そぞろ寒 友来てやがて呵々大笑 | 自由俳句 「風薫」(ふうくん)

自由俳句 「風薫」(ふうくん)

宇都宮で自由俳句の会「風薫」を主宰している陽子です。自由な感覚で俳句を詠み合う句会を月に1回開催しています。俳句集もすでに10集集目を刊行しております。

 

    朝晩の冷え込みは、冬そのものですね。冬は冬の良さを探しに、ときには  

 思いきって外を探索してみるのもいいですね。手短かな周りの植物など、い

 つ霜が降りてもいいように準備はしましたが、いよいよ冬期にはいるんだな 

 あという覚悟もしなければなりません。いかんせん、宇都宮の冬は寒いで  

 す。灯油ストーブを使う我が家では、灯油の残量を気にしながら生活するの 

 も当たり前ですから。

  いよいよ十二月も目の前です。師走の街は気忙しく感じますが、せめて心  

 に余裕をもってコーヒーブレイクを友として過ごしたいものです。

  十一月二十六日、晩秋の句会を開催しました。

 

 

 

 

荒木 あかり

初霜や苅田広がり鳥の声無く

修行終え息子の普段顔 秋うらら

肌寒や車庫のバッタをつまみ出す

冬晴れや歩く我が頬 ちょうどいい

 

小林 泰子

木枯らしや わたし着膨れ 樹は裸

鍋囲み 今夜みそ味 次キムチ

 

白石 洋一

アプリで聞くAMラジオクリア過ぎ

深まる夜ラジオニュースと雨の音

洗いし靴下のさがる縁側

我が家の上 渡り鳥の無数なり

十時の時報のスピーカーのワルツ

 

刈谷 吉見

醤油さし注ぎ足し待つや寒の朝

夢路逝く最期の言葉「ドリームカムトゥルー」

亡き母の誕生日かと憂国忌

浦安のモツ煮定湯気まで思ひ出し

 

石井 温平

小春日や命日の妻極楽に

陸奥の地酒をあさる小春かな

小春日や大欠伸して猫よぎる

今年またいの一番に風邪を召す

吾れ一人褞袍(どてら)を愛ずる吾家かな

 

 福冨 陽子

並木路 脱ぎ散らかした葉を踏み往く

霧ひと夜 生まれ変わりの朝の来る

大根のしっぽ哀しや 摂取不捨想ふ

深秋の旅話 聞く人となり

陽ざし乞う猫や腹見せ 枯草にいる

ムクドリの賑わいの樹々 霜の頃

一年の過ぐる速さや冬の空 

身を刺す風の冷たさ 将軍を待つ

 

       

         かりん酒を作りて仕舞う冬支度