2019年 2月
兼題:「大根」「当季雑詠」 出題者:鈴蘭 <敬称略>

句会でお世話になっている「花ぜん」さんのもつ煮込み。
大根は味が染みて美味しそうな色をしています。(画像は泰山さん)
雨あがり葉の艶深き大根(だいこ)抜く 泰山
「雨あがりで葉は青々と」「葉っぱが美味しそう」
*実際に送られてきた写真を見て一句だそうです。夏井センセイに見本として、見せたい
春の雪朝餉の鳥のさんざめき 泰山
「そうか鳥にも朝飯あるのか」「ごはんちょうだい」
*「鳥のさんざめき」が適当かどうかで議論。焦った鳥の様子はこの言葉で伝わります。
もんぺ穿き大根干したる母の影 素頓
「母もモンペの時期がありました。戦後まもなくですが。」
「懐かしき昭和の句。「影」でお母さんは亡くなっていることがわかる」
*発想がいい。語順を入れ替えて「大根干すもんぺ姿の母の影」ではいかが?
語り行く和服と背広朧月 素頓
「寛一お宮か」「あやしい二人」
*平成はノーネクタイ。昭和はネクタイ。大正,明治は着物。作者のコメント「そして朧に溶け込んでいきました。」はいい
大きな大根です。使い切るために1/2にカットされているものを買いました。
使い道後でもよろし大根買ふ 鳥閑
「取りあえず大根一本」「廉(やす)い時に買いましょう」
*一瞬、道後温泉での一句かとも・・
薬局の看板新た春動く 鳥閑
「恋の病に効く薬だってさ」「その娘はとても素敵」
*「恋の病」とはわからなかったけれど、「春動く」で生き生きと。
「娘」はお店の看板娘にちがいない。
大根煮るただ恬淡と恬淡と 摩天
「大根煮るのにそんなに大げさな心意気は必要ないのでは。」
「人生初見の「てんたん」、あっさり味」
*「恬淡」でひと揉め。「消去法で◎」とのコメントにふた揉め。
枝ぶりは龍点睛は梅一輪 摩天
「一輪で見事にその枝を落ち着かせました」
「梅で完成」
*泰山さんの「枝ぶりに龍点睛の梅一輪 かな。」ご指摘はごもっとも。助詞の重要性を再認識しました。枝ぶりは龍・・がわかりづらかったようです。臥龍梅ではありません。
素頓さんの「一輪で見事に・・」の鑑賞が好評でした。
でーこでーこデコに鉢巻大根売り 一兎
「大根売りっているのですか?面白いから〇」
「楽しいですなかなか見られない」
*「でーこ」というのは埼玉の方言?「いや江戸だ」とも。
大根干す筑波に雲は無かりけり 一兎
「大根干し日和。冬の太陽と空っ風」
「からっ風良く乾く」
*碧水さんの「いさかいはもうやめて・・」の句と選句が分かれました。
こんなところに目が向く。関心するようなことでもないが。
いさかいはもう止めにして煮大根 碧水
「鰤大根かイカ大根かで又もめた」
「世界の指導者はすべからく煮大根を食うべし」
*摩天さんの「世界の指導者・・」コメントはそれなりに受けたが、コメント賞には至らず。ノーベル平和賞との呟きも
山積みの泥付き大根無人店 碧水
「監視カメラ作動中の貼紙がありました」
「大根を売り、信用を買う」
*鈴蘭のコメント「信用を買う」は深い。「無人店」を置き換えたいところなるも名案なし
大根畑抜かれた穴の黒々と ゆめ
「相当大きな大根だ」
「そこからモグラが出てきたよ」
*作者はちゃんと見ています。ボーっと生きていません
頑ななこころほぐさん薄氷 ゆめ
「割っちゃうの?」
「薄氷はすぐに溶けます。こころもとかして」
*「うすらい」の名句「薄氷や老犬道を選びゆく」(一兎)を想いだす。これも負けずにいい句です
竹串をスーと吸い込む煮大根 鈴蘭
「良く煮えました。」「口に入れると溶けます」
*今月の最高得点句。ただ、中七には賛否両論。
泥も葉も付いた大根298(にっきゅっぱ) 鈴蘭
「安いのか高いのか、わかりません。」
「300円だと高すぎると言われそうだから」
*298には賛否両論。二九八と書いてほしいという意見も。

面取りもして隠し包丁を十字に入れて味噌だれの風呂吹き大根を作ってみました。