トゥレックスが7勝目の影でラーソンがよもやのプレーオフ脱落(NASCAR第32戦:カンザス) | 日日不穏日記・アメブロ版

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 Round of 12最終戦のカンザスは、カンザス州カンザスシティにあるカンザススピードウェイでの開催。

 

 Round初戦のシャーロットでマーティン・トゥレックス・ジュニア、2戦目のタラデガは、コーション11回、レッドブラッグ3回、完走僅か14台という大荒れのレースの末、ブラッド・ケセロウスキーが勝利し、Round of 8進出を決めた。

 

 今回は、ポイント枠での進出ドライバーはおらず、最上位のカイル・ラーソンでさえ、29ポイントのリードに過ぎず、8度目のチャンピオンを目指すジミー・ジョンソンも、わずか7ポイントのリード。

 

 そして、圏外には、29位(シャーロット)、27位(タラデガ)と下位に低迷し、プレーオフポイントの貯金を使い果たしたカイル・ブッシュがー7ポイント、11、14位と安定しながらも、ポイントに余裕のないマット・ケンゼスがー8ポイント。

 

 リッキー・ステンハウス・ジュニアと、ジェイミー・マクマーレイは、ー20ポイント以上で、優勝が必須条件だ。

 

 5月のレースでは、トゥレックスが優勝しているが、G+のページによれば、15回もコーションが出た大荒れのレース。1.5マイルで強いジョンソンが最多の3勝を挙げているが、今季のトゥレックスの1.5マイルでの強さは圧倒的。

 

 石見さんがタラデガの中継のラストで「カンザス、凄く荒れそう。そういう予感しますね。もしくは、トゥレックス・ジュニアがあっさりまた勝ってってしまうか」とコメント。しかしそれは、あまりにもKYだろう。

 

 バンク角17~20度の1.5マイルのトラックを267LAPの400.5マイルのレースを3ステージ(80+80+107LAP)で戦う。

 

 フューエルウィンドウは57~60LAP、3ステージ全てでピットインが必要だ。

 

 PPは今季2回目のトゥレックス、2位には、ケビン・ハーヴィックが入った。ライアン・ブレイニーは予選ラウンド3で、インスペクション(検査)で引っ掛かり、3番手ながらタイムなし。

 

 プレーオフのボーダーライン上にジョンソン、カイル、ケンゼスと3人のチャンピオンがいて、カイルにインタヴュー。

 

 「(次ラウンド進出を賭けてケンゼスやブレイニー、ジョンソンが気になるところですが、どうみますか?)自分のレースをするだけさ、もちろん勝てるといいけどね。今週末はずっと車も速いので、必要な順位はキープしていきたい」

 

 

 

 

 「ステージポイントも狙っていくし、何より勝てば次ラウンド進出は間違いない。だからまず勝利が目標だよ。それと今回のハローウィーンズスペシャルヘルメットはサインし、抽選でプレゼントしているんだ。協力しているM&M'Sには感謝している」

 

 「詳細はkylebusch.comに載っている。自分の基金に18ドル以上寄付してくれた希望者の先着2000人の中からの抽選さ、みんな急いだほうがいいよ」とポイント圏外ながら、ちゃっかりプロモーションするあたりは、余裕があるか、カイル。

 

 現地放送では、プレーオフに入ってから、トヨタが5戦4勝、6レース(カンザス含む)でPP5回、リードラップ48.7%というデーターが大きく映し出される。

 

 一方、同じく圏外のケンゼスは、「(3人のチャンピオン経験者がカットライン付近にひしめいています。次ラウンド進出には頑張るしかありませんが、この状況をどう感じていますか?)」の問いに。

 

 「楽しめていると思うよ。この世界で20年ほどやってきて来て、頑張らなかった事はないさ。ずっとベストを尽くしてきた。今日はとにかくミスしないようにしないとね。車はリスタートでも、ロングランでもいい」

 

 「金曜からいいスピードはあるので、やるべきことをやって、上位をキープしていきたい」と締めくくった。

 

 野村アナは、「ポイント的には少し余裕がある」と言うが、後から見れば、これはフラグ。前日雨だったので、30LAP終了時にコンペティションコーションが入る。

 

 レースは、PPのトゥレックスがインから飛び出し、ハーヴィック、カイル、ケンゼス、デニー・ハムリン、ダニエル・スアレスの3位からは、JGRトレイン。

 

 13LAP、トゥレックスがトップを守り、ハーヴィックは1.53秒差、カイルが2.82秒、ケンゼスが4.84秒、ハムリンは5.93秒となっている。

 

 26LAPの時点で、トゥレックスのリードラップが2002という表示が出る。リードラップが圧倒的に多いのは、ここ3、4年はハーヴィックだったが、今年は勝利数に加え、内容でも圧倒的。

 

 去年は4勝を挙げたが、1809LAP。カンザスを除いて6レースも残っているのに、すでに上回っていることに驚く。

 

 「トゥレックスにとって最大の敵と言っていいでしょうね」と福山さんに評されるラーソンは、28LAP時点で5位に上がってきている。30LAP終了でコンペティションコーション。

 

 

 

 

 リードラップカーが一斉にピットイン。トゥレックス、カイル、ハーヴィック、ケンゼス、ハムリンのトップ5。36LAPにリスタート。トゥレックスがトップで、カイルがハーヴィックを抑える・・・が。

 

 トゥレックスにリスタートバイオレーション。スタートフィニッシュラインの前にホワイトラインのイン側を通過。ハーヴィックも通過していたが、トップのトゥレックスのみペナルティ。

 

 ピットスルーのペナルティとなってしまい、リードラップこそ守ったものの31位にドロップ(リードラップ最後尾に)。

 

 47LAP、ブレット・モフィットがウォールにヒットし、2回目のコーション。リードラップカーがピットに向かい、カイル、ハーヴィック、ケイシー・ケイン(2タイヤ)、ケンゼス、ハムリンの順でトラックに戻る。

 

 ここでステイアウトしたのは、ブレイニー、ケセロウスキー、ライアン・ニューマン、デイル・アーンハート・ジュニア、クリス・ブッシャー、トゥレックスの6台。

 

 スタートで後方に下がったブレイニー、ペナルティのトゥレックスはここでトラックポジションを上げに勝負に出る。

 

 52LAPにリスタート。ブレイニーが飛び出し、カイルは一気に2位にジャンプアップ。54LAP、カイルはブレイニーを捉え、トップに立つ。そして、ラーソンが緊急ピットイン!ボンネットを開けている。

 

 68LAP、トラックに戻っているラーソンだが、3LAPダウンの37位。プレーオフリーダーボードでは、-16ポイント。75LAP、次々とパスされていき、77LAP、遂にエンジンブローで万事休す。

 

 ラーソンはスローダウンし、ガレージへ。これが3回目のコーション。野村アナが「カイル・ミヤタ・ラーソン、今年のチャンピオン争いは、潰えてしまったのでしょうか」と語る中、ラーソンへのインタヴュー。

 

 「(エンジントラブルの予兆はあったのでしょうか?)シリンダーの何かが落ちたのは感じたよ。こんな形でレースを終えるのは残念だ。恐らくは自分達のシーズンは終わってしまうだろう仕方ないね。(まだ結果はわかりませんが、レースは見ていきますか?)指をクロスさせて、祈りながら見るよ」

 

 「でも、29ポイントは十分な差じゃないと思う。本当に残念だけど、いいシーズンが過ごせた。クレジットワン、バンクターゲット、チップガナッシ、フェリクスサバーテには感謝している。エンジントラブルは悔しすぎるが、どうしようもないね」

 

 

 

 

 「(好調をキープし続けたシーズンが急に終わりそうですが、今の心境は?)何とも言えないよ、次ラウンドに行けると思っていただけにね。過去のプレーオフを振り返れば、去年好調だったトゥレックスJrもエンジントラブルで涙を飲んだ」

 

 「今年は自分達に起こってしまった。残念だけど、まだレースはある。ツイてなかったよ」とコメントし、ドリンクを飲み干した。

 

 レースはそのままコーションチェッカーに。カイル、ハーヴィック、ハムリン、ブレイニー、ジェイミー・マクマーレイ、ジョンソン、チェイス・エリオット、トゥレックス、ケンゼス、エリック・ジョーンズのトップ10。

 

 リードラップカーがピットに向かい、2回目のコーションのピッと組、ステイアウト組とも入り、ストラテジー上はリセット。カイル、ハーヴィック、ブレイニー、ケンゼス、ハムリンの順で、トゥレックスは9位となっている。

 

 7(87)LAP、リスタート。カイルが決め、ハーヴィック、ブレイニー、ケンゼスと続く。12(92)LAP、トゥレックスがルースホイールでピットイン。先ほどのピットでポジションを1つ下げたが、さらに不幸が降りかかる。

 

 慎重にピットストップを済ませたトゥレックス陣営。97LAPの時点で、32位にまで順位を下げてしまっている。当然、ラップダウンだろう。

 

 45(125)LAP、ケンゼスとジョンソンをきっかけアンダーグリーンのピット開始。48(128)LAP、ハーヴィック、ブレイニー、49(129)、ハムリン、50(130)、トップのカイルが入る。

 

 まだピットに入ってないのは、ケセロウスキーと、カート・ブッシュだ。フューエル的に走り切れるわけではないし、このまま粘っても得策には思えないのだが。

 

 65(145)LAP、ケセロウスキーがピットイン。18位まで順位を下げたが、ステージ間コーションをステイアウトするメリットはないだろう。ポール・ウルフのストラテジーは如何に?

 

 75(155)LAP、カイルトップ。ハーヴィック、ブレイニー、ケンゼス、マクマーレイのトップ5。14位にケセロウスキー、トゥレックスは16位だ。

 

 76(156)LAP、ブレット・モフィットがウォールにヒット!4回目のコーションが出たが、リードラップカーの判断は分かれる。このままコーションラップを続けても、ファイナルラップのバトルはある。ステージポイント狙いのトラックポジション優先か、コンサバにピットインして勝負をかけるか?

 

 

 

 

 ハムリン、ジョンソン、ケセロウスキー、ステンハウスの4台のみがステイアウトし、3列目にはピット組のカイル、ハーヴィックが控える。ファイナルラップのみの勝負だが、1.5マイル。

 

 80(160)LAPにリスタート。ハムリンが逃げる。2位スタートのジョンソンは、ハーヴィック、ケンゼスにパスされ、一気に順位を下げる。

 

 結局、ハムリンが逃げ切り、ステージ2を制した。ハーヴィック、ケセロウスキー、ケンゼス、カイル、ジョーンズ、マクマーレイ、ブレイニー、エリオット、ジョンソンのトップ10。

 

 ジョンソンは賭けに出たが、10位でステージポイントは、わずか1。それも、ボウヤーを鼻の先で辛うじてかわしてのものだ。チャド・カナウスの判断は完全に失敗したと言えるだろう。

 

 ステイアウト組の4台とリードラップ後方のマシンがピットイン。これで一気にステイアウト組は下位に下がり、ハーヴィックとともにフロントローとなったケンゼスとジョンソンは、8ポイント差で逆転!

 

 ジョンソンは遂に圏外に落ち、167LAPにリスタート。ハーヴィックがリードし、ケンゼス、カイルが追う。

 

 175LAPにステンハウスのタイヤがダウンし、単独でマシンをヒットさせ、6回目のコーション。もう、ダメ押しとなり、Round陥落がほぼ決定。ここで、ハーヴィック、ケンゼス、カイル、ブレイニー、ボウヤー、ハムリンの上位6台がステイアウト。

 

 トゥレックスはピット組トップの7位と追い上げている。180LAPにリスタート。ハーヴィック、カイル、ケンゼスのトップ3だ。ジョンソンは10位前後を走行しているが、まだ、ケンゼスには及ばない。

 

 トップ勢に比べ、もう一つというジョンソンに対する福山さんの見立てだが、クリスタルのマシンにサインを入れ、ハグするシーンが流される。

 

 誰もが出来ることではなく、それなりの事情があるのだろうと前置きしつつ、福山さんは、「好き嫌いあっていいし、やんちゃなドライバーが好きな人はそれでいいと思うんですが、本物のヒーローになるというのは、素晴らしい人格を持った人に、ということになると思いますね」とコメント。

 

 そこは石見さんと違うところだが、間が悪いことに、その話が出た直後の188LAPにジョンソンがスピン、グラスに突っ込み、7回目のコーション。

 

 「これはちょっと大変なことになってしまったな」と福山さんが言い、野村アナは「8度目のチャンピオンの道は断たれてしまうのか、ジョンソン」と。

 

 

 

 

 ジョンソンはもちろん、プレーオフ争いをしているケンゼス、それにブレイニーもピットイン。ケンゼスはコンサバだ。

 

 ケンゼス、ジョンソンが入ったので、ラーソンのリーダーボードは±0に。この辺は数字のいたずらだが、今後の展開で何が起きるかわからない。

 

 193LAP、ハーヴィック、カイル、ジョーンズ、エリオットの順でリスタート・・・が、ジョンソンがまたもスピンし、8回目のコーション。「カイル・ラーソン、ピットで観てるか分かりませんが、クロスフィンガーで祈るような気持ちで他人の不幸を喜んでいるかもしれませんが」・・・福山さん、穏やかな口調で意外と黒いことを言うw。

 

 198LAP、ハーヴィックとカイルのフロントローでリスタート。アウト側スタートのカイルが前に出る。その直後に、3位にいたジョーンズがスピン。

 

 これが多重クラッシュとなり、ジョーンズと巻き込まれたマクマーレイ、スアレス、ニューマン、そして、リペアでクルー7人(規定では6人)が出たケンゼスが、ペナルティを受け、結局リタイア。

 

 「(現在、ガレージにいますが、ルールについてはどう思っていますか?)ピット人数のオーバーという事らしいが、そのルールが何故あるのかわからない。ルールはよく変わるから、ついていけないし、今回適用されたルールについても正直受け入れがたい。今は残念を通り越して、言葉が出ないね(以下略)」

 

 レッドフラッグが出て10分間の中断。ケンゼスは、オートマチカルDNF。サイトによってはアクシデントの表記もあったが、実況で福山さんはそう言っていた。万事休す。

 

 カイル、ハーヴィック、エリオット、トゥレックス、ブレイニーのトップ5で、205LAPにリスタート。7位のジョンソンは、ラーソンに、12ポイントのリードだ。

 

 ここで1.5マイルオーバルの過去のデータが映し出される。過去のベストは1999年のボビー・ラボンテ(通算21勝、2000年のウィンストンカップシリーズチャンピオン)のアベレージフィニッシュ、2.4。

 

 これは驚異的だが、トゥレックスは史上2位の3.0。3位は2000年のラボンテによる3.1。ラボンテが凄いのは言うまでもないが、トゥレックスの記録も驚異的だ。4位は、カール・エドワーズの4.6(2011年)、5位は、デイル・ジャレット(1999年チャンピオン)の5.3(1999年)。

 

 

 

 

 211LAP、トゥレックスがカイルをパスし、トップに立つ。これはピットタイミングの違いもあるだろう。215LAP、ブレイニーがハーヴィックをパスし、4位に浮上。
 
 216LAP。トップはトゥレックスでカイルが1.93秒差、エリオットは3.00秒、ブレイニーが4.56秒、ハーヴィックは5.23秒だ。
 
 222LAPにハーヴィックがピットイン、アンダーグリーン開始。トップ勢のピットは、トゥレックスが189LAP、カイルは157LAP、エリオットが176LAP、ブレイニーは189LAP、カートが199LAPで、カイルが4回目のコーションから、ずっとステイアウトを続けていることが分かる。
 
 233LAP、4回のコーションを挟んでいるとは言え、フューエルウィンドウを大幅に上回る70LAP以上を走り続けていたカイルが遂にピットイン。
 
 カイルは、ハーヴィックの後ろの22位で走行していたが、その直後の236LAP、AJ・アルメンディンガーがスピン、10回目のコーションとなる。
 
 実況ではクラッシュと最初は言っていたけれども、そう間違えても仕方がないほど、フロントもリアもマシンに大きなダメージ。9回目の多重クラッシュにアルメンディンガーも巻き込まれていたのかもしれない。
 
 アルメンディンガーは、グラスに突っ込み、ここでリタイア。リードラップカーはここでピットイン。トゥレックス、カート、ハムリン、ブレイニー、ケセロウスキーの順でピットアウト(エリオットは4ポジション落として6位)したが、ケセロウスキーはピットロードスピードペナルティ。
 
 これでケセロウスキーはテールエンドに。カイルはウェーバーラウンドでラップバック。243LAPにトゥレックス、カートのフロントローでリスタート。
 
 トゥレックスが一気にリードを広げ、カートはハムリンとの2位争いを制し、追う展開。カイルは、ハーヴィックをかわし、20位となるが、ラーソンとのポイント差は、わずか3。まさに当落線上。
 
 244LAP、ブレイニーがハーヴィックをパスし、4位に。さらにエリオットはハムリンを捉え、4位となり、その間にブレイニーは、ハムリンの前の3位にいる。
 
 257LAP、トゥレックスのトップは続き、カートは0.84秒差、ブレイニーが2.30秒、エリオットは4.37秒、ハムリンが5.13秒。ジョンソンは9位、ハーヴィックが11位、カイルは12位までポジションを上げてきている。

 

 

 

 

 ジョンソンとカイルはラーソンと11ポイント差で、このまま走り切れば、Round突破だ。

 

 快走を続けるトゥレックスだが、ファニチャーロウのカーファブリケーター(車の製造責任者)のジム・ワトソン氏がレースの日の未明に55歳で亡くなったという。このまま勝てれば、その餞にもなる。

 

 そのまま、ノーコーションでトゥレックスが優勝。カート、ブレイニー、エリオット、ハムリン、ブッシャー、ジュニア、ハーヴィック、エリック・アルミローラ、カイルのトップ10。

 

 トゥレックスは今季7勝目。シーズン7勝は、2013年のケンゼス以来で通算15勝目。プレーオフ6戦で3勝とモーメンタムは最高。1.5マイルオーバルが多いプレーオフであることも、トゥレックスを後押ししている。

 

 チームはワトソン氏のこともあってか、クールなクルーチーフ、コール・パーンも思わず嗚咽。

 

 一方、優勝したトゥレックス、ケセロウスキーを除き、持越しポイントが最も多く、レギュラーシーズン最終戦のリッチモンドで優勝し、最高のモーメンタムで臨み、Round of 16はポイント枠で悠々突破したラーソンがトラブルでよもやのプレーオフノックアウト。

 

 ケンゼス、ステンハウス、マクマーレイを加えた4人がRound of 12で姿を消した。

 

 トゥレックスの1.5マイル6勝はシーズンレコード。それ以外の勝利は、第22戦のワトキンスグレンのみで、勝利を逃したのは、第2戦アトランタ(優勝:ケセロウスキー/8位)、第7戦テキサス(優勝:ジョンソン/5位)、第12戦シャーロット(優勝:オースティン・ディロン)の3戦のみ、アベレージフィニッシュは、2.67へと上がっている。

 

 Round of 8のテキサス、最終戦のホームステッドも1.5マイルであり、チャンピオン候補の最右翼と言っていいだろう。

 

 トゥレックスはバーンアウトを決め、ガッツポーズで大観衆の声援に応える。その場でインタヴュー。

 

 「信じられないよ。(たった今、“信じられないよ”とつぶやきましたが、それはあなたの今シーズンでしょう。チームにとっても、あなたにとっても、感動的な一日になりましたね?)。ありがとう。チーム、ファニチャーロウ、バスプロショップス、トヨタなどに感謝しきれないよ」

 

 「昨夜、クルーメンバーのジム・ワトソンが亡くなり、重い気分でレースに臨んだんだ。彼の家族と友人には追悼の意を捧げたい。彼は素晴らしい人間であり、スタッフだった。彼のおかげで車は速くなったんだ。きょう勝ててうれしいよ」

 

 

 

 それにカンザスで勝てたという事もうれしいね。ここはチームのホームトラックと言える所なんだ。春のレースに続き、またここで勝てた。最高の気分さ。(レッドフラッグの中断中に勝利への気持ちを高められたようですね?)その通りさ」

 

 「チームのみんなで戦っているんだ。ジムと彼の家族のことを想っていた。彼は常にベストを尽くし、諦めず、自分たちの背中を常に押し続けてくれた。だから勝てたのさ」と締めくくった。

 

 ジョンソン11位、ケセロウスキー13位、ステンハウス29位、マクマーレイ34位、ケンゼス37位、ラーソンは39位だった。

 

 手負いながら、Round of 8に駒を進めたジョンソンは、「(色々あったレースでしたが、次ラウンド進出です。188周目のスピンでは何があったんでしょうか?)今日は2度もスピンしたよ。ターン④のアウトとリスタート後のターン③でね。とにかく車がすごくルースだった」

 

 「一日通してバランスを見つける事に苦心していたんだ。車が振れ過ぎてしまうからね。ショートランのスピードを重視して車をフリーにアジャストしたけど、うまくいかず2度もスピンしてしまった。ハードヒットしなかったのがラッキーだったよ」

 

 「大クラッシュで状況が変わってくれた。スピードを落とすことなく、何とか避けきれた。マクマーレイと当たりそうになったが、幸運にも彼が前をスライドしながら横切ってくれた。ロウズのサポートには感謝している」

 

 「彼らと一緒にやるのは本当にうれしいね。大変な一日だったが、何とか乗り切ったよ。(チームと共に諦めずにやりきりましたね?)ジェットコースターのような一日だったよ。2度スピンし、どうなるか分からなかったが、しっかりレースを続けるようにしていた」

 

 「ラーソンのエンジントラブルや、大クラッシュで生き残れたけど、何があるか分からないから諦めない。それがチームの誇れるところさ。感謝しているよ」

 

 「(次は得意のマーティンズビルです)自分達には悪いトラックではないので、去年のようなパフォーマンスがしたいね。その後も悪くはないテキサスさ。狙っていた状況ではないが、生き残れているし、いいチームなのはわかっている。勝ちにいくよ」

 

 ビクトリーレーンでのトゥレックスへのインタヴュー。「(あなたはもちろん、チーム全員がジムのことを想っているのはわかっています。クルーメンバーが亡くなった後だけに、シャーロットの勝利よりほろ苦いものになっていますが、リスタートでのペナルティや、ステージ2でのバイブレーションを克服しての勝利です)」

 

 

 

 

 「今週の事は本当に信じられないね。何が起きるかわからないからこそ、諦めるわけにはいかないんだ。彼と家族のことをずっと想っていた。彼が亡くなったなんて考えられないよ。昨夜、コール・パーンからのメールで彼が病院にいると知ったんだ」

 

 「悲劇だよ。彼はチームで大きな存在だったからね。チームの2台とも、彼が作り上げた車で、しっかりと車検を通してくれていたんだ。重い気持ちだったけど、彼のためにもいい走りをしようと決めていた。こうやって祝福できているのは運もあったね」

 

 「諦めずに自分をサポートし続けてくれたチームを誇りに思う。カンザスで2勝目さ。車は速かったし、素晴らしいチームだということを証明できた。チームのみんなに感謝しているし、ジムの家族には自分達の想っていることを伝えたい」

 

 「車は最後まで素晴らしかった。勝ててうれしいよ(バスプロショップスのジョニー・モリスも来ています。今日は地元でのレースでしたね?)モリス/私のバスプロショップスの車が勝った。素晴らしい一日だ。諦めずによく戦った。リスタートは素晴らしかったね」

 

 「(ジョニーがここに来たからには、インタヴューするのが私の役目です)彼は去年の厳しい時期もずっと支えてくれていたんだ。彼には大きな借りがある。自分のキャリアを支えてくれているからね。バスプロショップスには本当に感謝している」

 

 「モリス/彼は我々に多大な貢献をしてくれているよ(素晴らしいパートナーですね)彼はもちろん、ファニチャーロウや、デンバーマットレスなど全てのスポンサーとトヨタやTRDなどみんなに感謝している」

 

 「彼らのおかげで勝てているんだ。7勝もしたなんて自分をつねってみたい気分さ」

 

 トゥレックスは2つのRoundで3勝。タラデガ以外は全てトップ5という圧倒的なモーメンタムでRound of 8に臨む。

 

 4000ポイントにリセットされるものの、プレーオフポイント、レギュラーシーズンの優勝などで4069ポイントと、この差をキープすれば、ホームステッド行きは確定のトゥレックス。

 

 次戦は、シリーズ最小のショートトラック、マーティンズビル。15年には、圧倒的なモーメンタムのジョーイ・ロガーノがケンゼスに“撃墜”され、<ラストイヤー>のジェフ・ゴードンが優勝するという大番狂わせが起きている。

 

 トゥレックス優位とは言え、優勝者次第でプレーオフのモーメンタムはすぐ変わる。鳴りを潜めているジョンソンやハーヴィックも、侮れない。チャンピオンシップに進むファイナル4に誰が名乗りを上げるだろうか?