2022年3月

兼題 「蜆」 「当季雑詠」

出題者 ゆめ



内海をはじめ、湖沼、川などの砂や泥の中にいる小貝。
味噌汁に入れた蜆汁は風味がよく、肝臓によいとされている。



芝浜に新しき駅しじみ汁   泰山
「そんな駅夢でみたのよ、と女房殿 」の鳥閑さんにコメント大賞(ZOOM句会)
*高輪ゲートウェー駅です。あの駅の先が旧芝浜地区だそうです。
芝浜のほうが名前としては数倍良い。(オンライン句会)

梅まつり名筆の碑は鏡花なり   泰山
「泉鏡花 婦系図「湯島の白梅」」
「泉鏡花、名前だけは知っていましたが・・・」

蜆汁飲み干す爺の頬に紅   一桂
「キスマーク」の泰山さんにコメント賞(ZOOM句会)
「その前に酒を飲んでいるのです」
*キスマークコメント好評!(オンライン句会)

老い兆し楊枝でせせる蜆かな   ゆめ
「舌で掻き出すこともできます」
「ついで歯間も」

窓辺には紫色のクロッカス   ゆめ
「あっさりした作品も時に選んでみたくなる」
*ちょっと古い話、クロッカスで「花はおそかった」という歌を思い出しました。(ZOOM句会)



畑仕事妻の朝餉は蜆汁   素頓
「夫は浅利汁とか」
「亭主の姿が見えないですね」
*語順を変えて「畑仕事朝餉は妻の蜆汁」とすると夫の姿も見えてきます。(ZOOM句会)

ほっそりと蜆汁盛る妹の指   素頓
「ごついおばさんのつくる蜆汁も美味しいです。」
「幸薄き方、妻か恋人か?」

罪のなき蜆は砂を吐きにけり   鳥閑
「そんな蜆をあなたは食べるのでしょうか」
*◎2〇3の最高得点句 罪なきシジミを食して鳥閑さん、最高点とは・・・(オンライン句会)

蜆汁女将一人の定食屋   鳥閑
「コロナの営業補償はこのようなお店に大変役立ちます。」
*◎1〇5でこちらの句も最高得点句(オンライン句会))

朝もやの湖に漕ぎ出す蜆舟   摩天
「そして事件が始まる--テレビの見過ぎ」
*◎1〇4の高得点句(オンライン句会))

恙く生きて八十路やしじみ汁   摩天
「蜆のおかげとしみじみ思う」
*高得点の蜆船の句に続いて◎2〇3の最高得点句。
恙なく八十路、そして最高得点とおめでたい!!(オンライン句会)



シジミ踏みここと教えるツチ踏まず  一兎
「ハマグリは足裏で探すと聞いているが蜆もそうでしょう」
「すごい足技」
*「シジミ踏みツチ踏まず」カタカナは、
ひょっとして気がつかない人がいるかも、と。踏み踏まず・・(オンライン句会)

獺祭やスマホパソコンタブレット   一兎
「何事じゃ~獺祭というお酒を手に入れるための機器。あるいは獺を見るため。」
*「獺は春になると、とった魚を食べず岸に並べてお祭りをすると言う。
私も、買ったIT機器を使わずに(使えずに)並べて、お祭りしよう。(オンライン句会)

居酒屋に一茶の色紙しじみ汁   碧水
「色紙に染みがついたような感じ」
*◎1〇4の高得点句 上五は「しみじみと」でも面白い(オンライン句会)

早春の吊り橋渡り郷土館   碧水
「場所を想像できる一言が欲しい」
*迷いながらやっと辿り着いた青梅の郷土博物館だったそうで、
「辛い辛い行程でした」と同行の方から漏れたコメント。(ZOOM句会)

鍋底の蜆ポコポコ口開く   鈴蘭
「ポコポコ口開くの表現が面白い」

飲み過ぎて帰宅した奴蜆汁   鈴蘭
「中7は「帰宅の漢」で如何?」
*「帰宅した奴」憎らしさがよく出ています。蹴っ飛ばしたい。(オンライン句会)