無くて七癖という言葉がある。

癖は誰もがもっているもの。

かくいう私も自覚している癖はある。

考え事をしている時に顔を触る。行き詰ると髪をかき乱すだ。

この後者の癖のせいでろくに髪を固めることもできない。

自分の癖など思いつかないという人もたまにお見掛けするが

傍目八目という言葉があるように他人から見るとよーくわかるものである。

 

突然だが私はファミコン言葉が気になる年代だ。

もう死語なのかもしれないが、ファミレスやコンビニのマニュアルで使われる言い回しのことだ。

「よろしかったでしょうか?」「こちら~になります」などがそれだ。

後者など今から変身すんの!?とちょっとワクワクしてしまうではないか。

 

職場にこのファミコン言葉をやたらと使う人がいる。

やたらと「方(ほう)」を連呼するのだ。

「奥様の方いらっしゃいますか?」(奥様の方角になにかいるのか?)

「御社の方に伺います」(会社にいくのか?いかないのか?消防署の方的な?)

まあこのような内容をよく通る声(実にうらやましい)で話すものだから

仕事中でもついツッコミをいれてしまっていた。

早い話が少しイラついていた。

気になってはいたものの最近ではなにを言ってもハラスメントと言われる時代。

話が通じればいいだろうと無理やりに自分を納得させていた。

そんな私がある日突然敗北する。

 

その日もその人は元気に取引先に電話をかけていた。

その時の会話を書き出してみる。

「では、私の方(①)から部長の方(②)に役所の方(③)の〇〇さんの方(④)の件をお伝えしておきます」

だ。

そう長くもない一文の中に4回も方(ほう)をぶち込むまさかのハットトリックに私の頭の中の私たちはスタンディングオベーションであった。

正直めっちゃ面白かった。

「正しい日本語へのこだわり」が「面白かったらええやん?」に完全白旗をあげた瞬間であった。

言葉は時代とともに変化していくものであるし、ようは伝わればいいのだ伝われば。

 

ちなみに面白さ至上主義の私は、関西の方(ほう)出身である。