開幕7戦中6勝とシーズンを圧倒したシューマッハに暗い影が差したのは、第8戦のイギリスGPでの黒旗失格から。続くドイツGPで、ベルガー、アレジが予選1-2。アレジは2周目にリタイアに終わったものの、追走するシューマッハがエンジントラブルでストップしたため、ベルガーが1990年スペインGP以来の勝利をフェラーリにもたらす。
暫定的に出場を許可されていたシューマッハは、11戦目のベルギーでトップでチェッカーを受けたものの、レース後の車検で失格。以降の2レースは欠場せざるを得ない状況で迎えたのが、12戦目のイタリアGP。
シューマッハ不在の中、ドイツとは逆にアレジ、ベルガーが予選で1-2を獲得。地元のティフォシを熱狂させる。ドイツでのベルガーの優勝もあり、当然、アレジへの期待は高まる。
アレジは、優勝1回。PPも96年からのベネトン時代を含め2回しか獲得していない。そして以前書いたように、ベルガーとの表彰台は、3年間のフェラーリでたったの1回。
イタリアでも、アレジの走りは報われなかった。
序盤に1-2走行していたものの、ギアボックス・トラブルでピットへ。そのままリタイア。
優勝はヒル。約5秒遅れで、ベルガーが2位に入り、3位はハッキネン。続くポルトガルでもヒルは勝ち3連勝。シューマッハ独走で始まった94年F1は、最後の最後までもつれることになる。