先日、夏の句を詠む最後の句会を開催しました。来月の句会は立秋の後となります。
地元の天王祭や選挙も終わりました。来月に入ってすぐには「ふるさと宮まつり」が開催される宇都宮です。
「暑い」と言わないようにしていてもつい出てしまいますが、35度を越えるとにこやかではいられませんね。
今回の句会の兼題(テーマ)は光、光るものです。
高崎 志朗
停止線目の前に稲妻刺さる
ペダル漕ぐ灼熱道でゴム溶ける
村外れ馬蹄印の灼熱路
濡れ車トンネルの先夏陽射し
夢追ひて七七七ににクジを買ふ
首太し魚吐き出す河鵜かな
たたなづく霧降青葉に風そよぐ
渡辺 健志
糸雨纏ふ窓にまたたく夏日かな
磯神社木下闇に風通る
石猫の向かふところや涼し宮
猫神の鎮まる処涼しかり
田舎汽車蒸し風呂めひて玉の汗
南国の揚羽たゆたふ瑠璃の色
雨上がり儚く消ゆる蛛糸の花
純喫茶点滅の灯のソーダ水
炎天や眼下広がる傘の花
夏雲や噴火のごとし桜島
大竹 和音
レゲエフェス彩る天気雨の虹
雷やタイヤの並ぶトタン屋根
ひまはりをじつと見てゐるカーブミラー
廃校のチャイム鳴らねど夕焼雲
老鶯やたうたう声の消へにけり
老鶯の戻りし朝の梢かな
校庭のゴールかすめるいなびかり
絵日記をまとめ描きして雲の峰
弦二本切れても止まぬ歌と汗
小林 泰子
地下歩道夏の風に押されて行く
炎昼のケセランパサラン萎
炎天とエアコンに挟まれうたた寝
喫茶店ラテと日記と白鳥座
夏の空信号の青目が眩む
白石 洋一
梅雨の晴れ間新しい下着のような
母が死んだ日を何度も思い出す
イエローモンキー「夜明けのスキャット」
梅雨の日は猫も居場所がないとな
月夜の日庭木の輪郭空に浮く
闇の音耳を休めて闇を聞く
初ゴウヤ木綿豆腐と絡み合う
ズッキーニ十一本目は味噌汁に
米を炊く裸電球隙間風
五右衛門風呂に裸電球橙色
刈谷 見南國
晩夏光未完成こそすがすがし
友の訃やあめんぼは足光らせて
譲りたる「あしたのジョー」やラムネ玉
夏の果て友と深夜の馬鹿笑ひ
ほうたるや自転車飛ばす闇の中
ほたるぶくろ悪戯に笑み浮かびけり
夏の果フィラメントの灯ゆつくり闇
コロンボの台詞を当てる青葉木菟
向日葵や話は前後左右して
金魚売りのやうカセツト四十本
福冨 陽子
独りごち外灯は吸ふ夜半の夏
「蛍とてきて」と夢の子の真直ぐさ
蛍光灯点けぬ娘の夏帰省
緑陰や猫の首輪の反射板
談笑の緑衣の亡父夏の宴
善悪も流し流して虎が雨
葎生の撒き水に堕つ黄金虫
天照大神御札にも扇風機向く
しめ縄の紙垂の千切るる暴れ梅雨
