妄想小説『GG BE 7』 | 背王のBIGBANG観察日記

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BIGBANG大好きなアラサー女が心の叫びを吐露しています。
かなり自己満な妄想と分析の連続なので、生温い目で見守って頂けると幸いです。

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注:スンリさんの妄想小説、ヌナサイドの続きです。

前回のお話はこちら。

『GG BE 6』


あくまで個人の妄想とご理解頂いてお楽しみ下さいm(__)m









出会った頃のスンリは、漸く二十歳を超えたくらいで、まだまだ子供っぽいところも多く、4つも歳上の自分から見れば、恋愛の対象になるような存在ではなかった。スンリの方も自分のことを全く女として意識していなかったから、二人は本当の姉弟のように仲の良い関係を築けていた。

だけど、ある日、予想もしていなかった形でスンリが男であることを見せつけられてしまう。







記事の内容が殆ど出鱈目であることくらいはわかっていた。けど、その女性がスンリと関係を持っていたことだけは、紛れもない事実だった。

自分の知らないスンリの顔を知っている女性がいる。

勿論、スンリが何も知らない子供でないことくらいはわかっていた。けど、それを突然、目に見える形で見せつけられて、心の中に靄が広がった。スンリを傷付けて去っていくような女性が知っていることを何故自分は知らないのかと悔しく思った。

“私もスンリに抱かれてみたい”

自分の中に、そんな欲望があることを知って、愕然とした。

けど、表には出さないようにしていた。自分はスンリの“お姉さん”なのだ。スンリはそんな風にしか見てくれていない。

自分に好意を伝えられたら、スンリはきっと困るだろう。自分から彼に迫って、彼にそんな顔をされてしまったら、死にたいくらい惨めな思いをするに違いない。

プライドもあったし、自分からは決して、告白なんて出来なかった。


だけど、あの夜、酔ったスンリに、身体を求められて…。

これは、越えてはいけない一線だとわかっていた。けど、拒めなかった。

スンリが“男”の目をして、自分を“女”として扱ってくれるのが嬉しくて、愛がないとわかりきっているその行為を受け入れてしまった。

一夜の夢でもいい。スンリはどうせ酔っている。きっと朝になれば、何もなかったことに出来るはずだ。

その時は、そう思っていた。だけど、無理だった。

一度知ってしまったら、他の女性には渡したくなくなった。スンリに、本気で愛する女性がいるのならば仕方がない。だけど、そうでないのなら、不特定多数の人と同じような行為を繰り返されるくらいなら、ただの欲求の捌け口でも構わない。自分を選んで欲しいと、強く思った。

どんな手段を使ってでもいいから、スンリを繋ぎ止めておきたくて、自分から“都合のいい女”になることを望んだのだ。そうすることで、少しでも長くこの夢が続くなら、満足だと思った。

だけど、それは、想像以上に長く、苦しい地獄のような日々の始まりだった。










「ヌナ!いらっしゃいませ!」

教えられたホテルの部屋まで行き、ドアをノックすると、ジヨンが笑顔で出迎えてくれた。

「スンリは?まだ来ていないの?」

部屋の中には、スンリの姿はなかったが、“スンリの誕生日を祝う”という理由には何の疑いも抱いていなかった。だけど、ジヨンは申し訳なさそうに言った。

「ごめんね、ヌナ。俺、うそついたの。ごめんね」
「え?」

ずっと笑顔だったジヨンの顔が、悲しそうに歪んでいた。何だか嫌な予感がする。

「俺、スンリにたのまれたの。ヌナのこと、temptation…ゆーわくしてって。わかる?」

ジヨンは片言の日本語に英語を混ぜてそう言った。

“誘惑”

その言葉が、重く心にのしかかる。

「どうして…」

どうして、スンリはジヨンにそんなことを頼んだのだろう。ジヨンが自分を誘惑すると言うことは、つまり、つまり…。

スンリは、そうなってもいいと、そうなって欲しいと願っていたのだろうか。

「どーして…。俺がききたいです。ヌナとスンリは、コイビトじゃない、ですか?」

ジヨンにそう言われて、胸にナイフを刺されたような心地がした。ジヨンはそれまでずっと笑顔を向けてくれていたのが嘘のように、冷たい目をしていた。

「私…、私は…」

それ以上、言葉が続かなかった。

ジヨンに会って、彼はスンリのことをとても大切にしくれている人なのだと思った。自分たちの関係は、そんな人に、胸を張って報告出来るような関係ではないとわかっていたから、何も言えない。冷たい目を向けられてしまうのも当然だ。

わかっていたのに、“メンバーに紹介したい”という言葉に浮かれてしまったのが、そもそもの間違いだった。

いや、過ちは、もっと前から始まっていたのかもしれない。

「ごめんなさい…、ごめんなさい」
「ヌナ、泣かないで。ごめんね、泣かないで」

謝りながら涙を流すと、ジヨンが優しく頭を撫でてくれた。年下なのに、今はお兄さんのようだ。スンリもいつもこんな風に優しい愛情を向けられているんだろうか。

ジヨンだけじゃない。きっとスンリは、沢山の人の優しさと愛情に包まれているのだろう。だからきっと、彼の心はあんなにも優しくて温かいのだ。

(そんな人を私は、自分のエゴで汚してしまった)

自分が誘わなければ、きっと彼は、身体だけの関係を結ぼうだなんて考えなかっただろう。自分のような存在が側にいなければ、スンリは今頃、もっと素敵な恋を見付けて、派手に遊び歩くようなこともなくなっていたかも。

「ヌナ、ヌナはスンリが、好きですか?」

ジヨンにそう尋ねられて、また涙が溢れた。泣きながら、小さく頷くと、ジヨンは嬉しそうに笑ってくれたけど、その顔は、涙で歪んで、殆ど見えなかった。


好きだ。ずっと好きだった。でも、もうこれ以上は、側にいられない。

(潮時ね)

スンリがどんな気持ちでジヨンにお願いをしたのかはわからない。だけど、所詮、自分は、他の男に簡単に靡くと思われてしまうような女なのだ。

「ジヨン、私…、スンリに会いたい」


ジヨンにお願いして、スンリの部屋に連れていってもらった。

扉が開くと同時に、スンリの鳩尾を思いきり蹴りあげた。

彼に対して、怒りがあったわけじゃない。自分と過ごした時間が、嫌な記憶になればいいと思ったから。もう2度と、自分のような悪い女に騙されて欲しくなかったから。

出来れば今度は、素敵な恋をして欲しい。幸せになれる恋を。


「ごめんなさい…、スンリ。私はもう…、都合のいい女ではいられないわ。さよなら」

泣かないつもりだったのに、溢れる涙を止められなかった。その顔をスンリに見られたくなくて、逃げるように走り出した。

スンリはきっと追って来ない。

そう思ったから、エレベーターのボタンを押して、我慢せずに泣いた。

「ヌナ!」

スンリの声が聞こえて、はっとした。振り返ると、スンリが走って来るのが見えて、何度も何度もエレベーターのボタンを押した。

(早く…、早く来て…)

お願いだから早く、自分を彼から遠ざけて欲しい。心の底から、そう願った。

だけど、その願いが叶う直前、スンリに追い付かれ、後ろから強く抱き締められてしまった。

「スンリ…、離して…」
「ごめん。無理。お願いだよ…。最後に一度だけ、俺の話を聞いて…」

自分という災厄をスンリから遠ざけてくれるはずだったエレベーターは、ゆっくりと扉を閉じ、別の階へと降りていった。

「お願いだよ、ヌナ、お願いだよ…」

苦しいくらいに強く抱き締められ、耳元で何度も囁かれた。

(駄目よ、スンリ…、駄目なのに…)

天を仰いで瞳を閉じると、冷たい涙が、頬を伝っていった。

もうこれが本当に最後なら、意地もプライドも何もかも捨てて、醜い自分をさらけ出してみようか。

「わかった。わかったから、離して。部屋に戻りましょう」

スンリが自分に、幻滅してくれたらいい。面倒な女だと、そう思ってくれたら…。


スンリに手を引かれ、スンリの部屋に戻った。けれど、過ちばかりを繰り返してきた自分たちに、幸せな未来が訪れることなんて、欠片も期待してはいなかった。







画像拝借致しましたm(__)m