2日連続のミシガン州ブルックリンのダブルヘッダー第2戦、「Consumers Energy 400」。2.0マイル(3.2キロ)を156LAP(312マイル)で、ステージ分けも変わらず。クリス・ブッシャーとクリント・ボウヤーの1-2。前日に続き、このレースも、無観客レースらしく、スタンドには観客の姿は見当たらない。
前にクリストファー・ベル、後ろにエリック・ジョーンズがパレードラップをしているが、ベルの所属するリーヴァイン・ファミリー・レーシングの身売りが決定。シーズン最後まで参戦するというが、ファニチャーロウに続き、またもトヨタと提携するチームが姿を消すことになる。
そして、ジョーンズがJGRと来シーズンの契約を結ばないことが決まり、後任は未定。ただ、そこにベルが加わる可能性があるという。ベルは、トラックシリーズで、カイル・ブッシュ・モータースポーツ。エクスフィニティシリーズでJGRで走っていた文字通り、トヨタの育成ドライバー。
ジョーンズは、昨シーズンは、サザン500で優勝し、契約延長が決められたが、それは万全なものではなかったようだ。ダニエル・スアレスが、ファニチャーロウにいたジョーンズにシートを奪われたように、ジョーンズもまたスアレス同様、下位チームで走ることになるのだろうか?
スアレスもスチュワート・ハースに運良く移籍したものの、育成ドライバーのコール・カスターにシートを奪われている。ジョーンズは、プレーオフ圏外で優勝なし、育成ドライバーに比べ、立場の弱く、離脱は仕方ないとは言えるが。その点、リーヴァインを昨年追われ、ウッドブラザーズに移籍したマット・ディベネデットは運が良いと言わざるを得ない。
さて、フューエルウィンドウは、46~48LAPだから、ステージ1、2は走り切ることは可能だ。フロントローは、ボウヤーとウィリアム・バイロン。グリーンフラッグ。有利なアウト側を選んだボウヤーがリードし、バイロンはアウト側の2位に滑り込み、ジミー・ジョンソンが続く。
8LAP、ジョンソン、ディベネデットにパスされたバイロンが、ベルにも抜かれ、5位に後退。16LAP、ベルはボウヤーから引き離されているものの、2位に浮上。3位にディベネデットが続く。23LAP、カイル・ブッシュがカート・ブッシュを捉え、6位に浮上し、チームメイトのジョーンズを追う。
そのままボウヤーの独り舞台で、コーションが出ることもなく、ステージ1はボウヤーが制した。ベル、カイル、ディベネデット、ジョーンズ、バイロン、ライアン・ブレイニー、ケビン・ハーヴィック、カート、ジョーイ・ロガーノのトップ10。上位陣をごぼう抜きにして3位に食い込んだカイルと、後方からの追い上げで、8位となった前日の覇者:ハーヴィックも走りも目立った。
カイル(+2)、ハーヴィック(+6)、ボウヤー(-2)、バイロン(+2)、ジョーンズのトップ5。ベルは8ポジション落として、10位リスタートになったのは痛い。アウト側を選んだカイルにハーヴィックが付き、イン側のトップはバイロンのフロントローで、8(48)LAPにリスタート。
ハーヴィックがカイルをプッシュ!バイロンを引き離したところで、ハーヴィックはアウトに出て、一気にパス。バイロンはアウト側の5位に入ったものの、バイロンの後ろにいたジミー・ジョンソンがイン側から動けず、トップ10圏外までドロップ。13(53)LAP、ケセロウスキーがインからカイルを捉え、2位に。
25(45)LAP、ハーヴィックがケセロウスキーに2.330秒差をつけて依然トップ、カイルは2.889秒、ボウヤーが3.667秒、ベルは4.329秒差のトップ5。27(47)LAP、ハムリンがエリオットを抜いて8位に。徐々に順位を上げてくる。
32(52)LAP、ベルはボウヤーをパスして、4位に。ハムリンは既にロガーノを捉え、7位となっている。ファイナルラップ、カイルがケセロウスキーに迫るも、あと一歩足らず。独走でハーヴィックがステージ2を制し、プレーオフポイントを加算。ケセロウスキー、カイル、ベル、ボウヤー、ハムリン、ジョーンズ、エリック・アルミローラ、ロガーノ、ブレイニーのトップ10。ジョンソンは14位、バイロンは17位だった。
リードラップカーが一斉にピットイン。ハーヴィック、カイル(+1)、ケセロウスキー(-1)、ボウヤー(+1)、ハムリン(+1)のトップ5。ギャンブルはなく、いずれも4タイヤチェンジ。ステージ2終了時点で、ポイントを稼いだのは、ボウヤー、カイル、ベルの16ポイントがトップ、ハーヴィックは13ポイント、ジョーンズが10ポイント。
ハーヴィックからトップ4までは、外ライン。インラインは、5位のハムリンがトップでブレイニーが続く。92LAPにリスタート。予想外にも、ハムリンをプッシュしたブレイニーの恩恵で、ハムリンがハーヴィックをパス。そのハムリンをブレイニーが捉えて、リードチェンジ。
96LAP、ハムリンを抜いてケセロウスキーがブレイニーをも捉えようと狙って、チームメイトで同士討ち、2台ともクラッシュして、3回目のコーション。このレース最初のコーションがチームメイト同士とは。契約更新したばかりのケセロウスキーには、何とも痛いクラッシュ。2台ともリタイアで、ケセロウスキーが最下位の39位、ブレイニーは38位で終わっている。
ハムリン、ハーヴィック、エリオット、カイル、アルミローラのトップ5。ハムリン、ハーヴィックがアウト側、イン側はカイル、カートが続き、ハムリン、カイルのJGR勢のフロントローで、102LAPにリスタート。ハーヴィックは、ハムリンをプッシュして、アウト側からパスするお決まりのパターンで、トップに躍り出る。
後方で白煙を上げていたのはボウヤー。ペンスキー2台の同士討ちの時にアクセルを緩め、アレックス・ボウマンと接触。ボウマンはコーション中にピットインし、リペアしていたが、ボウマンは入らず、アンダーグリーンで入ることになってしまった。フェンダーを治すのと、トップオフのみ。
が、それでもラップダウンに。その直後の105LAPにベルがスピン!4回目のコーションとなる。1、2ステージ良かっただけに勿体ない。さて、フューエルウィンドウギリギリのタイミングだったため、リードラップカーがピットイン。ハムリン(+1)、ディベネデット(+4)、ハーヴィック(-2)、カート(+1)、ジョーンズ(+4)のトップ5。
ハーヴィックのみが2タイヤで、他はフューエルオンリー。トップ10を観ても、給油のみが多い。トップは、ピットとのミスコミュニケーションでステイアウトしてしまったアルミローラ。イン側は、チームメイトのハーヴィック。110LAPにリスタート。不本意なステイアウトとは言え、アルミローラがハーヴィックを抑え、ディベネデット、カートが追う展開。
116LAP、クリーンエアーと軽い燃料。アルミローラは逃げるが、2タイヤとステイアウト。ピタリと張り付いていたハーヴィックが、アルミローラをパスし、リードチェンジ。ハーヴィックにアルミローラが食い下がり、マーティン・トゥレックス・ジュニアとハムリンが追う。この4台が5位以下を引き離している。
131LAP、トゥレックスがアルミローラを捉え、2位に浮上。さらに、ハムリンにもパスされ、アルミローラは4位まで下がってしまう。燃料が厳しいゆえにコーションが欲しい。アンダーグリーンで入ったら、散々な事態に。137LAP、ボウマンが挙動を乱し、右リアタイヤが外れてピットイン。ピットロードが近かったこと、近くに他のマシンがいなかったことが幸いする。これが5回目のコーション。
アルミローラにとっては願ってもない展開。今度はしっかりピットに入り、4タイヤチェンジにスプラッシュ。上位陣はステイアウト。アウト側は、ハーヴィック、トゥレックス、カイル。イン側にハムリン。ハーヴィック、ハムリンのフロントロー。142LAPにリスタート。
ハーヴィックがリード。ハムリンは、トゥレックスにサイドドラフトを仕掛けて前に出る。ハーヴィックがセーフィティリード。ハムリンとトゥレックス、カイルとの差も開いている。152LAP、ハーヴィックとの差を詰めてきたハムリンがすぐ背後に。ハーヴィックの連勝か?ポコノのように1勝づつでダブルヘッダーの勝利を分け合うか?
ハムリンが迫るものの、最後はハーヴィックが引き離しに入り、僅差でチェッカーを受け、今シーズン6勝目を挙げ、ブルックリンをスウィープしたのはハーヴィック。通算55勝目。リー・ペティを抜き、ラスティ・ウォレスを並ぶ史上10位タイ。カイルにあと1勝と迫った。
ハムリン、トゥレックス、カイル、ロガーノ、アルミローラ、ディベネデット、オースティン・ディロン、チェイス・エリオット、カートのトップ10。ハーヴィックは、チェッカーフラッグを受け取り、バーンアウトをせずにビクトリーレーンへ。ブッシュ・ライトアップルの赤いマシンを降り、用意してあったブッシュ・ライトアップルを一口含み雄叫び。
11位ジョンソン、12位バイロン、14位ボウヤー、17位ベル、24位タイラー・レディック、25位カスター、27位ジョーンズというところ。ブレイニーとケセロウスキーが同士討ちしなければ、もう少し見せ場はあったと思うけども。結局、今シーズンを牽引してきたハーヴィックとハムリンの一騎打ちで終わった。
プレーオフスタンディングでは、ハーヴィックが6勝、プレーオフポイント35で、名実ともにトップに立った。ハムリンが5勝で29ポイント。3勝はケセロウスキー、2勝はロガーノのみで、残り6人は、1勝づつ。ポイント枠では100ポイント以上リードしているアルミローラ、カイル、カートは、ほぼ安泰だが、ボウヤーが+60、ディベネデットが+57、バイロンは+26で、この3人は分からない。
ジョーンズ、ジョンソンがー26、レディックは-36でポイントでの逆転の可能性がないとは言えないし、次はデイトナのロードコース、その次はドーバーのダブルヘッダー、レギュラーシーズン最終戦はデイトナの400マイル、「Coke Zero Sugar 400」だ。特にロードコースのデイトナとオーバルのデイトナは誰が勝つか分からない。
最後の3枠を最終戦まで争う熾烈な戦いになりそうだ。プレーオフ以降を視野に入れるドライバーと、プレーオフ入りに血道を上げるドライバー達。あと4戦熾烈な戦いになってゆくだろう。