2025年11月
兼題:行く秋(逝く秋) 当季雑詠
出題者:泰山
秋の終ろうとするころ。静的な捉え方をする「暮の秋」に対し、
「行く秋」は去りゆく秋を見送る思いが強くこもる。
行秋やのこる物みな目に見ゆる 蕪村
月天心貧しき町を通りけり 蕪村
行く秋の名残としてか陽の上る 泰山
上る陽に口実はいらない <鳥閑さま コメント賞>
「陽は又昇る」の谷村も既に下りて鬼籍
*曇りの日が続き久しぶりに晴れた日、久しぶりの外出に俳句詠む。
「秋終わる惜しみて見上ぐビル谷間 泰山」
「逝く秋や独りぼっちに三千歩 泰山」
サンポの千倍歩きました<鈴蘭 コメント大賞>
「渋滞を抜けて渋滞冬浅し 泰山」
冬日差し女ばかりの研修会 泰山
美女ばかりの、としたかったが字足らず
何の研修会かヒントになる一言がほしい
*研修先は東京湾の埋め立て地。で、何の研修会?
ゆく秋や天空に住む妹恋し 素頓
天空では無くあなたの隣においでです
実感のこもった一句。涙
*天空に住むのもいいなと思うことも。寂しさに俳句詠む。
「ゆく秋や人気なき町通りけり 素頓」
「ゆく秋や寂しすぎるぞわが命 素頓」
「たびたびの自分探しで秋の果 素頓」
陽だまりの煉瓦吸い付く秋茜 素頓
煉瓦吸い付くの取捨
中七がユニーク。ただ中八になっても「煉瓦に」とした方がよいかと・・
*暖かい日だまりの煉瓦に吸い込まれるようにトンボがとまっている。そっとしておこう。
行く秋や待ち行列の内科前 鳥閑
インフルエンザかコロナか
風邪流行で医者のかき入れ時だ。
*インフルエンザ大流行で内科前は患者の行列。待ち時間に俳句詠む。
「行く秋や訃報の歌手は同世代 鳥閑」
「行く秋や日暮の酒肆へまっしぐら 鳥閑」
「月影の呆兎一兎に逆戻り 鳥閑」
行く秋をケーブルカーが一跨ぎ 鳥閑
下五がよい。壮大。絶景絶景
眼下が見えそうです
*上るほど秋が深まり、初秋から初冬までを一跨ぎ。
◎1〇3の最高得点句。
去る秋や町をさまよふ親子熊 摩天
ある日森の中熊さんと出会った・・・良き時代
山には食べ物がないので、この子のために命がけで人間界へ
*熊は冬の季語。冬眠前の熊の様子だから季重なりは気にならず。
熊や蜂被害、そして戦争に心いため俳句詠む。
「穴に入るひもじき熊の親子かな 摩天」
「行く秋や果てなき旅のガザの民 摩天」
「巣の奥にうごめく蜂や暮の秋 摩天」
行く秋や水琴窟のかぼそき音 摩天
何かが詰まって居ます。<泰山さま コメント賞>
大雨でずぶとき音 <素頓さま コメント賞>
*かぼそく澄んだ音に惹かれ◎1〇3の最高得点句。
行く秋や山の湖畔のアップルパイ 一兎
湖畔ならばドラマ性が欲しくなる
アップルパイとの取り合わせが良い
*山の湖畔を場所特定して「行く秋や十和田湖畔のアップルパイ 一兎」。いいね!
旅人となり俳句詠む。
「清流に鳥の声無く秋行けり 一兎」
「連峰の秋終わりけるロープウェイ 一兎」
「減塩とカフェインレスの冬来る 一兎」
山の背はワイパーの先秋は行く 一兎
錦秋の山里へドライブか
山裾としないところに〇
*上五の山の背、場所特定して「八幡平はワイパーの先秋は行く 一兎」。いいね!
ワイパーの先はフロントガラスの隅っこ、動かして左右の景色・・
行く秋や砂の記憶は波が消し 碧水
認知症は頭の記憶を消し
人の記憶も砂のごとし <鈴蘭 コメント賞>
*記憶が消えるとなれば認知症を連想、年齢がそうさせるということでしょうか。
一人海にいて俳句詠む。
「行く秋に一人海辺で貝ひろう 碧水」
「行く秋やトランペットの音澄みて 碧水」
「行く秋やゆっくりよぎる雲の影 碧水」
あるがまま生きて令和の今年米 碧水
わがままに生きて、ではないか
上五「平凡に」「愚直に」「淡々と」とか・・
*あるがまま、わがまま、平凡、愚直に、なにはともあれ幸せな人です。
行く秋や犬をモデルに撮影会 鈴蘭
訓練が行き届いた犬、ハイポーズ
「はい、笑って」と飼い主が言うと口を開けた
*良く晴れた日の公園、モデル犬を囲んでにぎやかな撮影会。
動物をモデルに俳句詠む。
「行く秋やクマ出没にパトカー来 鈴蘭」
「紫の鞄の市長行く秋ぞ 鈴蘭」
「火曜日は初雪予報今日は晴れ 鈴蘭」
会いたいと言いつつ二年行く秋ぞ 鈴蘭
会いたい時に是非会っておいてください
こんどいつかは、いつまで待ってもこない
*今度とお化けは出てこない、さぁ~重い腰を上げよう!


