はなびえや 空に金星 亜空来る | 自由俳句 「風薫」(ふうくん)

自由俳句 「風薫」(ふうくん)

宇都宮で自由俳句の会「風薫」を主宰している陽子です。自由な感覚で俳句を詠み合う句会を月に1回開催しています。俳句集もすでに10集集目を刊行しております。

12月21日は詠み納めの句会となりました。バースデイの美和さん、由美子さんおめでとうございます(過ぎてしまいましたが)。ささやかな宴もまた楽し、の冬です。
雪も降りました。都内では雹も降りました。冬木立は無を纏っています。

■大倉美和

大掃除 気になりつつも年賀状

寒空やテレヒで学ぶ大掃除

年忘れ聖子ちゃんで締めくくる

忘年会 酒飲まずして食べ放題


■高山昌子

拭く窓に 来る年に 託したり

雪降るも酒蔵女将の薄着なり

ペンネーム由来話にあたたかみ


■田代由美子

冬ばらの滴光りて雨過ぐる

大掃除 手抜き思案の日向ぼこ

初雪や赤唐辛子 眺めたり


■小林芳弘 (こじこ次郎)

宵の入り明星は僕 月は君

つむじ風 追い越す勇気 聖し夜

煤掃きや古い写真にひっかかり


■刈谷吉見

鳶の群れカメラ向けては散りぬ空

白い息 ミラーに映り排気ガス

玉子汁風邪に優しき冬の朝

哲やメシ喰わるるば死なんバイと母
                (※川上哲治追悼句。母の残した言葉)

母は子の 子は母の孤独を知るや

ファンヒーター切りて待つや灯油の香り

寂しげに冬陽浴びたる丸ポスト

学友と掃除かまけて中庭相撲


■金子泰夫(千葉県柏市)


粉雪を踏みしめ鴨の声を聴く

露天風呂湯気のむこうに雪が舞う

冬静かひとりぼっちの露天風呂

ホッとする地元に帰って人の中

帰り路満月いっしょについて来る

ヒョウが降りライオンまだかと空仰ぐ

大掃除チリも積もればゴミとなる

クリスマス愛もかたずけ大掃除

年越しの蕎麦そこそこに大掃除

紅白の君が代聴きつつ大掃除

大掃除思い出綴りし新年へ

■福冨陽子

タオル地の商店の名で床磨き

雨の垂る軒奥にあり冬大根

竹箒 それだけのある閑の家

冬かずら 寒風に向き 揺れており

鍋の耳 磨きつ聴くや除夜の鳴る

風邪の児やマスクずらしてバスの窓

ドラセナの花をつけてや凍り晴れ      ドラセナ※幸福の木

酒の蔵 時はゆるやに影法師        今市・渡辺佐平商店

合唱の友よ舞台を貫けり          第九・十二月二十一日

陽だまりの中のベンチや鳥憩(やす)む

羊羹をつくりてみたし 小豆見ゆ

亡犬の嬉しげに居る 床の中

サプリ手に歳忘れたもう 年忘れ