2025年12月

 

兼題:冬木立   当季雑詠

出題者:鳥閑

 

葉を落として裸木となった樹が並んでいる風景を言う。

冬の寒さを感じ、どこかもの悲しい気持ちにさせる冬木立。

雪が降れば枝には真っ白な雪の華。

【冬こだち月にあはれをわすれたり 蕪村】

 

 

 

空せまき冬の木立の隙間より   泰山

空せまし、で切ったらどうでしょう

うーん、夏よりは広い?

*葉が散って枝の隙間からやっと空が見えました。

上五を「空せまし」にして「空せまし冬の木立の隙間より」、いかがでしょう。

 

山眠る熊も一緒に眠りましょう   泰山

字余りですが、「熊さん一緒に」でお願いします

稚児に読み聞かせている絵本のよう..季重なりは気にならず

*中七を字余りになっても「山眠る熊さん一緒に眠りましょう」、かわいい一句になりました。

今年の漢字は「熊」、12月末というのに今も続く熊被害。

 

冬木立海岸通リの龍馬像  泰山

贅を捨てすっからかんの冬木立  泰山

いわれある大新宿の酉の市  泰山

 

 

松島の小島それぞれ冬の影   素頓

下五の「冬の影」がよく効いています

あ~松島や松島や

*冬の影に惹かれ◎1〇2高得点句。仙石線の車窓からの風景。

 

暮れる陽の銀の一閃冬木立   素頓

最後の光そして落日

「一句、ひらめきました!」の鈴蘭、コメント賞

*一閃(いっせん)瞬間的に光が走ること。突然ひらめくこと。

ひらめきの一句は〇4高得点句。

 

金色に染められし雲冬木立  素頓

夕闇に傲然として冬木かな  素頓

暗闇の奥冬木立臨死かな  素頓

 

冬木立日差しやさしき旧街道   鳥閑

小春日和の旧街道 佳句です

廃れた街道にせめても

*鎌倉街道、青梅街道、日光街道、箱根路か熊野路か。場所の特定はしないのが花!?

 

冬木立再起の力内に秘め   鳥閑

私も欲しいこの力

もう頑張りたくないのに

*春には内に秘めた力で再起。春よ来い、早く来い。

 

冬木立幹それぞれの美しさ  鳥閑

「年増の女性だって」の素頓さまコメント賞

長屋門覗けばどつきり干大根  鳥閑

断捨離の遅遅と進まず冬木立  鳥閑

 

 

満天の星を纏ひて冬木立   摩天

冬星座の美しさ

冬木立ツリー

*星空と冬木立、電飾では真似のできない美しさ。

♪木枯らしとだえて さゆる空より 地上に振りしく くすしき光よ~~

 

小春日や八十年の平和呆け   摩天

でも素晴らしき平和ボケです。

呆けたまま逃げ切れそう

*平和呆けと言われても戦争を知らないまま傘寿を迎えた幸せ、平和が続きますように。

 

冬木立ホテルに朝のカフェーの香  摩天

削げるだけ削いで俳句や冬木立  摩天

第三の男のチター冬木立  摩天

 

冬木立雲水の朝早かりき   一兎

千日回峰目指します。

自分は修行しないので朝遅し

*雲水(うんすい)雲のように、水のように行脚の修行僧。

下五を「早かりし」にして「冬木立雲水の朝早かりし」、いかがでしょう。

 

紺碧に白き頂き冬木立   一兎

やはり富士山かな・・

何となく情景が浮ぶが正解かどうか

*「いただきました、と言わせたい」と作者。狙い通りになったでしょうか・・

 

永らへて盲亀浮木の去年今年  一兎

冬木立隠れきれずにキジを撃つ  一兎

星を指す枝やイチョウの冬並木  一兎

 

断捨離は明日への一歩冬木立  碧水

「明日とはあの世」の泰山さまコメント賞。

捨てて入るを待つ

*◎1〇2高得点句。葉を落とした裸木から断捨離を連想。

 

もう会えぬ人また一人冬木立   碧水

よくわかります。寂しいですね

また一人と惜しまれたきや冬木立

*年末に届く訃報の知らせ、寂しさや悲しさが冬木立に通じます。

 

ビル街に光まといて冬木立  碧水

地下街を出て東京の冬木立  碧水

外人もいっしょに写真七五三  碧水

「外つ国の人も写真に七五三」の鳥閑さまコメント大賞

 

 

街は眠らず電飾の冬木立  鈴蘭

街の繁盛ぶりがわかります。

電気代がかさむが、まあええか

*7-5-5の破調の句。

 

すれ違う園児の列や冬木立  鈴蘭

園児たちがお行儀よく散歩です。

中七をちょっとミステリアスにしたら・・たとえば「男と女」とか

*◎2高得点句。ほっぺまっかか、着ぶくれの園児は公園へ。

 

冬木立路面電車の灯の優し  鈴蘭

冬木立ビルの谷間の時計台  鈴蘭

年忘れ熱量多き友五人  鈴蘭

 

 

  来年もよろしくお願いいたします