※ヨンベ様の小説、3話目です。本当に更新鈍くて申し訳ない(^o^;)
前回のお話はこちらです。
『Wedding dress 2』
では、続きをご覧下さいm(__)m
ヨンベとジヨンは、同じ夢を追って、10代前半のまだ若い頃に、今の事務所の練習生となった。
そこで出会った二人が、かけがえのない親友同士となって、後に、BIGBANGの中心メンバーとしてデビューしたことは有名な話だ。
しかし、共に夢を追った他の仲間たちのことは、あまり知られていない。
厳しい練習に耐えかねて挫折してしまった仲間も沢山いたし、途中で道が別れて、別の方向に進んでいった仲間もいた。
その仲間の中に、梨理もいた。
事務所には、年上の先輩たちが多い中、ジヨンやヨンベと同い年だった梨理は、すぐに、性別を越えて二人の親友になった。
梨理は、ダンスが好きで、ダンサーを目指してYGの練習生となった。個性的でキレがあって、小さな身体も大きく見せてしまう梨理のダイナミックなダンスには、ヨンベもジヨンも、一目を置いていた。
3人は、毎日のように練習室で共に汗を流し、夢について語り合った。
辛いことも多かったけれど、3人で夢の話をする時間は、本当に楽しかった。
梨理は、辛い練習の時間にも笑顔を絶やさない前向きで強い女の子だったが、夢の話をしている時間は、その笑顔の輝きが、何倍にも増すようだった。梨理の笑顔は、眩しくて、美しくて、ヨンベは、その顔を見ていると、どんな辛さも忘れて、頑張れるような気がしていた。
今思えば、その頃から、ヨンベの恋は始まっていたのだろう。勿論、初めての恋だった。
だけど、まだ子供だったヨンベは、自分のその気持ちに気付くこともなく、自分とジヨンと梨理、いつまでも3人変わらずに、仲のいい友人同士でいられるものだと思っていた。
それが、子供だけが抱ける幻想だったと知ったのは、3人が出会って、3年ほどが過ぎた頃のことだった。
「おっはよぉ~♪」
その日、レッスンスタジオに入って来たジヨンは、気持ち悪いくらい上機嫌だった。
「どうかしたのか?顔、弛んでるけど」
「あ、聞きたい?聞く?聞いちゃう?」
「いや、やっぱりいい」
「何だよぉ~、ヨンベ、聞けよぉ~!」
ジヨンは、何かとてもいいことがあったようで、ヨンベに聞いて欲しくてたまらない様子だった。ニヤニヤしながらヨンベに絡んでいるジヨンを見て、梨理がクスクスと笑った。
「どうかしたの?ジヨン。ヨンベが困っているじゃない」
「えー、うん、まあ、大したことじゃないんだけどさぁ」
聞いてくれる相手を見つけたジヨンは、照れ臭そうにしながらも、嬉しそうにこう言った。
「俺、彼女が出来たんだ!」
「えっ…」
それは、一瞬の変化だった。でも、その瞬間、梨理の顔から笑顔が消えたのをヨンベは見逃さなかった。
「昨日告白されてさ。前からちょっといいかなぁって思ってた子だったし、付き合ってみようかなぁ、なんて。へへ」
「そう、良かったわね」
「梨理もさ。早く彼氏作れよ。可愛いんだし」
「私は…、いいわよ、そういうの。ダンスが恋人だし」
「えーー」
初めての恋人が出来たばかりで、浮かれているジヨンは気が付いていなかった。梨理にはすぐに笑顔が戻ったけど、その笑顔が、いつもと何処か違うことに。
だけど、ヨンベは気になって仕方がなかった。ジヨンの話がまるで耳に入って来ないくらい、ヨンベは梨理ばかりを見ていた。
しばらくして、梨理は静かにレッスン場を出ていった。ヨンベだけがそのことに気が付いて、人気のない方向に歩いていく梨理の後を追った。
「リリ」
「…………!」
振り返った梨理の顔を見て、ヨンベは驚いた。
レッスンでどんなに辛いことがあっても泣いたことなどなかった梨理。その梨理の目から、ポロポロと涙がこぼれていた。
「リリ、お前、ジヨンのこと…」
「お願いヨンベ、ジヨンには言わないで!」
「リリ…」
「馬鹿よね、私…。告白する勇気もないくせに…。ほんと、バカ…」
そう言って、涙を流し続ける梨理をヨンベは、ただ、眺めていることしか出来なかった。気の聞いた言葉など浮かぶはずもなく、抱きしめて慰めるなど思い付くはずもない。梨理の涙が止まるまで、ヨンベには、彼女の側に立っていること以外、何も出来ることがなかった。
この日、平和だった子供の時代は、唐突に終わり、新雪のようにピュアだったヨンベと梨理の関係は、少しずつ歪んでいくこととなるのだった。
画像拝借致しましたm(__)m