妄想小説『Wedding dress 9』 | 背王のBIGBANG観察日記

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BIGBANG大好きなアラサー女が心の叫びを吐露しています。
かなり自己満な妄想と分析の連続なので、生温い目で見守って頂けると幸いです。

Twitter→@69Haiking

※ヨンベさんの妄想小説です。苦手な方はご注意下さいm(__)m

前回のお話はpixivの方にあります。成人向けです。


http://touch.pixiv.net/novel/show.php?id=6927529












「リリ、着いたよ」

梨理を1人で帰すことなど出来なくて、ヨンベは梨理を家まで送っていった。

車の中で、会話は殆どなかった。梨理が何を考えていたかはわからない。ヨンベには色々な思いがあったけれど、一番は照れくさかった。梨理とはずっと友人同士だったし、女性と関係を持ったのも初めてのことで、どんな顔で彼女と向き合えばいいのかわからなかった。

だけど、照れていないで、もっと色々なことを話すべきだったのだ。いや、それ以前に、もっと昔に、気持ちを伝えておくべきだった。

後から考えれば、簡単なことだったのに、この時のヨンベには、まだ何もわかっていなかった。

「ヨンベ…。あの、色々ありがとう」

梨理は、そう言って笑顔を浮かべた。だけど、その笑顔は、とても弱々しく見えて、ヨンベの心はざわついた。

梨理と一つになれた瞬間、彼女は確かに笑ってくれた。今とは違い、ヨンベの好きなキラキラ輝く笑顔だった。

だけど、その笑顔がまた曇ってしまった。どうしてだろう。わからない。

「リリ、ジヨンのことは、もう忘れられたか?」
「………………っ!」

ヨンベが尋ねると、梨理は大きく目を見開いてヨンベを見つめた。

「新しい恋は出来そう?」
「どうして…、そんなことを聞くの?」

梨理は、見るからに困惑している。一線を越えた今も、自分は梨理にとって、そういう対象ではないのだろうか?

弱気な少年のヨンベが、心の奥で怯えている。

だけど、もう逃げては駄目だ。ヨンベは梨理を抱くと決めた時に、ある決意をしていた。

梨理の目を真っ直ぐ見つめて、ヨンベは言った。

「俺じゃ駄目か?」
「え?」
「リリ、俺と付き合わないか」

梨理は、ヨンベがそんなことを言い出すとは、全く思っていなかったようだった。とても驚いていたし、動揺していた。

「何言ってるの?」
「突然で、驚くのはわかる。だけど、俺は真剣だ。リリ…、お前を愛してる」

その瞬間、梨理の顔が、真っ青に染まった。とても、ショックを受けているようだった。そして、震える声で、彼女は言った。

「駄目よ…、ヨンベ、それは、駄目…」

告白を喜んで受け入れて貰えるとは思っていなかった。だけど、どうして梨理がそんな反応をするのかわからなくて、ヨンベもショックだった。

男として好かれているわけではないとわかっていた。だけど、嫌われているわけではないと思っていたのに、まるで梨理は、ヨンベのことを嫌悪しているように見える。

「リリ…」
「ごめんなさい…。私のせいね。私がヨンベに、おかしなことを頼んだから…」
「リリ、それは違う!」

梨理が何か誤解をしているんだと気付き、ヨンベは声を張り上げた。ヨンベが梨理を好きになったのは、梨理と関係を持ったからではない。

「ずっと前から好きだった。ジヨンがいるから、叶わない恋だと思ってた。けど、初恋なんだ。俺にとってはお前が…お前だけが最高の女だ。すぐに応えてくれなんて言わない。だけど、この気持ちだけは知っていて欲しい。リリ… 、愛してる」

ヨンベの心からの告白を梨理はどのように受け止めていたのだろう。

「ヨンベ…、ありがとう。嬉しい」

梨理がそう言ってくれたので、ヨンベは少しだけほっとした。だけど、次の瞬間、梨理の目から、ポロリと涙がこぼれ落ちた。

「だけど、ごめんなさい…。駄目なの。私は…、駄目」
「リリ…!?」
「ごめんなさい!」

それが、梨理から聞いた最後の言葉になった。

車から飛び出していった梨理をヨンベは追いかけることが出来なかった。だけど、またすぐに話が出来ると思っていた。すぐには無理でも、少しずつ、気持ちを伝えて行こうと。

だけど、もう遅すぎたのだ。梨理との初めての経験を誤りだったとは思いたくない。だけど、彼女に何を言われても、ヨンベは断るべきだった。そして、きちんと想いを伝えてから、関係を結ぶべきだった。

自分の浅はかな行動が、梨理を傷付けてしまったのだろう。

そんな考えにたどり着いた時には、梨理はもう、ヨンベの前から姿を消してしまっていた。



二人が関係を結んだ数日後、ヨンベは人伝に、梨理がアメリカに渡ったと聞いた。それ以来、梨理とは一切連絡が取れなくなる。

ヨンベの初めての、そして、唯一の恋は、大きな後悔だけを残して、消え去ろうとしていた。