妄想小説『Let's talk about love 9』 | 背王のBIGBANG観察日記

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BIGBANG大好きなアラサー女が心の叫びを吐露しています。
かなり自己満な妄想と分析の連続なので、生温い目で見守って頂けると幸いです。

Twitter→@69Haiking

注:9話目です。大人な表現がございますのでご注意下さいm(__)m














スンリの唇は、柔らかくて、やはり、初めて知る味ではない気がした。


「ミオ、平気?」

そっと触れて、離れた後、スンリは、不安そうに尋ねて来た。先程は美緒が泣いてしまったから、必要以上に心配させてしまっているのだろう。

決して嫌ではなかったのに、過剰に反応してしまったことを美緒は、申し訳なく思った。

自分がもっと色事に長けた女の子だったら、スンリにこんな顔をさせずにすんだのだろうか。記憶を失う前は、どうだったのだろう。こんな風に、キスを交わすこともあったのだろうか?

「ミオ、もしかして…、やっぱり、嫌だった?」

スンリが再び尋ねて来たので、美緒は首を横に振った。

「大丈夫。…不思議だけど、嫌じゃないの。やっぱり、知っている気がする」

美緒が正直に感じていることを話すと、スンリは漸く、嬉しそうに笑ってくれた。

「知っているはずだよ。会うたびに、何度も何度も、キスしたんだから」

スンリの口から、はっきりそう聞かさせて、頬が熱くなった。よく考えれば、大人の恋人同士なのだから、当たり前のことなのに、何だかとても、恥ずかしい。

「あの…、もしかして、さっきみたいなことも、は、初めてじゃないの?」
「さっきみたいなことって?」
「だから、その…」
「こう言うこと?」

スンリはそう言って、もう一度美緒にキスをした。今度は触れるだけのキスじゃない。舌先で、唇を擽ってくる。堪らずに口を開けると、スンリの舌が口の中に侵入してきた。

「んっ…あ…」

ピリッと、身体が痺れて、頭が朦朧とする。すぐに身体から力が抜けて、美緒の身体は、スンリに優しく横たえられた。

そんな風に、キスだけで身体が蕩けたことなんて初めてで、先程は驚いて、拒絶してしまった。二度目は覚悟もしていたし、一度目ほどびっくりはしなかったけれど、やはり不思議だ。

自分の身体は、どうしてこんなにも、自然にスンリを受け入れてしまっているのだろう。どうしてこんなにも、簡単に、反応してしまうんだろう。

「ミオ…」

スンリに名前を呼ばれて、美緒は虚ろな瞳でスンリを見上げた。

「ミオは、どう思う?初めてだと思った?」
「私…は…」

わからない。いや、本当はわかっているけど、その先をはっきりと知るのは、少し、怖い気がした。

「ミオ、ちょっとごめんね」

スンリはそう言うと、突然、美緒のスカートの中に手を入れた。

「ス、スンリ!?」
「少し確認するだけだから、怖がらないで」
「あっ…」

スンリは指先で、言葉通り、美緒の状態を確認した。自分がどのようになってしまっているのか、自分自身が一番よくわかっているから、美緒は恥ずかしくて堪らなかった。

「良かった。ちゃんと反応してる」

スンリの言葉が、ますます美緒を赤面させた。

「ち、違うの…、これは、その…私…」

スンリに、はしたない女の子だと思われたくなくて、必死で言葉を紡ぐ。だけど、上手く説明出来なくて、しどろもどろになってしまう。

するとスンリは、美緒を見つめ、優しく微笑んで、美緒の身体を包み込むように抱き締めてくれた。

「大丈夫だよ。わかってるから」
「スンリ…」
「今の美緒にとって、俺は、出会ったばかりのよく知らない男なのに、身体が反応しちゃって、怖かったね。びっくりさせて、ごめんね」

美緒が伝えられなかった言葉をしっかり汲み取り、スンリは、優しい声で語りかけてくれる。

「俺、喜ばせてあげたかっただけなんだ。ミオが気持ちよくなることをして、喜んでほしかった。好きじゃなかったら、怖いだけなのに…、ごめん」
「スンリ」

スンリが美緒を見つめ、そっと顔に触れる。

「まだ、怖い?」

スンリの問いに、美緒は首を横に振った。

スンリを待っている時間の方が、もっと怖かった。ジヨンが言ったように、スンリは記憶の戻らない自分に愛想を尽かせて、何処かに行ってしまったんじゃないか?今頃は、別の女の子とベッドの上で、愛を語らっているのではないか?

そう思って、待っている時間は、本当に本当に怖かった。

嫌だと思った。他の女の子には渡したくない、そう思った。

今は、手の届く場所にスンリがいてくれる。だから、きっと、何があっても平気だ。

「大丈夫。怖くないよ」

美緒はそう言って、スンリの背中に腕を回した。

「ミオ…」

スンリが美緒の名を読んで、美緒の頬を撫でる。怖くないとは言ったけど、凄くドキドキしていた。心臓が胸から飛び出てしまいそうだ。

これから、自分は何をされるのだろう。スンリは、何をする気だろう。乱暴なことをする人ではないと信じているけど、裏切られたらどうしよう。

色んなことを考えて、不安に思っていると、クスッと笑って、スンリが言った。

「ミオ、初めてのときみたいに緊張してる」
「だ、だって…」

意地悪なことを言わないで欲しい。緊張するのは当たり前だ。

スンリにとっては初めてではないのかもしれないけれど、美緒にとっては、これがスンリと過ごす初めての夜。しかも、病院で二人が恋人同士と知らされてから、まだ数日しか経っていない。

まだ、スンリのことを何も知らないに等しいのに、こんなことになって、緊張するなと言う方が無理な話だった。

「大丈夫。力を抜いて」
「あっ…」

スンリは美緒の耳元で囁いた後、耳の後ろに舌を這わせた。首筋に口付けを落としつつ、右手で、美緒の身体のラインをなぞる。

「ミオは、ここをこうするのが好きだよね。それからこっちも…」
「あっ、スンリ…」

一つ一つ丁寧に、反応を確かめながら愛撫されて、恐怖で震えていた身体は、いつの間にか、別の意味で震え始めていた。

「スンリ…、スンリ…」
「ミオ…」

やっぱり知っている。口付けをくれる柔らかい唇。肌に触れる優しい手。

「ミオ、サランヘ」

愛を囁く、甘い声。

「スンリ…」

始めてじゃない。私はこの人の愛撫を知っている。

美緒は、そう確信し始めていた。

「私たち…、前にもこうしたことがあるのね」

美緒が確かめるようにそう言うと、スンリは、ふわりと優しく笑った。

「うん。何度も愛し合ったよ」

美緒が照れて赤くなると、スンリはクスッと笑って、美緒の肌に触れながら言った。

「初めてミオを抱いたのはミオの部屋。ミオが初めて、好きって言ってくれた夜」
「つ、付き合い始めた夜にしちゃったってこと?」

スンリの言葉に、美緒は慌てる。スンリは、そんなミオをいとおしそうに見つめ、美緒の胸に頬を擦り寄せた。

「ミオはまだ早いって言ったけど、俺が待てなかったんだ。告白してから、たくさん待ったからね」
「あっ…」
「ミオは、そんな俺の気持ちに、一生懸命応えてくれた」

スンリの手が、下着の中に忍び込む。もうそれは、ただの確認ではなかった。

「あの日もミオは、キスだけでとろとろになってた」
「いや…、言わないで」
「どうして?うれしかったんだよ。ああ、ミオも、俺を求めてくれてるんだなって」
「スンリ…」

美緒の中をほぐしながら、スンリは切なげに言った。

「ミオ。ミオはいつも、ベッドの上では、スンヒョンって呼んでくれたよ」
「スン…ヒョン?」
「そうだよ、ミオ」


“スンヒョン、愛してる”

頭の中で、誰かの声が聞こえた気がした。

「スン…ヒョン…、あぁっ!」

美緒が、何かを確かめるように、その名を呼んだ、次の瞬間、美緒の身体は、まるで、その為に特別に誂えた鞘であるかのように、スンリの全てを受け止めていた。

「スンヒョン…スンヒョン」
「ミオ、わかる?」

少し掠れた声で、スンリが囁く。

「ミオのからだは、ちゃんと俺を覚えてくれてるよ」

わかる。わかってしまった。自分の身体が、どれ程この人を待ち望んでいたのか。元々、二つで一つだったかのように交じり合う身体が、愛の深さを教えてくれる。

「無理に思い出して、なんて言わないから。もう一度、俺を好きになって」
「スンヒョン…」

そんなのは嫌だ。深く愛し合っていたことがわかるのに、自分にだけその記憶がないなんて、寂しすぎる。

思い出したい。もう一度、この人が愛してくれた自分に戻りたい。

「スンヒョン…、スンヒョン」

美緒は、すがるように彼の名を呼び、少しも逃がさないように、彼の愛を受け止めた。