2024年7月

兼題:祭  当季雑詠
出題者:泰山


夏は疫病が発生しやすく、それをもたらす元凶は怨霊と信じ
怨霊を鎮めたり祓ったりする切実な願いを籠めて行うのが夏祭り。
俳諧・俳句で「祭」は夏祭りを言い、夏の季語です。



夏祭り雨に好かれし諏訪神社  泰山
何事でも好かれるのはいいこと
*新宿高田馬場に鎮座。農業神の大国主命一族が御祭神、雨が多いわけです。

雨上がる鬼女の如くに草むしり  泰山
もう少しゆとりが欲しい
*上5は「雨上り」で下5の「草むしり」の「り」を唱和させ、「雨上がり鬼女の如くに草むしり」。

白い歯に祭の団扇大都会  一桂
笑顔の白い歯が祭の楽しさを示している
*白い歯ピカピカ団扇パタパタ、祭は楽しい。
 
白いシャツ右へ左へ月曜日  一桂
右往左往ですね
*月曜の通勤風景。毎日が日曜日で実感がない読み手・・。

りんご飴わたあめ買って祭の夜  ゆめ
買っては要らい言葉では
*「買って」の動詞の代わりに名詞を3つ並べてはどうでしょう。
祭関連の季語ではない3文字の名詞・・はて?

子供らに引かれ町内山車廻る  ゆめ
御土産のお菓子に誘われて。
*下5は「廻る山車」とし「子供らに引かれ町内廻る山車」。

夜明けまであねさかぶりの祭かな  素頓
風の盆か
*亭主への鬱憤ばらし、忙しさをアピールの奥さまか。

風鈴や老人介護講習会  素頓
これぞ老々介護
*受けましょう、介護される方もする方も。



さらしきりり乙女が担ぐ神輿かな  鳥閑
乙女ってどうしてわかるのかしら
*「締めこみをキリリと博多祇園かな 摩天」でキリリ対決。乙女の勝利!

青き目の助つ人担ぐ神輿かな 鳥閑
助っ人なしではかつげない現状
*助っ人のおかげか◎2〇1の高得点句。

山車を引く厄除けの水浴びながら  摩天
水でなく酒浴びたいのに
*熱中症対策にも一役買ってます。

手一本入れて神輿は山下る  摩天
急坂は怖い
*いよーぉ、パパパン パパパン パンパンパン。

ジャガバタはおいて射的だ夏祭り  一兎
普通はイカ焼き
*祭の場合は団子(ジャガバタ)より花(射的)、いやいや祭も花より団子でしょ。

どんとこい加須へどーんとこい祭り  一兎
そして鯉のぼりだ
*加須市のどんとこい祭り。名物の「うどん」と「こいのぼり」を合体させた祭。

幼き児祭鉢巻き山車の上  碧水
だんじりではないでしょうね
*親は興奮、児は緊張、見物客は落ちやしないかと心配。

綿菓子のふわりと生れ祭笛  碧水
ふわりと生れ、が良いですね
*中七「ふわりと生れ」が人気、◎3〇1の最高得点句。

トラックに提灯下げただけの山車  鈴蘭
それもまた風情あり
*財政難か省エネかそれとも手抜きか。

伊夜日子の夏越し茅の輪やや楕円  鈴蘭
楕円になってしまったのでしょうか。作り手が下手?
*伊夜日子とは彌彦神社のこと。中七は「の」が抜けて字足らず。



★★コメント大賞★★
好きな子を狙い撃ちする水鉄砲 碧水
「そうなんだ、一度も撃たれた事のない私は・・・」の泰山さま。
(なんと申しましょうか・・慰めはいらないでしょうし・・。)

★コメント賞★
祭笛カセッチデッキの響きなり 泰山
「少々「セッカチ」のようです」の一兎さま。
(カセットデッキをカセッチデッキと打ち違い)

白雲の漂う空や夾竹桃 素頓
「毒にも薬にも」の摩天さま。
(毒にも薬にもならないのは夾竹桃のこと。お間違いのないように。)

まつさらの祭り半纏ヨチヨチと 一兎
「長男なんだね」の素頓さま
(まっさらということはおさがりではない。なるほど賞!)