2019年 3月

兼題:「春闌ける・春深し」 「当季雑詠」  出題者:ゆめ       *敬称略

   
 (千鳥ヶ淵と靖国神社の桜。曇り空でしたが満開の桜にうっとり。)

「闌(たけなわ)」とは最も盛んな時をいうとともに、
やや盛りを過ぎて衰えかけた時をもさし、
春の場合は晩春の風情をいうことになるそうです。
とすると満開の桜の画像はお題からずれていますがお許しください。

深き春もうすぐ私の誕生日  泰山
「〇のプレゼントをお受け取りください」
「お金がかからないですもの、私なら◎」
ともかくお金のかからないプレゼンだ。

七十路や春闌を惜しみをり  泰山
「春が終わるのが寂しいです。」
「来年の春に会えるやら会えないやら、ドスコイ」
上5は「ななそじ」、春闌は「はるたけなわ」

小坊主の途切れる経や春深し  素頓
「なんか嘘っぽいが・・・」
「そう、小嘘です」
聞いている方が居眠り。

縁側の猫の欠伸や春深し  素頓
「漱石の句か」
「我が輩を写生していた主人が怒り出したね」
猫は年中寝ているが、と言われつつも好句。



春闌くや風に色あり香りあり  鳥閑
「隣の焼き肉の香りと埃の色」
「閑さんの句と断定し、彼の好きな居酒屋を思い浮かべた」
二人が◎、〇も二人からで6点の高得点句。

春闌くやふと江ノ電に乗ってみる  鳥閑
「しかしその混雑で疲れました」
「以前はその混雑をきょろきょろするのが楽しかったのに」
こちらも◎×1、〇×5の高得点句。鳥閑さん絶好調!

春深し上野に古き音楽堂  摩天
「奏楽堂ですね、芸大の卒業演奏会一度行きました。素晴しい演奏でした。しかも無料」
「駄演奏で無料は時間の損失だが、名演奏が無料とは…」
作者、季語が動くと云ってはダメとピシャリ。

春闌くや付かず離れず二羽の鴨  摩天
「恋人も夫婦も距離感大事」
「平安時代の通い夫(つま)こそちょっと遠いが、良いと思うな」
鴨は冬の季語。間違い「かも」、と誰かが言った。



春闌ける花屋に仏花売る少年  一兎
女「少年が良いですね」 男「少女からなら買いますが」
「男と女の見解の違いです」
作者を含め時期ずれに言及。実は最初は少女だったとか。

ケンケンパ路地いっぱいに春闌ける  一兎
「上五と下五の入れ替え」
「こちらもいいですね」
上五と下五の入れ替えを作者は頑固に拒否。

春深し平成最後の武蔵陵  碧水
「そろそろ聞き飽きました。平成最後」
「諦めましょう。まだ1ヶ月余ありますので」
何が平成最後か、に対し泡飛ばすほどの事ではないと。

震災の遺構にほのか春の雪  碧水
「うっすらと雪」
「あの夜はのんのんと雪が舞い、工場の二階下まで津波水。
ヘリコプターの音と光。そして水におぼれている女性をすくい上げました。
屋根に掴まっていた男性も。」体験談
作者は震災の句を詠みたかったと。「ほのか」は対案なし。



ゆったりと川蛇行して春長けり  ゆめ
「関東では、多摩川でしょうか。蛇行してが良いです」
「蛇も真っ直ぐに伸ばすと長いよね」
「ゆったり」が少々との声あるも好句。

三椏の花つつましく下をむき  ゆめ
「つつましく見せて三股かける君」
「しかしその君はどうでしょうか」
鈴蘭コメントで大盛り上がり。文句なしの大賞。コメントは「三つまた」表記が良し。

春闌くや「次降ります」のボタン押す  鈴蘭
「バスに揺られてうとうとと」
「慌てて押しました」
「景色をみて降りたくなった」が詩的と。一方、元々降りる予定を句にしたことが凄いと。

日本中9年目の春黙祷す  鈴蘭
「黙禱」
「今頃になってあの頃のことが実感として迫ってくる」
九が良かった。作者本人の反省。