2023年6月

兼題:金魚  当季雑詠
出題者:碧水



金魚の色鮮やかな姿とゆったりとした動きから涼しさを感じます。
金魚は鮒を品種改良し観賞用にしたもの。
縁日や祭りの露店で行われている金魚すくいなど
傍題に金魚売り、金魚鉢、金魚玉、出目金、阿蘭陀獅子頭など。


九天に雲地には金魚の売られけり   泰山
意外性に驚くばかり
「九天に雲」は「地に金魚」の比喩でしょうか
*九天とは大空全体をいう仏教語。

目の合った金魚に心見透かされ  泰山
三枚に下ろすことバレたか・・・
焼き魚にしようとしていた?
*人間も猫も「食べたい」と思っていること金魚に見透かされている。

ゆっくりとあやして泳ぐ金魚かな   一桂
あやしては、綾でしょうか。綾錦のような金魚
「あやしく」と読んでドキッとしました
*「あや」は模様や色彩の美しさの「綾」、小さな子どもの機嫌をとる「あやす」、
怪しいの「怪し」かは読者にお任せ。

金魚玉軒に吊るして愛でにけり  ゆめ
涼しげな光景
となりに風鈴
*金魚玉とはガラス製の球形の器。藻を入れ金魚を泳がせ、軒先に吊っておく。
底が平らなもので置いて楽しむものは金魚鉢。

留守番は金魚一匹四畳半   ゆめ
「おとこおいどん」の漫画のような光景です。
留守番の猫に殺(や)られし金魚かな
*猫もうらやむ〇7の最高得点句。



目を合わす金魚スイッと向き変えて   素頓
鼻歌を歌えば金魚横を向く(摩天)
金魚は意識していません
*どうも嫌われてしまったようです

食器棚奧より名器新茶かな   素頓
家宝の名器で一服
新茶ですから
*新茶に敬意をはらい家宝の利休で一服かな。

兼題は金魚句会は魚金で   鳥閑
これは凄い、感動
あっは!挨拶句でござる
*◎1〇5の最高得点句。6月句会は居酒屋「魚金」が会場。

出目金の視野は三百六十度   鳥閑
本当ですか?
疲れますね
*視野が360度の出目金、350度の競走馬を
視野が狭くなってきている高齢者にはうらやましい話。
出目金、競争馬の視野の話は本当?

雑金魚おまけの一尾したたかに   摩天
その一尾は雑ものと思っていないのだ
だから生き残った
*したたかに長生きしています・・雑金魚のことですよ。

若楓まばゆき雨後の散歩道   摩天
ほんの一瞬の美しい若葉の季節です。
若楓の特徴を詠んでいる
*楓も若いと美しい、きれい、みずみずしいということか・・



らんちゆうや背びれ取られて膨れ面   一兎
細かい観察です。膨れ面がちょっとひっかかる
人間のエゴです
*「らんちゅう」「阿蘭陀獅子頭」「出目金」「和金」と金魚の種類で投句の一兎さま。

花魁はしゃなり阿蘭陀獅子頭   一兎
絢爛豪華ないでたち。手書きでは絶対に書けない「阿蘭陀獅子頭」
花魁とオランダ獅子頭・・なるほど
*出目金は優魚会出席、和金は子供のたなごころに、
しゃなりしゃなりとお出ましの阿蘭陀獅子頭。

地球とは人のゆりかご金魚玉   碧水
しょせんはお釈迦様の手の平よ
宇宙から見れば人間社会も金魚玉
*大きな句で◎2〇2の大量得点句。

父親も金魚掬いのうでまくり   碧水
よーし、俺が・・・
でも掬えない
*「金魚すくい子より父親熱くなり ゆめ」と頑張る父の姿の句、
6月18日は父の日、お父さんありがとう。

明日まで金魚を放す洗面器   鈴蘭
生憎手持ちの金魚鉢がなくて・・
取り敢えず仮住まい
*明日まで顔を洗うのはバケツや大鍋などを使ってください。
とりあえず明日まで。

おろし金新しくして夏大根   鈴蘭
新しいおろし金で、夏大根のピチピチ感も
辛い大根が似合います
*辛みの大根おろしに大甘の〇7得点。

*****今月のコメント賞*****
★コメント大賞
花魁はしゃなり阿蘭陀獅子頭 一兎
老いらん前に会いたかった」の素頓さま。

☆コメント賞
埋めたのは庭木の根元金魚死す 鈴蘭
「その庭木が木魚になります」の一兎さま。

優魚会それ出目金は眼が勝負 一兎
それがわからない」の鈴蘭。