新しい季節の中にいて、私たちの感性は何をどんなふうにとらえているでしょうか。
■ 荒木 あかり
若葉光り踊っているよ こいのぼり
田の水路ぼこぼこ鳴って田植えどき
さくら会 古希となり個の光る
ひきがえる闇夜に響き水入る
紅つつじ見る人もなく高速土手に
■ 半沢 美恵子
しゃぼんだま虹映してやストロ―吹く
■ 神谷 操
五月雨の意味はなんぞと辞書を引き
赤信号 脇目の先に鯉のぼり
菖蒲湯と勝負をかけてげんかつぎ
新緑や窓全開で走りたし
衣更一足早き子どもたち
端午の日リベルタンゴで踊りつつ
忘れえぬ見ても聞いてもチンアナゴ
■ 刈谷 吉見
ジャケ失くしキャプテンウルトラの父逝く
老うずら卵生み落つ音や春
土づくりPC固まる日暮れかな
ああさうか新聞の見た人と会ふ顔は
■ 石井 温平
山丸ろき益子の里や風薫る
餃子屋の日日の行列風薫る
薫風や抱く初曽孫まなこ澄む
シャツ・パンツ・ズボン純綿更衣
更衣 妻のもろもろ辿りつつ
■ 福冨 陽子
友と別れし夕べ遠野物語聞く
新潟の土産と言いて柿の種
苗並ぶ間に間に暑気のいる
蕎麦待ちの訛り耳にし田島駅
電車旅 景色遮るロ―ルカ―テン
最新のパソコン まだ友になれぬ
テッセンの喜怒哀楽を荒地に見ゆ
