東京小平市「小平駅」界隈の廃屋群-9から脇道を進むと、この無人の家があった。

「やっぱりあった」、そして「やはりそうだった」と。

 

塀の向こうに見える母屋はやたらと立派で、屋祢下もじつにいい。そして全体がそうではなかったが、一部は横板張りで、その陳腐さはオンボロ長屋と共通だったことに僅かに声が漏れてしまった、どういった種類の「感慨」だったのかはよくわからない。

その横板張りも所々で外れかかり、傷みが確実に進行しているようった。そして屋敷林の一部も雑草との格闘に敗れ、飲み込まれつつあった。

 

他人様の館だから余計にそう思うのかもしれないが、これを維持するのはいろいろ大変だったように思う。無人化した理由は何一つ分からないが、「維持が大変」と云う理由もまた一般的過ぎるかもしれないが、大きめの家は総じてそうしたものが付きまとっているように思える。

 

私には叶えたい夢がある。

それは「屋根に上って吠えること」だ。些細なことかもしれないが本当の夢なんてそれしかない。

オンボロ長屋、古びたアパート・・・そうしたところばかり生活してきたので、富士山なんてどうでもよくて、平屋の民家の屋根でもそこに上がってみたい願望がある。

だから、ここのような立派過ぎる屋根瓦のある屋根ではなく、ベコン・ベコンのトタンの屋根の上でもいいのだ。でも火傷しそうなので真夏以外の季節で・・・。

撮影日:令和4年7月9日