10月の本郷句会
10月の本郷句会の日程が決まりましたのでご連絡いたします。
【本郷句会】
日時:10月30日(Fri) 18:00~20:30
場所:東京駅八重洲口グローバル・コロキウム
出句は当季雑詠5句、当日に席題数句です。参加される方は下のアドレスへご連絡をお願い致します。
また、二次会に参加される方は、合わせて参加する旨を書いていただくと助かります。
欠席投句される方は、前日までに同アドレスまでご出句ください。
ご連絡:haiku.u.tokyo[at]gmail.com
([at]を@に直してください)
皆様のご参加をお待ちしております。
(生駒大祐)
【本郷句会】
日時:10月30日(Fri) 18:00~20:30
場所:東京駅八重洲口グローバル・コロキウム
出句は当季雑詠5句、当日に席題数句です。参加される方は下のアドレスへご連絡をお願い致します。
また、二次会に参加される方は、合わせて参加する旨を書いていただくと助かります。
欠席投句される方は、前日までに同アドレスまでご出句ください。
ご連絡:haiku.u.tokyo[at]gmail.com
([at]を@に直してください)
皆様のご参加をお待ちしております。
(生駒大祐)
9月度本郷句会
9月25日に9月度の本郷句会が行われました。
今回の参加者は10名。
いつものグローバルコロキウムに集まり、
2時間半に渡って行いました。
出句は持ち寄り当季雑詠5句と席題「歯」と「年」。
それぞれま綾さんと耕平さんに提案していただきました。
これまで席題は季語が多かったので、
少し新鮮な席題となりました。
今回は有馬先生の句が高点句を占めました。
また、全体として格調高い句が高点だったように感じました。
席題句で巧みな句も見られ、高い評価を受けていました。
当日午後に行われた勉強会から続けての参加者もおり、
俳句会としては充実した一日になったように思います。
(生駒大祐)
今回の参加者は10名。
いつものグローバルコロキウムに集まり、
2時間半に渡って行いました。
出句は持ち寄り当季雑詠5句と席題「歯」と「年」。
それぞれま綾さんと耕平さんに提案していただきました。
これまで席題は季語が多かったので、
少し新鮮な席題となりました。
今回は有馬先生の句が高点句を占めました。
また、全体として格調高い句が高点だったように感じました。
席題句で巧みな句も見られ、高い評価を受けていました。
当日午後に行われた勉強会から続けての参加者もおり、
俳句会としては充実した一日になったように思います。
(生駒大祐)
9月の活動
久しぶりの更新となりますが、
9月の活動の連絡です。
9月の活動は定例句会に加えて勉強会を同時開催いたします。
いつもの方も初めての方も奮ってご参加ください。
【本郷句会】
日時:9月25日(Fri) 18:00~20:30
場所:東京駅八重洲口グローバル・コロキウム
出句は当季雑詠5句、当日に席題数句です。参加される方は以下のアドレスまでご連絡をお願い致します。
また、二次会に参加される方は、併せて参加する旨を書いていただくと助かります。
欠席投句される方は、前日までに以下のアドレスまでご出句ください。
mail:haiku.u.tokyo[at]gmail.com
([at]を@に置き換えて下さい。)
【勉強会】
25日午後から東京駅近辺の喫茶店にて勉強会を開催いたします。
担当は藤田が富沢赤黄男『天の狼』、生駒が高柳克弘『未踏』です。
東京駅八重洲中央口改札前に25日13時集合です。
参加される方は同じアドレスまでご連絡下さい。
mail:haiku.u.tokyo[at]gmail.com
([at]を@に置き換えて下さい。)
それでは25日にお会いしましょう。
9月の活動の連絡です。
9月の活動は定例句会に加えて勉強会を同時開催いたします。
いつもの方も初めての方も奮ってご参加ください。
【本郷句会】
日時:9月25日(Fri) 18:00~20:30
場所:東京駅八重洲口グローバル・コロキウム
出句は当季雑詠5句、当日に席題数句です。参加される方は以下のアドレスまでご連絡をお願い致します。
また、二次会に参加される方は、併せて参加する旨を書いていただくと助かります。
欠席投句される方は、前日までに以下のアドレスまでご出句ください。
mail:haiku.u.tokyo[at]gmail.com
([at]を@に置き換えて下さい。)
【勉強会】
25日午後から東京駅近辺の喫茶店にて勉強会を開催いたします。
担当は藤田が富沢赤黄男『天の狼』、生駒が高柳克弘『未踏』です。
東京駅八重洲中央口改札前に25日13時集合です。
参加される方は同じアドレスまでご連絡下さい。
mail:haiku.u.tokyo[at]gmail.com
([at]を@に置き換えて下さい。)
それでは25日にお会いしましょう。
週刊俳句第115号
週刊俳句第115号に、藤田と生駒の句が発表されております。
藤田は『飛行』10句、
生駒は『蝲蛄(ざりがに)』10句
です。
いずれも未発表・近作で、
それぞれの目指す方向性の違いがよく出た作品になったのではないかと思います。
ご覧頂ければ幸いです。
(生駒大祐)
藤田は『飛行』10句、
生駒は『蝲蛄(ざりがに)』10句
です。
いずれも未発表・近作で、
それぞれの目指す方向性の違いがよく出た作品になったのではないかと思います。
ご覧頂ければ幸いです。
(生駒大祐)
6月度本郷句会
先月の26日は6月度の本郷句会でした。
今回の席題は「滝」「窓」で1句。
総勢12名の参加者を迎えました。
6句出しの6句選でしたが、欠席投句も頂いていたので
時間が許せば投句、選句共にもっと増やしたかった。
結果的に最高点句は4点句で、3点句がたくさん。
時節柄梅雨の句が多いかと思いましたが、思ったよりも盛夏の句が多い印象でした。
実は梅雨の句は詠みづらいのかもしれず、
これなら兼題を梅雨周辺の季語にしておけば面白かったかもしれないと思いました。
今回はほぼ有馬先生の要望の時刻に終わらせることができ、一安心。
二次会参加は8人でした。
(生駒大祐)
今回の席題は「滝」「窓」で1句。
総勢12名の参加者を迎えました。
6句出しの6句選でしたが、欠席投句も頂いていたので
時間が許せば投句、選句共にもっと増やしたかった。
結果的に最高点句は4点句で、3点句がたくさん。
時節柄梅雨の句が多いかと思いましたが、思ったよりも盛夏の句が多い印象でした。
実は梅雨の句は詠みづらいのかもしれず、
これなら兼題を梅雨周辺の季語にしておけば面白かったかもしれないと思いました。
今回はほぼ有馬先生の要望の時刻に終わらせることができ、一安心。
二次会参加は8人でした。
(生駒大祐)
切れ字
切れ字について少し書きます。
その前に勉強会で扱った「霊芝」について少し。
飯田蛇笏の「霊芝」(新字で書きます)は、昭和11年刊行の蛇笏の第二句集。
ただし、第一句集「山廬集」と作句期間は大きく重複しているので、現在の俳人の第二句集のイメージとは程遠く第2句集にして全句集と言える内容です。収録した作句の期間もじつに20年以上の期間にわたり、総句数1000句。
で、なんと3割をこえる句が「かな」どめ。
また「や」を含む句が2割ほどあるので、「や」「かな」のみでじつに半分以上の句が占められているのです。
「なんだ半分か」と思われるかもしれませんが、句集の半分が「や」「かな」だと、
相当読んでいて疲労することは実際の句集を見てみるとわかります。
読んでいて感じる印象はよく言えば「格調を重視している」「型に忠実」などの賛辞が、
悪く言えば「新しい文体を開拓しようとしていない」という文句が出てきそうです。
とくに大正期の蛇笏は語彙力にものを言わせて無理矢理にでも「や」「かな」を使っている感じ。
昭和に入ると、切れ字自体が少なくなります。「けり」の数は増えていきますが。
それ以後の蛇笏の句は、むしろ脱「切れ字」の文体なのですが、(とくに晩年)
この切れ字を駆使した大正~昭和一桁の時代の蛇笏の句は、読んでいてとても示唆的です。
(以前行なった切れ字なしの席題と通じてくるのですが)
「俳句は型か」という命題を真となすか、偽となすか。ということを考える点で、です。
ながながと書くのはニガテなので、さっと書くと、
要するに、切れ字を積極的に柔軟に使いたい、ということです。
「意味の切れ」というのは実は曖昧な言い方で「『意味の緩急』の『急』の方」というふうなことを、
自分は直感的に鑑賞するときなどは感じるのですが、
その『急』という意味では「や」が使いよい。
『急』のために「や」があるのであって、逆はないです。
「かな」はむしろ『緩』の方です。
そういう意味内容とうまく対応をつけて切れ字を用いたいという考えがあります。
こうなってくると、リズムの緩急ともつながってくるのですが。
また、緩和とは、遠いところで惰性のうつくしさとも関わってくるのでしょう。(「俳句の力学」参照)
言い換えれば、安心感です。
50句並べたときにも、今度は句の中でなく、句どうしの間での緩急を考えるので、
平句はあったほうがたのしい。
えーと、これ以上書くと、じぶんの容量では追いつかないので、この意味不明な文章のままブログに載せます。
(藤田哲史)
『こゑふたつ』
勉強会でやった鴇田智哉の『こゑふたつ』について少し書きます。
まず一読、読み易い印象を覚える。
いわゆる「わからない」句群は智哉句に限らず読み易い。
それは頭が句を読み解くことを放棄して、言葉から自然に立ち上がる景を眺めようとするから。
読んでいて最も疲れるのは、句の中で名詞が強くぶつかっている句が続くとき。
名詞は景を生んでも場面は生まないので、句中の文脈を掴むのには想像力を働かせなければならない。
その意味で、智哉句はテンションもほぼ一定で、意味平易・句意難解な句が続くので、とてもさらっと読めた。
例えば以下の句たち。
春雨に近づけば日の匂ふなり
水ほどにひらたくなりぬ夕焼けて
ゆふぐれの畳に白い鯉のぼり
あたまから離れてしまふ棕櫚の花
花の夜や昔の人のおほきな目
言葉はコミュニケーションの最良のツールであるが、伝えたい内容をデータ欠損なしに伝達することはできず、必ず言語自身による創造性を持つ。
写生句を「伝達」を目的とした言語表現を模索する試みとすると、智哉句の一部はあえて伝達を拒んだ言葉遣いを心がけることで、言葉の創造性のみを抽出しているように感じた。
さて、勉強会での資料より抜粋。
句集の分析として、以下などを挙げた。
切れ字率 (x句 x句/281句)
「や」 6句 2%
「かな」 26句 9%
「けり」 34句 12%
参考:ひたすら数えてみました 「や」「かな」「けり」の頻度
http://weekly-haiku.blogspot.com/2008/11/blog-post_985.html
参考の結果と比べると、「けり」率が高めで「や」率が低めであると言えるだろう。全体としては切れ字率は現代の作家としては低めであると言えるだろう。
続いて句を上げつつレポートにも書いたキーワードの一通りの説明を。
・身体
智哉句の特徴として五感を生かした句が多いことは述べられていると思う。
(例えば角川俳句年鑑06年度の藤原龍一郎の「こゑふたつ」評として、「声や音に対する感覚が鋭敏な作者」ということが述べられている。)
句集を見てみると、身体的なモチーフと言葉(特に季語)の取り合わせや、それのみならず五感と季語他の素材とが因果関係や時間的つながりを持って結びついている句が多い印象を覚えた。
くちもとに風の吹いたる布団かな
目がかほの真ん中にある棕櫚咲けば
・時間
散文の『俳句とはなんだろう』のテーマが俳句における時間であるように、時間は智哉句における重要な要素であるようである。((時間というテーマを取り上げたのは)『私がもともと、「時間」というものにとても興味があったから、また、多くの人も「時間」に興味があるに違いないと思っているからである。』(雲 07年4月))
「ゆけば」などは句の中で時間の経過があることを表す語であるし、「~ば」の多用は因果関係の面白さのみならず句中での時間的な場面展開を表現するのに役立っている。
見まはしてゆけばつめたい木の林
空の絵を描いてをれば末枯るる
・茫漠
この語は年鑑09年の加藤かな文さんの文章から引いた。以下引用。
『私たちにできるのは、古い物を古い言葉で表現し、堆く積み上げることだけ。鴇田氏は、その古い言葉の塔の重心を測りつつ、言葉の木片を次々と抜いていく。向こうの景色が透いて見えるのに、それでも塔は崩れない。これはいわゆる「省略」ではない。「省略」は風景をクリアにするが、鴇田俳句は茫漠を目指す。』
この茫漠の理由として2種類あると考えた。「特異なことを短く言う」「普通のことを長く言う」の2つ。例えば以下。
こゑふたつ同じこゑなる竹の秋
葦枯れて車の中に人のゐる
・緩衝
智哉俳句に明確な取り合わせは少ない。
偶然や真綿の中は音の無き
優曇華やかほのなかから眠くなり
などが目立つのみだろう。その結果として、句の中に緩衝材的に素材と素材をつなぎ合わせる語が挿入された句が多いと考えた。
星空をもどれば白き襖かな の「白き」
言ひかけの口をひらけば桐が咲き の「口」
・省略
前述の年鑑の記事において加藤かな文さんは『「省略」ではない』と言っているが、僕は智哉俳句には省略が多用されていると考える。句が、作者の見ている「場面」を「景」として切り取り、「文体」によって描写されると考えると、茫漠は「場面」と「文体」の選択、省略は「景」、つまり表現内容の選択の仕方に特徴があると考えた。
木耳をおくれて少し思ひ出す
気が変はる青葉の木々のかさなりに
・当然
智哉句には当然と思われることをわざわざ言う句がある。それらはシャープな印象を生むこともあれば茫漠とした印象を与えることもある。
木の枝が分かれかはづの目借時
目の覚めてゐる間の昼のさくらかな
・助詞
智哉俳句には、一読意味がよく読み取れない句が多い。しかし、句を素材素材の取り合わせで考え、助詞の意味を無視して切れを作ると景が見えてくる。智哉は前述の「俳句とはなんだろう」の中で、「女の子が毛虫いいとか口で言ふ」を「口のある毛虫がいいといふ人も」に添削た上で、『作者としてはこの句、ちょうどいい具合に意味がなく、ちょうどいい具合に意味がある、という辺りで止めたつもりなのである。』(雲 07年10月)と述べる。これは「実験」の中で行われているため普段の実作とはまた違った例かもしれないが、句を単語の取り合わせで捉える姿勢はさほど突飛なものではないのではないかと思う。
絨毯のいつか知らないころに覚め
凩は大人の服を着てゐたる
・写生
智哉の句を写生句と捉えてみる。
逃水をちひさな人がとほりけり
うたごゑを口がうたへば孑孒も
以上、これだけ読んでも分かりにくいものも多いと思うが、記録として記しておく。また、勉強会後に考えたことも一部書いた。
今はここで稿を終えることにする。今後さらに考えを深めて記したい。
藤田は今回、徹頭徹尾智哉を認めなかった。それは裏を返せばそれだけ智哉の句調が一貫しているということも表しているだろう。広い俳句世間の中で自分という存在を示していくためには、自分の見せ方を戦略的に選択していくことが必要となる。その意味では智哉は良いテキストになったのではないかと思う。
(Ikoma.D)
まず一読、読み易い印象を覚える。
いわゆる「わからない」句群は智哉句に限らず読み易い。
それは頭が句を読み解くことを放棄して、言葉から自然に立ち上がる景を眺めようとするから。
読んでいて最も疲れるのは、句の中で名詞が強くぶつかっている句が続くとき。
名詞は景を生んでも場面は生まないので、句中の文脈を掴むのには想像力を働かせなければならない。
その意味で、智哉句はテンションもほぼ一定で、意味平易・句意難解な句が続くので、とてもさらっと読めた。
例えば以下の句たち。
春雨に近づけば日の匂ふなり
水ほどにひらたくなりぬ夕焼けて
ゆふぐれの畳に白い鯉のぼり
あたまから離れてしまふ棕櫚の花
花の夜や昔の人のおほきな目
言葉はコミュニケーションの最良のツールであるが、伝えたい内容をデータ欠損なしに伝達することはできず、必ず言語自身による創造性を持つ。
写生句を「伝達」を目的とした言語表現を模索する試みとすると、智哉句の一部はあえて伝達を拒んだ言葉遣いを心がけることで、言葉の創造性のみを抽出しているように感じた。
さて、勉強会での資料より抜粋。
句集の分析として、以下などを挙げた。
切れ字率 (x句 x句/281句)
「や」 6句 2%
「かな」 26句 9%
「けり」 34句 12%
参考:ひたすら数えてみました 「や」「かな」「けり」の頻度
http://weekly-haiku.blogspot.com/2008/11/blog-post_985.html
参考の結果と比べると、「けり」率が高めで「や」率が低めであると言えるだろう。全体としては切れ字率は現代の作家としては低めであると言えるだろう。
続いて句を上げつつレポートにも書いたキーワードの一通りの説明を。
・身体
智哉句の特徴として五感を生かした句が多いことは述べられていると思う。
(例えば角川俳句年鑑06年度の藤原龍一郎の「こゑふたつ」評として、「声や音に対する感覚が鋭敏な作者」ということが述べられている。)
句集を見てみると、身体的なモチーフと言葉(特に季語)の取り合わせや、それのみならず五感と季語他の素材とが因果関係や時間的つながりを持って結びついている句が多い印象を覚えた。
くちもとに風の吹いたる布団かな
目がかほの真ん中にある棕櫚咲けば
・時間
散文の『俳句とはなんだろう』のテーマが俳句における時間であるように、時間は智哉句における重要な要素であるようである。((時間というテーマを取り上げたのは)『私がもともと、「時間」というものにとても興味があったから、また、多くの人も「時間」に興味があるに違いないと思っているからである。』(雲 07年4月))
「ゆけば」などは句の中で時間の経過があることを表す語であるし、「~ば」の多用は因果関係の面白さのみならず句中での時間的な場面展開を表現するのに役立っている。
見まはしてゆけばつめたい木の林
空の絵を描いてをれば末枯るる
・茫漠
この語は年鑑09年の加藤かな文さんの文章から引いた。以下引用。
『私たちにできるのは、古い物を古い言葉で表現し、堆く積み上げることだけ。鴇田氏は、その古い言葉の塔の重心を測りつつ、言葉の木片を次々と抜いていく。向こうの景色が透いて見えるのに、それでも塔は崩れない。これはいわゆる「省略」ではない。「省略」は風景をクリアにするが、鴇田俳句は茫漠を目指す。』
この茫漠の理由として2種類あると考えた。「特異なことを短く言う」「普通のことを長く言う」の2つ。例えば以下。
こゑふたつ同じこゑなる竹の秋
葦枯れて車の中に人のゐる
・緩衝
智哉俳句に明確な取り合わせは少ない。
偶然や真綿の中は音の無き
優曇華やかほのなかから眠くなり
などが目立つのみだろう。その結果として、句の中に緩衝材的に素材と素材をつなぎ合わせる語が挿入された句が多いと考えた。
星空をもどれば白き襖かな の「白き」
言ひかけの口をひらけば桐が咲き の「口」
・省略
前述の年鑑の記事において加藤かな文さんは『「省略」ではない』と言っているが、僕は智哉俳句には省略が多用されていると考える。句が、作者の見ている「場面」を「景」として切り取り、「文体」によって描写されると考えると、茫漠は「場面」と「文体」の選択、省略は「景」、つまり表現内容の選択の仕方に特徴があると考えた。
木耳をおくれて少し思ひ出す
気が変はる青葉の木々のかさなりに
・当然
智哉句には当然と思われることをわざわざ言う句がある。それらはシャープな印象を生むこともあれば茫漠とした印象を与えることもある。
木の枝が分かれかはづの目借時
目の覚めてゐる間の昼のさくらかな
・助詞
智哉俳句には、一読意味がよく読み取れない句が多い。しかし、句を素材素材の取り合わせで考え、助詞の意味を無視して切れを作ると景が見えてくる。智哉は前述の「俳句とはなんだろう」の中で、「女の子が毛虫いいとか口で言ふ」を「口のある毛虫がいいといふ人も」に添削た上で、『作者としてはこの句、ちょうどいい具合に意味がなく、ちょうどいい具合に意味がある、という辺りで止めたつもりなのである。』(雲 07年10月)と述べる。これは「実験」の中で行われているため普段の実作とはまた違った例かもしれないが、句を単語の取り合わせで捉える姿勢はさほど突飛なものではないのではないかと思う。
絨毯のいつか知らないころに覚め
凩は大人の服を着てゐたる
・写生
智哉の句を写生句と捉えてみる。
逃水をちひさな人がとほりけり
うたごゑを口がうたへば孑孒も
以上、これだけ読んでも分かりにくいものも多いと思うが、記録として記しておく。また、勉強会後に考えたことも一部書いた。
今はここで稿を終えることにする。今後さらに考えを深めて記したい。
藤田は今回、徹頭徹尾智哉を認めなかった。それは裏を返せばそれだけ智哉の句調が一貫しているということも表しているだろう。広い俳句世間の中で自分という存在を示していくためには、自分の見せ方を戦略的に選択していくことが必要となる。その意味では智哉は良いテキストになったのではないかと思う。
(Ikoma.D)
第1回勉強会 6月
14日は俳句会の勉強会を開催しました。
今回は最終的に5人が参加。
新宿西口のルノアールにて行いました。
発表者は藤田と生駒。
藤田は飯田蛇笏の第2句集「靈芝」を、
生駒は鴇田智哉の第1句集「こゑふたつ」をテキストとしました。
この勉強会の目的として、
「勉強をいかに実作に生かすかも考える」
というものがあります。
よって今回は特に「文体」を中心に据えて、
現代の作家の中で特徴的な"茫漠"とした世界を持つ鴇田智哉と
それと対照的に"古典"の中で堅牢な句風の飯田蛇笏をテキストに選びました。
藤田の資料は蛇笏の同時代人の年表と句集の収録年のまとめ、そして藤田選による「霊芝」50句。
特に「切れ」を意識し、50句はすべて「かな」で終わる句。
藤田による資料の軽い説明のあと、50句に読んで感想を言い合いました。
その後"「かな」終わり縛り"で10句席題をしました。
続いて生駒の資料は師系、外部評価(俳句年鑑より)、散文(『俳句とはなんだろうか』)、『こゑふたつ』50句選、句の分析(かな率、切れ字率、多用字・助詞助動詞)、"キーワード"。
キーワードは生駒が考えたもので、「身体」「時間」「茫漠」「緩衝」「省略」「当然」「助詞」「写生」の8つの観点から智哉俳句の読み解きを試みました。
一通り資料の説明を終えて、智哉俳句の許容の是非についての議論が行われました。
席題は"助詞「ば」を使う"5句、"中七に名詞無し"5句で行いました。
席題の句は、縛りを設けてもやはり蛇笏、智哉の句と近い句とはならず(特に近づけるようにはしませんでしたが)、各人の普段の句の枠からは出ないものとなった印象でした。
メンバーの中には目指す方向性が各人の中で定まっている人もいない人もいると思うので、
今後"自分の見せ方"を決めてゆく意味でも実作の周辺で勉強会を行っていきたいと思います。
(Ikoma.D)
今回は最終的に5人が参加。
新宿西口のルノアールにて行いました。
発表者は藤田と生駒。
藤田は飯田蛇笏の第2句集「靈芝」を、
生駒は鴇田智哉の第1句集「こゑふたつ」をテキストとしました。
この勉強会の目的として、
「勉強をいかに実作に生かすかも考える」
というものがあります。
よって今回は特に「文体」を中心に据えて、
現代の作家の中で特徴的な"茫漠"とした世界を持つ鴇田智哉と
それと対照的に"古典"の中で堅牢な句風の飯田蛇笏をテキストに選びました。
藤田の資料は蛇笏の同時代人の年表と句集の収録年のまとめ、そして藤田選による「霊芝」50句。
特に「切れ」を意識し、50句はすべて「かな」で終わる句。
藤田による資料の軽い説明のあと、50句に読んで感想を言い合いました。
その後"「かな」終わり縛り"で10句席題をしました。
続いて生駒の資料は師系、外部評価(俳句年鑑より)、散文(『俳句とはなんだろうか』)、『こゑふたつ』50句選、句の分析(かな率、切れ字率、多用字・助詞助動詞)、"キーワード"。
キーワードは生駒が考えたもので、「身体」「時間」「茫漠」「緩衝」「省略」「当然」「助詞」「写生」の8つの観点から智哉俳句の読み解きを試みました。
一通り資料の説明を終えて、智哉俳句の許容の是非についての議論が行われました。
席題は"助詞「ば」を使う"5句、"中七に名詞無し"5句で行いました。
席題の句は、縛りを設けてもやはり蛇笏、智哉の句と近い句とはならず(特に近づけるようにはしませんでしたが)、各人の普段の句の枠からは出ないものとなった印象でした。
メンバーの中には目指す方向性が各人の中で定まっている人もいない人もいると思うので、
今後"自分の見せ方"を決めてゆく意味でも実作の周辺で勉強会を行っていきたいと思います。
(Ikoma.D)
6月の活動のお知らせ
6月の学生俳句会の活動のお知らせです。
【勉強会】
日時:6月14日(日)15:00~夕刻
場所:ルノアール新宿ハルク横店(新宿駅西口徒歩五分)を予定
集合:15:00 新宿駅JR西口改札前
概要:今回のメインは句会ではなく勉強会になります。今回の発表者は生駒、藤田です。
生駒は鴇田智哉の第一句集をテキストに、
藤田は蛇笏をテキストにする予定です。
参加される方は以下までご連絡ください。
haiku.u.tokyo[at]gmail.com
([at]を@に変えて下さい)
【本郷句会】
日時:6月26日(金)18:00~20:30
場所:東京駅八重洲口グローバル・コロキウム
概要:出句は当季雑詠5句、当日に席題数句です。参加される方は以下へご連絡をお願い致します。
欠席投句される方は、前日までに以下までご出句ください。
haiku.u.tokyo[at]gmail.com
([at]を@に変えて下さい)
【勉強会】
日時:6月14日(日)15:00~夕刻
場所:ルノアール新宿ハルク横店(新宿駅西口徒歩五分)を予定
集合:15:00 新宿駅JR西口改札前
概要:今回のメインは句会ではなく勉強会になります。今回の発表者は生駒、藤田です。
生駒は鴇田智哉の第一句集をテキストに、
藤田は蛇笏をテキストにする予定です。
参加される方は以下までご連絡ください。
haiku.u.tokyo[at]gmail.com
([at]を@に変えて下さい)
【本郷句会】
日時:6月26日(金)18:00~20:30
場所:東京駅八重洲口グローバル・コロキウム
概要:出句は当季雑詠5句、当日に席題数句です。参加される方は以下へご連絡をお願い致します。
欠席投句される方は、前日までに以下までご出句ください。
haiku.u.tokyo[at]gmail.com
([at]を@に変えて下さい)
5月度本郷句会
5月22日は5月度の本郷句会でした。
いつも通りグローバルコロキウムにて18:00開始。
18:15頃にArima先生がいらっしゃって遅刻の方2人以外の8人全員が揃う。
今回もSugitaさんが持ってきてくださったお菓子を食べつつ、
今日の席題の『鵜』1句をそれぞれ作る。合計6句出。
Shimamuraさんの専門の航空宇宙工学の話なども軽く(先生曰く「宇宙分野は今後伸びる」)。
18:40投句締切。
清記後Hiharaさん、Ochiさんも揃って選句を行う。7句選。
今回初参加のNoguchiさんがいらっしゃるので自己紹介をした後Fujitaによる披講。
19:30より選評と名乗を始めた。
今日の最高点句は4点で、Sugitaさん(今春から教壇に立たれているそうで)とIkomaの句であった。
鵜の句をたくさん見る機会はあまりなかったので、
それぞれの句への選評における鵜の在り方や効果の違いなども味わえて面白かった。
しかし、進行の拙さで、予定より15分早く選評が終わってしまう。
そのため句会解散後、
2次会まで参加の6人は八重洲地下にて時間を潰す事になった(申し訳ありませんでした)。
20:45より2次会。
俳句に関するかなり活発な会話が交わされ、
俳句の定義、地名の読み込み、切れ字と句を「伸ばす」こと、虚子に関してなどなど。
ビールを中心に料理もいろいろ。80cmソーセージ。
22:30に八重洲にて解散。
やはり反省点は句会の時間の調節と2次会の時間設定の問題。
これはひとえに幹事の力量に掛かってくるため、
猛省して今後改善させなければと思う。
しかしやはり席題句は面白い。
今後の司会では「詠み分け」や「採り分け」について、より深めた選評を伺いたいと思う。
(Ikoma.D)
いつも通りグローバルコロキウムにて18:00開始。
18:15頃にArima先生がいらっしゃって遅刻の方2人以外の8人全員が揃う。
今回もSugitaさんが持ってきてくださったお菓子を食べつつ、
今日の席題の『鵜』1句をそれぞれ作る。合計6句出。
Shimamuraさんの専門の航空宇宙工学の話なども軽く(先生曰く「宇宙分野は今後伸びる」)。
18:40投句締切。
清記後Hiharaさん、Ochiさんも揃って選句を行う。7句選。
今回初参加のNoguchiさんがいらっしゃるので自己紹介をした後Fujitaによる披講。
19:30より選評と名乗を始めた。
今日の最高点句は4点で、Sugitaさん(今春から教壇に立たれているそうで)とIkomaの句であった。
鵜の句をたくさん見る機会はあまりなかったので、
それぞれの句への選評における鵜の在り方や効果の違いなども味わえて面白かった。
しかし、進行の拙さで、予定より15分早く選評が終わってしまう。
そのため句会解散後、
2次会まで参加の6人は八重洲地下にて時間を潰す事になった(申し訳ありませんでした)。
20:45より2次会。
俳句に関するかなり活発な会話が交わされ、
俳句の定義、地名の読み込み、切れ字と句を「伸ばす」こと、虚子に関してなどなど。
ビールを中心に料理もいろいろ。80cmソーセージ。
22:30に八重洲にて解散。
やはり反省点は句会の時間の調節と2次会の時間設定の問題。
これはひとえに幹事の力量に掛かってくるため、
猛省して今後改善させなければと思う。
しかしやはり席題句は面白い。
今後の司会では「詠み分け」や「採り分け」について、より深めた選評を伺いたいと思う。
(Ikoma.D)