雪も降りました。都内では雹も降りました。冬木立は無を纏っています。
■大倉美和
大掃除 気になりつつも年賀状
寒空やテレヒで学ぶ大掃除
年忘れ聖子ちゃんで締めくくる
忘年会 酒飲まずして食べ放題
■高山昌子
拭く窓に 来る年に 託したり
雪降るも酒蔵女将の薄着なり
ペンネーム由来話にあたたかみ
■田代由美子
冬ばらの滴光りて雨過ぐる
大掃除 手抜き思案の日向ぼこ
初雪や赤唐辛子 眺めたり
■小林芳弘 (こじこ次郎)
宵の入り明星は僕 月は君
つむじ風 追い越す勇気 聖し夜
煤掃きや古い写真にひっかかり
■刈谷吉見
鳶の群れカメラ向けては散りぬ空
白い息 ミラーに映り排気ガス
玉子汁風邪に優しき冬の朝
哲やメシ喰わるるば死なんバイと母
(※川上哲治追悼句。母の残した言葉)
母は子の 子は母の孤独を知るや
ファンヒーター切りて待つや灯油の香り
寂しげに冬陽浴びたる丸ポスト
学友と掃除かまけて中庭相撲
■金子泰夫(千葉県柏市)
粉雪を踏みしめ鴨の声を聴く
露天風呂湯気のむこうに雪が舞う
冬静かひとりぼっちの露天風呂
ホッとする地元に帰って人の中
帰り路満月いっしょについて来る
ヒョウが降りライオンまだかと空仰ぐ
大掃除チリも積もればゴミとなる
クリスマス愛もかたずけ大掃除
年越しの蕎麦そこそこに大掃除
紅白の君が代聴きつつ大掃除
大掃除思い出綴りし新年へ
■福冨陽子
タオル地の商店の名で床磨き
雨の垂る軒奥にあり冬大根
竹箒 それだけのある閑の家
冬かずら 寒風に向き 揺れており
鍋の耳 磨きつ聴くや除夜の鳴る
風邪の児やマスクずらしてバスの窓
ドラセナの花をつけてや凍り晴れ ドラセナ※幸福の木
酒の蔵 時はゆるやに影法師 今市・渡辺佐平商店
合唱の友よ舞台を貫けり 第九・十二月二十一日
陽だまりの中のベンチや鳥憩(やす)む
羊羹をつくりてみたし 小豆見ゆ
亡犬の嬉しげに居る 床の中
サプリ手に歳忘れたもう 年忘れ


