『諷俳通信』(52)
長期の休稿を陳謝致します。
気が付けば約三年になりますが、長い間この稿を休んでおりました。
体調の都合というのではなくて、全くの身勝手からの休稿でありました。
若し読者の方でこの休稿を案じて下さる方が居られたのなら、身勝手を心から陳謝致します。
この度身辺の事も身軽となりましたので、また以前のようにこの「風俳通信」を再開致します。
若しお読み頂けたら幸甚に存じます。 百拝。
しのぶ日月
[近詠20句]
『百度石』
しのぶ日月
父よりも生かされをりて冬至粥
太鼓橋渡り華やぐ恵方道
傾ぎたるままに定まり注連飾
人日のなど沖波の立ち騒ぐ
曽根崎の辺まで人出て初戎
福笹の金銀朱もて飾られる
成人の日の風出でて頬を打つ
純毛の柔らかくあり辛夷の芽
一月十七日由紀ハル勉の忌
寒中の得度の水を汲まれけり
墓ごとの一基一基の虎落笛
三寒の四温待たるる滑り台
雪は霏々病みて喀く血の鮮らけし
綻ぶにまだ間はあれど冬芽紅
わが眼鏡凍てて曇りぬ草城忌
根を伸ばすことを休まず冬木かな
湯気立てて殻ふはふはの寒卵
肚出して猫の寝まるる春隣
追儺鬼きりきりたたら踏んで去る
立春の手擦れびかりに百度石