2025年2月

兼題:名の草枯る  当季雑詠
出題者:泰山


名のある草の枯れたものを一括し「名の草枯る」といい、
草の名を冠にして枯薄、枯薊、枯鶏頭、草枯る、など
要は枯れている草を詠めば兼題の句ということに。
枯れた草の姿は哀れを誘うもの、また趣のあるものとさまざま。

さまざまな枯草の姿をご観賞ください。

赤まんま枯れてちょっぴり色残し 泰山
「赤まんま」とは手練れの作者
赤まんまは秋の季語。枯れれば冬の季語?
*枯れた姿は冬の季語。イヌタデを赤まんまともいう。

乙巳や大地浄めし春の雨 泰山
乙巳(きのとみ)は60年に一回、縁起の良い年とか・・・
おといぬ、知りませんでした  ヘビなのにイヌと勘違いコメントの一兎さまに大爆笑賞
*豪雨や地震など災害の無い年になりますように。

栴檀の枯れ葉ほのかに香りけり ゆめ
楝(おうち)ちる川べの宿の・・・唱歌「夏は来ぬ」
栴檀は小学校の校歌にでてきます
*楝(おうち)は栴檀のこと。唱歌や校歌の歌詞がふと浮かぶ。

冬晴れて空は真青に何処までも ゆめ
晴天続きの今冬、それが綺麗です
最近の関東地方です
*晴れているから青空とわかるが、ただ青いのではなく真っ青なのだと伝えたい。

白壁に映る陰影枯れ薄 素頓
幽霊観たぞ枯尾花
お化けではありません
*幽霊の正体見たり枯れ尾花。

枯れ桔梗崩れて清楚思い人 素頓
崩れて清楚は現在では無理、だから思い人か
あの子は今どうしているのだろう
*枯桔梗に例えた思い人の年齢は70歳前後でしたとのこと。70歳はまだ枯れていないと反論あり!



道灌へ枯山吹の蓑織らむ 鳥閑
山吹の蓑、発想が素晴らしいです
どんな話が潜んでいるのでしょうか
*七重八重花は咲けども山吹の実の(蓑)ひとつだになきぞ悲しき

枯荻や古民家カフェのモンブラン 鳥閑
この句はなかなか味わいにある句です
洋風なのは菓子だけでした
*上手い、旨いで◎2〇3の最高得点句

夕暮れの湖畔の宿や枯尾花 摩天
訳ありな男女の客が想像される
枯尾花だもの,静かなところへ逃げたくなるよね
*歌謡曲にありそうな景。高峰三枝子の「湖畔の宿」ってあったよね。

老いぬれば老いの輝き枯尾花 摩天
老いは淋しいものよ
老人仲間を大切にして〇
*◎2〇2の高得点句。「野辺に咲く老いの一徹枯すすき 摩天」と枯薄(枯尾花)で3句。

虚無僧の枯れし仏花に手を合わせ 一兎
切り花なので夏でも枯れる?
なにゆえか
*虚無僧とは尺八を吹いて托鉢行脚する僧。
時代劇で見ますが、大都会新宿で見かけたことも。

カラヤンをレコードで聴く戻り寒 一兎
そしてホットウイスキーを呑みます。曲目は室内楽
いいですね
*レコードで聴くことは令和の時代の贅沢。

天に向け息吐くごとし枯薊 鈴蘭
中七に実感湧かず
無風流な私には景が見えません
*あのねぇ、薊の花は枯れてもしおれずに上を向いたままのもあるのよね。

豪快にレモンサワーとちゃんこ鍋 鈴蘭
レモンサワーに豪快感がないような。
一斗樽と
*正直にレモンサワーとしたけれど「一斗樽酒ちゃんこ鍋」にすればよかった。



★コメント賞
春の潮海の火山を継ぐ波頭 泰山
「四股名かと?」の素頓さまにコメント大賞

名草枯る歳々年々はなおなじ 泰山
「年年歳歳花相似、歳歳年年人不同」の鈴蘭にコメント賞。

春寒の乗換時間長きかな 鳥閑
「冬から春への乗り換え」の鈴蘭にコメント賞。


(2025さっぽろ雪まつり)