私は、院長の言葉に瞬間的に


病院内部の様子を思い浮かべていました。



父の狭い病室に並べられた6台のベッド


ベッドに脇には人が1人やっと立てるだけのスペース


そのスペースも、使用中のオムツや、汚物容器などが


占領していて、殆ど足の踏み場もないほど..


汚臭とうめき声に満ちた部屋は


50歳代から90歳代ぐらいの寝たきり状態の


高齢者が占められている。



エレベータを挟んで向かい側に1室だけある


女性部屋や、立ち入り禁止の3階から


断続的に聞こえてくる、うめき声、叫び声...........







私が返事をしないでいると



院長は、母に向かって


院長「ねえ、○○さん、あなたは、何時も私が出す薬で


    体調が良くなっているでしょう


    私は、何時もあなたの事を考えているんですよ


    もちろん、ご主人の事もそうです


    安心して私に任せなさい、解りますね!」




母にとって医者は神様、神様の言うことは絶対


医者に自分の意見を言うことなど考えられない


決して逆らってはいけない、そういう時代を生きてきた


ましてや、その傾向が特に強い母


院長は、その母を説得しようとしているのだろう




母は俯いたまま、「すみません、すみません」と



小さな声で繰り返していました。




私は、その母を見ながら



もしかして................


此処に入院している人たちは


院長に同じ事を言われたのではないだろうか?


患者が高齢者なら、連れ居合いも高齢者


母や父と同じ世代を生きてきた人達




医者から安心して任せなさいと言われ


「お願いします」と頭を下げてしまったのでは


ないだろうか.........と



考えていたのでした。



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