです。
一方、クレアチニンは上記のように、クレアチンリン酸の代謝物であり、体内では不要な物質で尿に混ざって排泄されます。そのため摂取する必要は明らかに無いわけです。
そのため、クレアチニンのサプリは意味が無いわけですが、インターネットをみていると「クレアチン」サプリの販売名に「クレアチニン」と間違ってつけられているものもあります…(商品のラベルには「クレアチン」と書いているんですが…)。
一文字違いで大違いですね(笑)
というわけで、血液中にクレアチンが高置を示すと筋細胞の破壊を意味し、クレアチニンが高値を示すと腎機能の低下を意味するわけです
自身が購入するものは色々と調べて購入するのが良いですね…