2021年11月

兼題 「霜」 「当季雑詠」
出題者 素頓

  

冬のよく晴れた風の穏やかな夜、放射冷却によって地上の温度が下がり空気中の水蒸気が零度以下に
冷えたものに凍りついて氷の結晶となる現象。
夜に霜の結ぶときの音が聞こえると感じて霜の声という。(俳句歳時記・角川書店)


霜の声夜のしじまに魚焼く  泰山
パチパチと秋刀魚を焼く音 
霜の声とは「ジュージュー」
*夜のしじまにパチパチ、ジュージューの音。

霜降りや今日もどうやら過ごし行く   泰山
高級霜降り肉を食べてどうやら過ごす・・・羨ましい
どうやら過ごせて御の字です
*どうやら過ごす程度が一番幸せかもしれません。

霜を踏む音を迎える寄席太鼓   一桂
朝早くからの客は貴重だ
福岡からも聞こえてきます。
*どん、どん、どんとこい。お客さま、大勢いらしてください。



硝子戸に霜の花咲く朝かな   ゆめ
かつての冬の絵です。何でもない光景ですか名句。
波打つ玻璃の戸が目に浮かぶ
*◎1〇4の高得点句です。

枕辺に本積み上げて霜夜かな   ゆめ
目が霞んで読めないのです
文字通り「積読」ですね
*中七を積読と考えたが字数合わせのため「本積み上げて」。

黒猫の足音かすか霜の朝   素頓
黒猫か虎猫か・・・足音で分かる?
朝帰り
*猫は黒、霜は白の白黒を詠んでみました

早暁の霜天に満ち詩吟かな  素頓
「月落ち烏啼いて霜天に満つ」教養の高さに〇
朗々たる詩吟気持ちいい
*漢詩を吟じていた若き頃を詠んでみました

疫病の街深々と霜の声   鳥閑
やっと賑わいが戻ってきました。
「津々と」が良かったかも知れない
*「深々」でよいような、「津々」はどうもパンダを思い出します。

霜日和厄介なこと収まりぬ   鳥閑
良かったですね。今夜は一杯
厄介なこととは?読者に任せます
*厄介なこと任されてしまいました。



わが影を追ひつ追はれつ霜の朝   摩天
左向け、左、そしてもう一度左向け、左で追われる散歩
行きは追い帰りは追われて朝散歩
*「影を引き連れ」というのも考えました。

いつになく妻饒舌や温め酒   摩天
一寸酔いました。これからが怖いですよ。
やがて酒乱に変身?用心あれ
*原句は「や」で切らず、「いつになく妻は饒舌温め酒」でした。

大仰な霜注意報寝酒酌む   一兎
注意報が出ているのに暢気です。
酒飲みには理由はなんでもあり
◎1〇6の最高得点句で今度は祝酒酌む。

狐狸鼬鴨鷦鷯(ミソサザイ)盧舎の客  一兎
美味しそうな客たちですこと
兎さんのワナかしら(鈴蘭)
*冬の季語になっている動物を並べて詠みました。
作者を一兎さんではと思ってのコメントはビンゴ!鈴蘭にコメント賞。



踏みしだく土よりもるる霜の声   碧水
止めて!助けて!壊れる・・・
怒り声か
*「霜の声」という季語があるとは知らずに使ってシモた。

コロナ禍の中に華やぎ酉の市   碧水
久しぶりの賑わいが許されました。
コロナ禍の一掃を願って
*花園神社(新宿)の酉の市、賑わいが戻ってきました。

霜四度被る目安の収穫日   鈴蘭
これはベテランのお百姓さん、何の収穫でしょうか
霜を被るとうまみの増す作物は?
*霜が4回降りるとリンゴに蜜が入ると言っていたような・・。

悩ましき三割引きの松茸よ   鈴蘭
買うべきか買わざるべきか・・気持ちはよくわかります
5割引まで我慢すること
*迷うだけ迷って買うのをあきらめました。我が家はシメジで充分。


(札幌中島公園の紅葉)