HOME | 吉澤はじめ MY INNER ILLUSIONS

HOME

昨夜はアルフィー。
アルバム発売前の最後のライブ。
まさに、待ちが出るほどの大盛況。
満員御礼を申し上げます!
またそれ以上に、
僕らの演奏にのめり込んで
聴いてくださっている様子が、
エネルギーとしてビンビン伝わってきて、
とても感動しました。
本当に、どうもありがとうございます。
__________________________________________________
今日は、アルバム4曲目の「HOME」

シンプルでストレートなメロディの曲を書くことは、
実はとても難しいと思っている。

削ぎ落としていけばいくほど、
必ず既存の曲に行き着いてしまうから。

本当に素直な気持ちになって、
一曲を通して書ききらないと、
結局どこかでそんな既存の曲の亜流になってしまう。

ここにしかない世界を生み出すためには、
真摯にそんな葛藤と取り組まないと、
ありきたりの曲として、
短い命で終わってしまう、と思う。

この曲が出来たのは、
一年ぐらい前。
細かいメロディを推敲してきて、
ライブでも何回か演奏した。

今回のアルバムのデモ作りの段階で、
一度は候補から落とされたこの曲が、
逆に作品においてとても重要な、
役割を果たすことになったのは、
ひょんなきっかけからだった。

僕の音楽活動を、
子供の頃から見守ってきてくれた人。
小学時代の一つ上の先輩。
プロ活動をする前から
一緒にバンドを組んだりもした。
そんな先輩H氏は現在、
博報堂につとめる広告プロデューサー。
「I am with you」
「Rise me up」
などを、CM音楽として
世の中に生み出すきっかけを
僕に与えてくれたのは彼。

そんな彼が電話をかけてきて、
「カフェ・ラッテの新しいCM音楽をはじめにやって欲しい。
この商品の顔になるような、長く愛されるメロディが欲しい。」
と相談を持ちかけてきた。

スタジオに訪れた彼に、
曲名もまだなかった「HOME」をピアノで演奏した。
すると、たちまち、
彼は、少年のようなキラキラした目で、
「これ!これだよ!!」
と興奮状態で僕の肩を叩いた。

早速、歌詞のイメージを考えた。
僕は「居場所」というキーワードを出した。
さらに、
どこにいようと「HOME」は、
ここ(心の中)にある。
地球上に立っている、ということは、
それ自体が「HOME」にいる、ということ。
だからこそ、その美しい「HOME」を大切にしよう。
という、曲の世界観を伝えた。

ほぼ即日のうちに、
僕はこの曲を歌ってくれる適任者を選んだ。

それがShanti

2年ほど前、中目黒のライブハウスで
彼女と共演したときから、
どこかでずっと気になっていた。

人の心を揺り動かす「切なさ」のようなものが、
彼女のベーシックな部分に、自然と鎮座していて、
スーッとそれが聴いている人の心に入り込んでくる。

たった一曲だけの共演だったけど、
その不思議な感覚がずっと残っていた。

オファーを快諾してくれた彼女は、
僕が伝えた歌詞のイメージをさらに膨らませて、
会心のデモをつくってくれた。

しかし、その時点でも、
まだ今回のアルバムに収録するかどうか、
は未定だった。
アルバムの中での落としどころ、必然性。
アグレッシブな曲が多い中で、
極端にポップなサウンドだと、
確実に浮いてしまうのは必至。

僕が、頼みの綱にしたのは以下3点。
1、「TIME」同様の、最小限の編成、
+余計なアレンジを施さない。
2、荒巻茂生、本田珠也、そして僕。
この3人の音楽家としての品格。
3、Shantiが持っている純粋さ、率直さ。

そしてレコーディング終了。
確実にこの曲の存在理由を感じた。
それ以上に、この曲があることで、
僕がこのアルバムで表現したかった世界が、
さらにひろがった。
とても嬉しかった。
Hさん、本当にどうもありがとう!

アルバム中盤に向けて、
さらに深い音宇宙へとリスナーを導入する
「CUE」として、この曲が果たす役割は
とても大きいものになった。

[先月、福岡キャナルシティにて]