埼玉県飯能市武蔵横手駅界隈の廃屋群-4から細く短い坂道を戻る途中の左側にこの廃屋があった。「-4」から然程離れていない。

この民家の裏には寒々しい山際が広がる。それは12月末だからそう感じるのかもしれない。春や初夏は新緑でいっぱいなのかもしれないが、里山で暮らしていれば他人事ながら自然は呆れるほどある。私たちのように、そうしたことでいちいち感動する時期はとっくに過ぎていた人々なのかもしれない。

 

草花を育てていた鉢は隅に集められていたが、このお宅を出ていくときに出たゴミは大きなゴミ袋に入れられたままいくつもの袋がベランダに放置されていた。鉢がどれも空っぽで隅に追いやられていたのは、もうずいぶんと前からだったのかもしれない。それほど、ある種の覚悟は以前からあったのかもしれないし、自分の生活に飽きていたのか、それとも悩んだ毎日の中で、そうしたことをぼんやり続けていたのかもしれない。何がどうだったのか、私には分かりようもないが、去り際は間違いなく絶望が過っていたように放置されたゴミ袋は感じられた。

また電気関連のメータ類は全部外されていた。

撮影日:平成29年12月30日