ライコネン参戦のグレンは最後までヘンドリックの争いに(NASCAR第25戦:ワトキンスグレン) | 日日不穏日記・アメブロ版

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 NASCAR第25戦:ワトキンスグレンは、ニューヨーク州ワトキンスグレンのワトキンスグレン・インターナショナルで行われる「Go Bowling at The Glen」。1957年に第1回目のレースがあり、64・65年、2回の中断を挟んで1986年から連続開催。コロナ禍の2020年の中止を挟み、21年に復活。カイル・ラーソンが優勝している。

 過去最多勝は、トニースチュワートの5勝、ジェフ・ゴードンが4勝と続くが、現役では、カイル・ブッシュとチェイス・エリオットが2勝。ただ、カイルは2013年が最後の優勝で、ロードコースで7勝を挙げているエリオットが、優勝の最右翼。ただ、今年は、ロス・チャステイン(オースティン)、ダニエル・スアレス(ソノマ)、タイラー・レディック(ロード・アメリカ)と初優勝が相次いでいて、混戦模様。

 2.45マイル(3.94キロ)を90周(220.5マイル/354.6キロ)を(20+20+50周の)3ステージ制で争う。今回は、2007年のF1チャンピオン、キミ・ライコネンが、国際的なスーパースターをカップ・シリーズに招待することでNASCARの周知を図ろうとするトラックハウス・レーシングの「プロジェクト91」構想でスポット参戦することになり、注目を浴びている。

 プレーオフに入ったキャンピングワールド・トラックシリーズは、9月9日のカンザスまで1ケ月近いオフで、グレンで併催されるのは、エクスフィニティ・シリーズ。ラーソン、ウィリアム・バイロン、チャステイン、コール・カスターらカップドライバーが、大挙参戦。

 PPはバイロンが3度目の獲得。タイ・ギブス、ラーソン、AJ・アルメンディンガー、カスターと、カップドライバーもしくは、カップ戦にスポット参戦しているドライバーが上位を占めた。序盤にランキング2位にいたジャスティン・オールガイヤーがハードクラッシュして早々にリタイア。



 ステージ1はサミー・スミスが、アルメンディンガーを抑えて獲得。ステージ2は、バイロンがギブスを従えて制した。ファイナルステージで、フロントローのバイロンとギブスがコンタクトして、2台ともスピン、大きくポジションを落として、繰り上がったラーソン、アルメンディンガーの1-2でレースは終了。

 ラーソンは、エクスフィニティ13勝目を獲得、週末スウィープに幸先の良いスタートとなった。3ステージで、安定してポイントを獲得したアルメンディンガーは、ロードコース4連勝は逃したものの、最多の52ポイントを獲得。ギブス、オールガイヤーが下位に沈んだため、ポイントではギブスに61、オールガイヤーに70ポイントと大きくリード。

 レギュラーシーズンはあと4戦(デイトナ、ダーリントン、カンザス、ブリストル)を残すものの、レギュラーシーズンチャンピオンに大きく前進した。そのアルメンディンガーは、カウリグ・レーシングの2台目として、カップ戦にも当然参戦。ダニール・クビアト、2013年のDTMチャンピオン、マイク・ロッケンフェラーがスパイアー・モータースポーツから、参戦するなど、多彩な顔ぶれ(合計39台)。

 PPは、エリオットが13回目の獲得。ラーソン、マイケル・マクダゥエル、バイロン、レディックのトップ5。アルメンディンガーは6番手、スアレスが9位、ライコネンは27番手につけているが、「あるところでは僕はかなり良いと思うけど……まあ良かったよ。何も期待はしていなかったけど中団辺りだし、まあまあかな」と飄々としたもの。

 ロッケンフェラーはチームメイトのコリー・ラジョイの1つ後ろの33番手、カーナンバーも「77」で分かりやすい😊。クビアトは36番手だが、エリオットから3秒近く遅い1分13秒129で、チーム力もあり、ちょっと厳しい。カートは今回も欠場。ギブスが代役だが、次戦はデイトナ。体調を考慮すると、欠場するかもしれない😢。



 ライコネンのクルーチーフは、2011年にトニー・スチュワート3度目の戴冠に寄与したダリアン・グラブ。スチュワート・ハース以降は、ジョー・ギブスレーシングに移籍し、デニー・ハムリン、カール・エドワーズのクルーチーフを務め、2016年からは、ヘンドリック・モータースポーツに復帰し、ケイシー・ケイン、バイロンのクルーチーフとなった。

 2021年には、チップ・ガナッシへ移籍。パフォーマンス・ディレクターに就任。ガナッシのNASCAR部門が、トラックハウスbに売却された際もそのまま留任し、パートタイムでライコネンのクルーチーフを担当することになった。僕はスチュワートの戴冠を観ているが、グラブは46歳とまだ若い。老け顔だったのか?当時は(失礼)。

 現地は雨。レインタイヤを各車装着して、シングルファイルで、エリオットを先頭にグリーンフラッグ。エリオットがリード、マクダゥエル、ラーソン、レディック、AJ・アルメンディンガーが続いたが、2LAP、オースティンシンドリックにプッシュされたアルメンディンガーがスピン、コースアウト。

 その後方では、バッバ・ウォレスとコリー・ラジョイが巻き添えで、コースアウト。4LAP、マクダゥエルがエリオットを抜いて、リードチェンジ。レディックも続き、エリオットは3位にドロップ。5LAP、ラーソンがバスストップシケインを止まり切れずにショートカットしてしまい、ストップ・アンド・ゴー。

 8LAP、クリス・ブッシャーがピットイン、レインタイヤからスリックタイヤに履き替える。路面は徐々に乾きつつあるが、どのくらいスピード差があるかで、他の陣営の動きも変わってくるだろう。9LAP、バイロンもピットイン。10LAPにジョーイ・ロガーノ、12LAP、マクダゥエルがピットに向かい、レディックがトップに立つ。

 14LAP、レディックがピットイン。コースに戻ってから、チェイス・ブリスコー、マクダゥエルの猛烈な追い上げを受け、バスストップシケインをショートカットで、ストップ・アンド・ゴー。17LAP、ブリスコー、マクダゥエル、ブッシャー、エリオット、レディックのトップ5。



 18LAP、エリオットがピットへ。ステージ間コーションをステイアウトするグループが入ってきそうだ。ラーソンも続き、2位にいたマクダゥエルはフューエルオンリーで2度目のピットイン、ブッシャーも入っている。そのままブリスコーがステージ1を制し、レディック、ダニエル・スアレス、トッド・ギリランド、ロス・チャステイン、ロガーノ、タイ・ディロン、マクダゥエル、カイル・ブッシュ、アルメンディンガーのトップ10🎉。

 リードラップカーがピットイン。4(24)LAP、ギリランドとロガーノのフロントローでリスタート。ギリランドがリード、ロガーノ、カイル、マクダゥエル、ディロン弟が追う。ライコネンはコール・カスターの後ろ、9番手あたりを走っている。8(28)LAP、ロガーノがギリランドをパス、カイル、マクダゥエルが続き、ギリランドは一気にポジションダウン。

 ギリランドは直後にピットに向かい、4タイヤチェンジするものの、クルーの様子がおかしい。結局、リアエンドの問題でリタイア。最下位に終わる。12(32)LAP、レディックとマイク・ロッケンフェラーが、バスストップシケインでコンタクトし、スピン。コーションはなく、レースは続行。

 13(33)LAP、エリオットがディロン弟を捉え、4位に浮上。ダニール・クビアトはマシントラブルなのかピットかガレージにいるようだ。18(38)LAP、トップ10を走っていたライコネンがピットイン。給油と4タイヤチェンジ。ロガーノがそのまま走り切り、ステージ2を制した。

 カイル、マクダゥエル、エリオット、ディロン弟、ジョーイ・ハンド、ブッシャー、ラーソン、カスター、クリストファー・ベルのトップ10。リードラップカーがピットイン。45LAP、マクダゥエルとエリオットのフロントローでリスタート。マクダゥエルがリードするが、後方では、アクシデントが。



 チャステインがオースティン・ディロンをプッシュ、ディロンはスピン、その影響で後方が混乱、ロリス・ヘーズマンスのマシンに少し乗り上げるようにライコネンのマシンはバウンドし、タイアバリアに突っ込んだ。左フロントのダメージが大きく、ライコネンはリタイア。コース上のアクシデントで初のコーションとなる(3回目のコーション)。

 48LAP、再びマクダゥエルとエリオットのフロントローでリスタート。マクダゥエルがリード、エリオット、ハンド、ベル、ブッシャーが続く。49LAP、エリオットがマクダゥエルを抜き、リードチェンジ。55LAP前後にハンドが入って、アンダーグリーンのピットストップ開始。

 57LAP、2位を争っていたマクダゥエルとラーソンがピットイン。ラーソンが逆転、マクダゥエルとロガーノが続く。59LAPにトップのエリオットがピットイン。エリオットがトップをキープ。ラーソンのアンダーカットならず。65LAP、チャステインとブリスコーが絡み、2台ともスピンするも、ノーコーション。

 66LAP、カスター、ラジョイ、ディロン、ロッケンフェラーは依然ステイアウト。コーション待ちとしか思えない粘りっぷりだが、待望のコーションは起きるのか?と書いたら、すぐカスターがピットイン。70LAP、エリオットはラジョイを難なく捉え、ディロンに迫る。

 72LAP、エリオットはディロンをパスし、リードチェンジ。すぐにラーソンも続く。もう優勝争いはヘンドリックの2台に絞られたと言って良いだろう。74LAP、ロガーノを追っていたカイルが単独スピン。幸いダメージはなかったが、ポジションを大きく落とす(・д・)チッ。

 79LAP、ハンドがリアからタイアバリアにクラッシュ、単独スピンだ。これが4回目のコーションになる。タイアバリアが衝撃を吸収してくれたので、ライコネンのようにはならない😅。チャステインがフリーパスを得る。82LAP、エリオットとラーソンのフロントローでリスタート。



 エリオットがリード、ラーソン、3番手にアルメンディンガーが上がってきた。一時は30位以下まで落ちていたのに。さすがロードコースマイスター😲。マクダゥエル、レディックが追う。83LAP、ヘーズマンスが単独スピン、後ろ向きになって、コースアウト。グラベルで動けなくなり、これが5回目のコーション発生。

 86LAP、エリオットとラーソンのフロントローでリスタート。エリオットとコンタクトしながら、ラーソンが先行、アルメンディンガーもエリオットをかわし、エリオットは、ロガーノ、レディックにもパスされ、一気にポジションを落とす。ラーソンとアルメンディンガー、前日のエクスフィニティの1-2。アルメンディンガーはリベンジを果たせるか?
 
 5周はあっという間、クリーンエアーのアドバンテージでラーソンは疾走、アルメンディンガーとの差を徐々に広げていく。そのままトップでチェッカー、ウイークエンドスゥイープを果たすと共に、去年に続く連覇を果たした🏆。連覇はマーク・マーティン(1993~5)、ジェフ・ゴードン(1996~8)の3連覇、トニー・スチュワート(2004~5)、マルコス・アンブローズ(2011~12)、エリオット(2018~9)に次ぐもの。

 コロナ禍で中止になった2020年を挟んで、ヘンドリック・モータースポーツが4連覇を果たした。アルメンディンガー、ロガーノ、エリオット、ダニエル・スアレス、マクダゥエル、レディック、ベル、ブッシャー、エリック・ジョーンズのトップ10。ラーソンは今シーズン2勝目、エリオットを上回る通算18勝目とした。

 11位カスター、12位ケビン・ハーヴィック、13位シンドリック、15位アレックス・ボウマン、17位ディロン、19位デニー・ハムリン、20位ブラッド・ケセロウスキー、21位チャステイン、22位バイロン、23位マーティン・トゥレックス・ジュニア、24位ライアン・ブレイニー、25位ブリスコー、26位ギブス、29位エリック・アルミローラ、32位カイル、35位ウォレス、36位クビアト、37位ライコネンと言ったところ。



 リタイアしたライコネンは「そこには良いラインがあったし、周囲の彼らは皆、ちょっとイン側に寄せて押し込みたい雰囲気もあった。僕もタイトなラインを保ってはいたが、誰かが『前でスピンした』とクルーが伝えて来たとき、集団はさらに左に寄り、誰かが僕の側面にヒットしたんだ。その時点でできることは何もなかったよ」とコメント。

 ライコネンはレースを楽しんだようで、F1と違う、NASCARの雰囲気を満喫したよう。プロジェクト91は、来年も続くようだし、ライコネンの再挑戦も観てみたい。さて、JGRはカイルとの契約は依然不透明。今年優勝したけども、正直、契約しなくても良いんじゃね?って感じになりつつある。パフォーマンスにも衰えが見えるし。

 ペンスキーはロガーノと複数年、ブレイニーとは長期契約を延長したというから、数年間は動きはなさそう。シンドリックはティム・シンドリックも息子だし、ペンスキーは現ラインナップでしばらく継続。ウォレスも23Ⅺと複数年契約、ノア・グラグソンはペティGMSモータースポーツと契約し、ジョーンズも複数年契約。

 レディックは2024年から、23Ⅺレーシングに参加することが決まり、デイトナも欠場することになったカートの後を継ぐことが決まっている。早くもストーブリーグが過熱しているが、最終戦デイトナを残して、エリオットがレギュラーシーズンチャンピオンを決めた。2位のラーソンと134ポイント差で、今更感もあるが、これでプレーオフを有利に戦えるのは間違いない。

 最終戦は、さっきも書いたようにデイトナ。優勝した15人はプレーオフ進出確定だが、16人目が誰になるかは分からない。ポイント枠トップはブレイニー。2位のトゥレックスとの差は25ポイントあるから、よほどのことがなければ、逆転はない。ただ、ポイント30位以内のドライバーが優勝すれば、大逆転もありうる。さて、どうなるか?