新年を歩き始むや おたりやの火 | 自由俳句 「風薫」(ふうくん)

自由俳句 「風薫」(ふうくん)

宇都宮で自由俳句の会「風薫」を主宰している陽子です。自由な感覚で俳句を詠み合う句会を月に1回開催しています。俳句集もすでに10集集目を刊行しております。

 2017年、新しい年の始まりに初句会を開催しました。

 去年は11月に雪が降ったりまた暖かくなったり、庭のバラが年末に蕾をつけていたりと、自然界のセンサーにはやはりどこか異変があるようです。いつしか季語が変わっていくこともあるかもしれませんね。

 今日は大学のセンター試験日一日目です。昨年の宇都宮あたりは天気に恵まれましたが、その日は、毎年「雪が降る」とささやかれています。ご多聞にもれず、今年のセンター試験は全国的に荒れ模様。受験生のみなさん、寒いけれど最後までがんばってください。

 私ども自由俳句「風薫」のメンバーは、今年もゆっくりですが前進してまいります。

 

 

 

■ 荒木 あかり

朝日あび枯葉鳴らしけり影法師

刈田道 黒々とならして春を待つ

水道やタオルを巻かれ冬到来

青空に桐枯葉踊り雲流る

屋敷林もやと煙あわせてビルのごとく

 

 

■ 白石 洋一

子猫はトンボを追って飛び上がる

時間の不変を見つけたくてもがく
酒が脳を落ち着かなくするんだけど
夜中に無音を感じて淋しい

 

 

■ 小林 泰子

真っ白な景色に大人は小言 子どもよろこぶ              

快晴に煙が昇る待ち遠しい焼き芋

大平山雲に包まれる街並みにみかんの木

 

 

■ 神谷  操

寒いのに春とは何ぞ明の春

成人式二十歳で大人と首かしげ

 

 

■ 佐藤 宣明

蛙屋はカエルビールで年暮れし

連山ようようと声発し淑気

新調す仕事始めは脱いては着

補陀落はネイビーブルー良寛忌

白餡の苺大福がかたりだし

 

 

■ 刈谷 吉見

毛布ずれ布団は逆にずれてをり
母見ればこの蜘蛛にさへ喜ぶだらう
三日月と金星のクエスチョンマークかな
良かつた今年はどてらを着ないから
ソワカフェに汽笛響けり冬の雨
負けるなら取りこぼしさすべて稀勢の里
冬満月いつまた逢へるか思ふだけ

 

■ 石井 温平

初曾孫声歌となり初座敷

小夜時雨 子規虚子逢ひし上野かな

エンディングノート手つかず去年今年

若き日の顔の滲みし賀状かな

幼名を呼び合う仲や初電話

二組の二親の遺影 初座敷

初曾孫 歌覚え初め 初笑ひ

ライバルじやなくなりし人 初句会

 

 

■ 福冨 陽子

三日月と金の星 西空に浮くふつか

息子から老母に年玉 離れて見やり

睦月とおか みくじ大吉ふいに来るやも

豆きんとん手をつけぬまま終ゆる正月

満月のひかり満ちてや 冬木立

新年会 相馬龍をめざしや歩く

 

初日の出:渡良瀬遊水地にて2017.1.1