My季語集「春めく」NHK俳句3月13日 | 俳人二百面相

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My季語集「春めく」NHK俳句3月13日
 
星野髙士先生
 
鶴橋康夫さん(映画監督)2016年 「後妻業の女」
 
雨霰そこが遊び場かくれんぼ   鶴橋康夫
 
「春めく」・・・ものでない季題の扱い方はむずかしい。どうも「もの」に反省するか
 
春めいてをり考へてをりにけり        星野高士
 
春めくと覚えつゝ読み耽るかな  星野立子             三十三回忌
 

兼題 「春めく」春動く、春兆す
 
* 早春、春浅し
 立春(二月四日ころ)をすぎて、しだいに春らしくなってくることをいう。
 春は三寒四温というようにゆっくりとやって来る。
風の吹き方や草木の芽吹き、鳥たちの歌声や街行く人たちの服装などに、いち早く春の
気配を感じ取って「春めく」と喜ぶ。
 
春めくや藪ありて雪ありて雪         一茶 
鶯の来ぬ日春めく木の間かな         鳳朗 
春めきてものの果てなる空の色     飯田蛇笏
春めきし箒の先を土ころげ       星野立子
春めくと雲に舞ふ陽に旅つげり     飯田龍太
草よりも影に春めく色を見し      高木晴子
片手ぶくろ失ひしより春めくや      及川貞
生きものの小さきかげより春めきて   川崎邦子
春めくと話して改札員同士        岡本眸
春めきて沢庵うまき膳に坐す      前島長路
春めくやわだちのなかの深轍      鷹羽狩行
春めくを図形で言へば楕円かな     平川 尭
 

特選
 
一席
春めくや木の間に風の立ち止まる  秋田県大潟村 佐藤 豊さん
*「風」の擬人化。冷たく吹き付けない風のやさしさが「春」の気配。
  「立ち止まる」の発見。
  「困ったときの風と影」
 
二席
春めくや長き廊下の丸き窓  神奈川県川崎市 青木 さん
*春めくを形にすると。「長いと丸い」 「丸き窓」は何処の窓なのだろうか。
  選評 「 説教師が泣かせ笑わせ・・。」巧妙に真髄を伝える。
 
三席
硝子戸に鳥影しきり春兆す    福島県白河市 髙橋淳子さん
*傍題「春兆す」下五に置くときっちり座る
障子に影なら冬か、「硝子戸」」の透明性が春に通じるか
「鳥影しきり」が春の到来か。
 
入選
 
寝過ごして遅刻の街の春めけり  千葉県野田市 松本祐一さん
*笑える句。「寝過ごす」のマイナスを明るく反転。その心持ちが「春めく」
「遅刻はしょうがない」と居直った瞬間、春が見えてきたのか
 
細やかな真昼の雨や春めきて   東京都東村山市   荒木春雪子さん
*写生の典型。春の雨派細やか。真昼の明るさ。
 
春めくや崩れぬままに浪がしら    三重県名張市  檜林弘一さん
*崩れそうで崩れないままを詠む。崩れないところに「春の兆し」
    「卯浪」と「春怒涛」の間をきっちり捉える。

 
春めくや浮かべる雲にゆく雲に   京都府京都市   森孝子さん
*気持ち柔らか。リフレインの軽やかさ。日常の中からの発見。
 
瀬戸内海の橋一つづつ春めきぬ    大阪府和泉市  白井恭郎さん
*`飛行機の窓から見た風景。固有名詞が効いている。細かい写生。
 
  瀬戸内海・・・春      瀬戸の花嫁
    日本海・・・冬     津軽海峡冬景色
    太平洋・・・夏。  湘南サザンなど
    誰も居ない海・・・秋
 
春めきし水の顔して潦        福岡県宗像市 坂元宏志さん
*「潦」(みずたまり)擬人化のおもしろさ。意外性。
  「顔」・・・変化するもの。    ゆらゆらおぼろの春
 
 入選の秘訣
 
 一つづつ暮れゆく山や春めく日                 春めく・・・一瞬を捉える
 〇 春めきて山ひとつづつ暮るる日も
 
  写真俳句添削
 
  手のひらに嬰の尻あり雛の家                 鶴橋康夫
 〇 手のひらに嬰の尻あり雛の宿
 
  初燕フェンスに沿いて通学路                岸本葉子
〇通学路沿いにフェンスや初燕
 
年間大賞     息白し釦を拒む釦穴    福岡県春日市 石松禎佑さん
 
二百面相落選句
 
  公園の砂場遊びや春めけり